↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/44

ガミリア共和国 第43話 北門の英雄⑥ ナバリアの英雄

 本来の目的は、血判状のパーティーに瓶を作り、狩りに支障の無い状態にする事だった。いつの間にかそれが広がり、工場に集まった人を救済する形で、瓶の量産を決断した。

 それが次第に広がり、港湾都市全体まで知れ渡ってしまった。

 それでも何とか、瓶の増産と基本ポーションを行き渡せる事が出来た。

 各ギルドからの賛美は、心地よいものだった。

 「ナバリアの英雄」と言われ、7日間一緒だった仲間を送る。

 しばらくぶりの安息の眠りだったが・・・




 工場始動8日目。

 昨日まで入れたスライムにより、カメは、ほぼ満杯。

 数日は、放置しても現状の瓶生産を維持できるだろう。

 血判状のパーティーと協力してくれたパーティーは、支給されたポーションで暫く買い足さなくても狩りが出来ると、森に入って行った。彼らとの7日契約は終了しているので、今日から自由に狩りをし、少しでも有利に買い取らせることが出来る。

 実際、解体業者や買取業者、それ以外の武器防具の店も営業を始めている。

 北門の住民は、門閉鎖以前と同じように生活を始めていた。


 工場始動9日目。

 工場よりフレッドに使いが来た。

 「相談したい事があるので、支給工場まで来られたし」

 工場から解放された昨日は、一日家でゴロゴロとしていた。

 日も高くなった頃、ゴソゴソと起き出した3人は、飯を作り遅い朝食を取っていた。片づけたら向かうと返事をして、食後工場へ。

 ナバリアの英雄・・こう呼ばれた事を後悔する為に。



 

 工場に入ると、会議室に通される。

 そこには、壁際に警備をしている元騎士団。中央の机に、工場主の2人、今は工場の執務役を行っている館の事務方、工場の各工程責任者が集まっていた。

 「おはようございます。これはそうそうたるお方が集まっていますが、なにかありましたか?」

 挨拶も早々に、状況報告がされた。

 もう俺達は、工場関係者を卒業したと思っていたが、どうやらそうではないようだ。


 警備班より報告。

 以前、工場でもめていた男達が報復にきた。

 夜陰、警備の目を盗んで工場に放火。

 これは、建物周囲に防犯魔道具を設置していたので、放火の瞬間、工場に警報が鳴り響く。

 放火近くの赤い点滅灯が目印となり、無事放火犯を確保。

 家事もボヤになる前に、消火できた。


 執務より報告。

 現在の生産に問題は無し。

 ただ、錬金ギルドと薬師ギルドより、瓶の大量買い付け依頼が来ているが、現状の生産体制では、無理があると返答したと言う。


 工場各工程より報告。

 生産を能力の限界まで行っているので、素材が不足しはじめている。

 薬草は、冒険者ギルドに依頼を出している。

 何とか間に合う数量は、現状集まっている。


 そう、ここまでは、問題は無かった。

 瓶の原材料のスライムが手に入らない。


 急ぎ、血判状のパーティーリーダーを集め、状況の説明をしてもらうと状況が見えて来た。



 湿地の調査を進めながら、スライムを収集していった。

 基本サイズから多少小さいスライムも集めていたが、それより小さいスライムは放置している。

 この時のスライム単価は、およそ200円。

 以前の200倍。

 みんな争う様に、スライムを収集していった。

 それを後押しする様に、日々増える瓶増産。

 調査が終わる4日までの間に、目印の葦棒から内側のスライムは狩りつくされた。

 それでも止まないスライム収集依頼、猟師の使い古したたも網を買い付けて、網の届く範囲のスライムを収集していた。


 もうこれ以上は無理と判断したパーティーリーダー達は、中堅冒険者達とまだ森の奥に行けない冒険者を組ませる。

 スライムの群生地で、彼らは魔獣や獣の狩りを行う。

 一方、初級冒険者達は、スライムを収集していった。

 それが、5日から7日まで続く。


 現状、湿地のスライムは、中央にいる分だけになっている。

 これは、指示に違反していない。

 標準サイズより小さいスライムは、捕獲していない。

 中央のスライムは、収集を始める前にいた30%程になる。

 さらに、森の群生地のスライムも狩りつくさず、およそ20%残していた。

 森の奥には、さらにスライム群生地があると言う。


 この報告を聞いて、フレッドは指示が悪いと気づいた。

 湿地では、葦棒の内側にも、スライムを残すべきだった。

 指示があいまいなので、スライム収集が優先された。


 それで、船を準備しようかと、工場から提案された。

 湿地に船をだして、中央のスライムを収集すると言う。

 全体のスライムが少なくなるので、意見を聞きたいとの事だった。


 「はっきり言います。

 湿地のスライムを収集すれば、数日は現状を維持できるでしょう。

 それ以後の工場は、操業停止状態になります。

 その期間は、想定3か月」

 会議室全体が、騒然とした。

 「では、どうすれば?

 現状のままならギルドに降ろしている瓶販売をやめ。

 ポーション瓶として、工場直販しか方法がないのでは?」

 「そうですね。

 いまのままなら、そうするしか方法はないでしょう。

 でも、町全体に瓶を供給している現状を、いきなり変更すれば、各所より反感を買います。

 おそらく、北門以外がすべて敵になる覚悟が必要です」

 「そんな」

 「なにか対処方法は無いのか」

 会議は紛糾し一旦閉会、工場終業後に再度会議となった。

 工場は通常操業するが、今日の出荷を停止する事になる。

 当然、工場へ苦情がくるが”スライム枯渇による操業縮小”と伝えると、一気に事態は収束してく。

 ただ、錬金ギルドと薬師ギルドのギルド長が訪ねてきた。

 事態は、急激に切迫していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。