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ガミリア共和国 第40話 北門の英雄③ 瓶創製・1/7 工場前の騒動 (北門の解放)

 早朝、いつもより早起きした俺たちは、朝のルーティーンの後、備蓄していた野菜と干し肉・パン・食器を背負い袋に入れると工場へと急いだ。

 「なあ、こんなに早起きして、そんなに腹が減ったのか?」

 「そうじゃない、嫌な予感で寝付けなかった。

 気が付いたら朝になっていた」

 「はあ?寝てないのか、心配しすぎじゃないか」

 それは、近くに行って分かった。

 「なんだ、この人盛りは?」

 まず、工場に近づけない。

 人の流れが出来ているので、それに乗らないと進めない。

 工場に向かう人達。

 なぜか、工場から離れていく人達。


 工場に着くと、更に混雑している。

 工場の横には、製品や資材を搬入搬出する為、裏手にしては広い道路に面している。そこに3本の人の道が出来ていた。

 工場の搬入搬出口が受付のようで、左右と中央。

 左右は、それぞれ道なりに順番待ちの人達。

 中央は、受付で話を聞いて、自宅に戻る人達だ。


 列を離れ、受付横で列の監視をしていた門番長に近寄る。

 「おはようございます。この騒ぎは、いったいどうしたんですか?

 どこからこんなに集まって来たのです?」

 「おや、早起きですね。

 おはようございます、昨日の話を聞きつけて人が集まっているのです。

 いま人を集めているので、もうしばらくこの状態ですね」

 「人ですか」

 「ここの状況を教えてくれた門番に、兄貴を呼んでもらってます。

 こっちも、人を集めているので、少々待ってください」


 話が終わる頃、一人の老人が門番長に近づく。

 「おお、ひさしぶりだな。

 それにしてもこの騒ぎは、いったいなんだい?」

 「よう、久しぶり。兄貴も元気そうでよかった。実は頼みがあるんだ。」

 この後、俺たちを紹介してもらう。

 この兄貴、前の騎士団長だと言う。

 歳で、引退したとか。

 その後、この工場で何をするのか説明を受けた兄貴は、大急ぎで帰って行った。


 改めて、受付で何をしているか見てみる。


 対応しているのが、工場の主たち、血判状のパーティー、なぜか扉の爺さんもいる。

 彼らは、工場から出した作業台を並べていた。

 その前に木の箱が置かれ住民が座って話をしている。


 聞くと、もう食べる物が無いのでここに来たようだ。

 どうやらここで炊き出しがあると、噂になっているようだ。

 それで、北門周辺と近くの漁師、一部東門に属する住民までが集まってきたようだ。北門と東門の住民の区別はない。

 ただ、就いている仕事が東門に関連していると、北門より仕事場に近い東門に住みたがる。当然、北門の住民との知り合いは少ない。

 どうせ少ない炊き出しだろうと、東門の住民と北門の住民の間で剣吞な雰囲気になっている。

 時折、門番長が大声を出す。

 「喧嘩を始めた人は排除します。以後、ここへの立ち入りを禁止します」

 この言葉に、誰もが顔に出しているが揉めずに順番を待っていた。


 「おい、話が違うだろう。ここは炊き出し所じゃないのか?」

 「ここは、工場です。

 炊き出しは行っていません。

 これから瓶を作るのです。

 協力する人を募っていますが、それに協力出来ない人はお帰りください」

 「なんだよ、じゃ並んでも炊き出しは無いのか?」

 「そうです」

 この話が、何度も受付で行われている。

 怒った人たちが、声を荒げるが周りの住民に睨まれると多勢に無勢、おとなしく帰っていく。


 その一方。

 「ここで瓶を作る人を募集しているのですか?

 それが炊き出しと関係あるのですか?」

 これには。

 「瓶を作る人には、朝と晩に簡単な食事を提供します」

 「おおぉお」

 なんとなく納得したようだ。

 「それでどんな仕事なのだ?」

 「仕事は、今日から7日。

 仕事は、瓶製造・朝夕の食事の提供・食材資材管理・人材管理・書類作成整理などです」

 「俺に出来るか?」

 「協力してもらえる人は、後ろの受付に移動してください。

 机の前に募集している仕事と、それに必要な事項が書かれてあります。

 それを見て、出来ると思われる仕事の机に座って話をしてください」


 奥には、いくつもの作業台が並んでいた。

 端にある最初の作業台、”瓶製造”と書かれた紙が2枚貼られている。

 その下に募集要項が書いてあり、右には、”スライム瓶製造経験者”・”スライム瓶製造補助経験者”・”危険な薬品を使用する為、経験者以外は不可”と書かれていた。

 左には、”スライム瓶製造の雑務”となっていて、”スライム瓶製造の工房で雑務の経験者”と書いてある。

 こちらも経験者以外不可にしているようだ。

 この作業台に並ぶ人は、3名。

 付近の錬金工房と薬師が、説明を聞いていた。


 隣の作業台は、3台を連結してある。

 一台には、”資材搬入担当”となっている。

 「仕事は、瓶製造に必要な素材を採取してくる冒険者用の受付です。

 素材毎に名前・数・品質・在庫数を管理します」

 「瓶の素材?」

 「わかりませんか?だったらここは無理です。

 他の机に並んでください」

 おそらく楽な仕事だと思って座ったのだろう。

 怒ったようだが、並んだ作業台を見ていく。

 仕事をしないと食事にありつけないと聞いているので、帰る様子は無い。

 一番人が集まっている机に並んだ。


 その隣の作業台、”食材搬入在庫管理”と書いてある。

 「ここでは、工場で出す食事用の食材の受け取りと保管・在庫管理をする人の募集になります」

 「受け取りですか?」

 「ええ、瓶の製造が始まると冒険者の方々が、食材を狩ってきます。

 それの受け取りですね、今ですと、自宅にある食材の提供も含まれます」

 「家にですか、もう何も残っていませんよ」

 「そうですか?ジャガイモや玉ねぎのバラを持ってきますが」

 「そのくらいなら家にあります」

 「そうですね。ぜひ、ここに勤める事になったら持ってきてください」

 「勤めるですか・・職場ならあります。

 ただ、今は仕事が無いから休めと言われています」

 「ええ、皆さんそうですよ。

 ここの仕事は、7日間だけです。

 それ以降、ここに勤めたい人は相談に乗るそうです」


 更に隣の作業台、”厨房”と書かれている。

 幾人かがまとまって話を聞いている、女性が多い。

 「ここの厨房は、朝番と夜番の二班になります。

 朝番は、早朝から出て、下ごしらえを調理します。

 出す食事は、標準サイズのパン2個・スープレードルで野菜スープ1杯・一握り分の干し肉か干魚。ただ、冒険者や重作業担当は、パン3個です。

 狩りが始まれば、干し肉や干魚が、調理した肉や魚の一品に変わります。

 食器を洗う暇がないので、食器は持ち寄ってもらい、

 食後の食器は、裏の井戸でゆすいで持ち帰りになります。

 調理が終わると、夜の分の下ごしらえをしてもらいます。

 夜番も同じ作業となります」

 熱心に聞いているのは、主婦だろう。

 7日だけと聞いて、その後も雇ってもらえるのかとか、

 小さな子供がいるが、連れて来ていいのかとか聞いている。

 どうやら、一室に子供部屋を作る必要があるようだ。

 後日、子供の年長者に一室を与え、

 ボスに任命すると小さな子供の面倒を見る様になっていた。

 さすがに、乳児は無理なので専門の保母を雇うことになる。


 その隣、5台の作業台を並べてある。

 順に。

 一番人気の無い台、”苦情処理係”。

 ここには、誰も並んでいない。


 隣、”食材査定係”。

 幾人かは並んでいるが。

 「例えばです。

 このジャガイモが、標準サイズとなります。

 これを評価”1”とします。

 この小さなジャガイモですが、こぶしの大きさまで数を揃えます。

 一塊が評価”1”となります。

 それをこの受け入れ用紙に書き入れていきます。」

 ここで一人が席を立った、どうやら文字が書けないようだ。


 「ここに持ち寄る物は、最初はコン野菜や玉ねぎ・干し肉や干魚でしょう。

 しばらくして森での狩りが始まると、獣や魔獣がここに持ち込まれます。

 その獣や魔獣の評価も、ここで行います。

 ただ、素人ですと無理ですので、元ギルド職員の経験者が立会います。

 評価が終わった獣は、工場と連携している解体業者に回します。

 解体した部材は、全て持ってきますのでここで受取ります。


 解体した部材の内、肉は”食材搬入在庫管理”へ。

 他の部材は、欲しい工房へ評価後に引き取ってもらいます。

 それでも残った部材は、廃棄処分となります。

 (これは、細断してスライムの食事となる)


 それと、漁が再開すれば、港から魚が持ち込まれます。

 それも評価して、”食材搬入在庫管理”へと引き継ぎます」

 「その評価は、誰でも出来るのですか?」

 「最初は、こちらで評価します。

 自分でも練習に評価して見てください。

 慣れてきたら、皆さんが評価します」


 隣は、”素材査定係”となっている。

 「こちらは、瓶作製に必要な素材の評価搬入係となります

 例えば、持ち込まれたスライムですが、

 標準サイズ(こぶしだい)のスライムは、評価”2”となり、

 サイズに応じて評価を変えていきます。

 その他に、瓶製造から採取依頼の出された薬草や素材の評価もします。

 評価が終わったら、瓶製造に引き渡していきます。

 瓶製造に必要な魔道具や資材は、製造部門で直接、発注と受け入れを行いますので、こちらの管轄となっていません」


 意外に人が少ない”人材管理”。

 「こちらは、ここで働いた人の評価管理になります。

 仕事毎に評価点が決められています。

 毎日の労働時間に評価点を掛けて、基準評価を計算します。

 決められた労働以外の評価を加算。

 食事などの評価減を集計する仕事になります」


 次の”書類作成整理”。

 ここには、それなりに教養のある人が多いようだ。

 「隣の”人材管理”に回す、評価を公開します。

 例えば、”スライムを25匹収集してきた、4人パーティー”ですが。

 全部標準サイズであれば、評価点”2”なので、評価は”100”となります。

 ここまでは、他の部門から書類として回ってきますので、それを掲示板に公開します。

 4人均等であれば、一人評価”25”となります。

 1日公開の後、問題がなければ、各個人毎に評価書を作成して”人材管理”に回します。

 これ以外にも、食材の評価、狩りの評価、採取の評価など、評価したすべてを公開していきます」

 「それは、時間の無駄なのではないですか」

 「そう、これはかなり面倒な作業になります。

 時間もかかるし、評価を見た人の苦情も来ます。

 ただ、全て公開する事で、融通や忖度を排除出来ると思っています。

 こちらで対応できない苦情は、”苦情処理係”へ回してもらいます」

 ほう、と声が聞こえるが、肝心の応募が無い机を見て思案顔になっている。


 最後の”工場雑務”。

 これに並ぶ人が多い。

 理由が、”文字を読めなくても可”・”計算不要”と書かれている。

 それが話として流れ、多くの人を集めたようだ。

 実は、この仕事の評価点が”1”になっている。

 朝から10時間働いて、評価10。

 朝や夕方の食事評価が”5”なので、10時間働けば2食分になる。

 査定係は、評価点”2”なので5時間で済むのだが、応募する人が絶えない。


 そのほかに、警備や研究があるが、こちらは専門職になるので応募はしていない。


 基本的な考え方として。

 1日働けば、2食を保証する。

 危険な狩りなどは、評価点が大きい。

 室内でも、力仕事など通常と違う仕事の場合は、別評価点がもらえる。


 希望すれば家族単位の受け入れをする。

 例えば、若夫婦で、男が資材搬入、女が厨房、幼児が子供部屋で保育要の場合。

 通常、一日10時間労働が標準なので、男は評価点20。

 厨房は、開始から終了までとなっていて、評価点20。

 幼児は、朝から昼過ぎまでなので、評価点”ー2”。

 2回の食事代が、夫婦で評価点ー20。

 幼児が、介添え付き食事で評価点ー20。

 自分達で食事をするなら幼児分評価点ー10。


 1日収入評価点40。

 1日支出評価点ー30。(介添え不要)

 この差、評価点10は、7日以降に集計して現金で支払われる。

 当然、負債となった場合も、工場への現金支払いが発生する。


 なお、容器を持ってくれば、家族用の持ち出しを認めている。

 その場合の評価点は、1食ー10。

 家族人数を超えない範囲で、2食分まで認める。

 夜持ち帰って、家族で夕食、朝食できる事になる。

 この全てを評価集計して、7日以降に現金で収支される。


 ちなみに評価”1”は、銅貨10枚(100円相当)として計算する。

 スライムが異常に高かったり、労働賃金が異様に安いようだが、これは7日限定の評価なので、8日以降は従来の計算となる。

 あくまで、工場勤務者限定の評価なので、”食事だけ欲しい”などの要望は受け付けない。

 さらに、7日間は工場以外の取引が出来ない。

 工場と取引として契約する場合を除き、雇用された冒険者は全ての素材や採取を工場に持ち込む必要がある。

 違反すれば、その場で雇用が打ち切られる事になり、8日以後も工場と関係を持てない。





 作業台を眺めていると、通りが騒がしくなる。

 どうも待っている男達が、言い合いを始めたようだ。

 「おいおい。俺たちは、炊き出しがあると言うから、こんな朝早くからきているんだぞ。それがなんだって、職を募集している?

 そんなの関係ねえ。あっちから大人しく順番待ちしていたんだ。

 聞けばこれから厨房で、飯を作るとかいうじゃねえか。

 俺たちにも食わせろ」

 それに、門番の老人達が対応しているようだが、辺りから人が避難している。かなり、不味い状況のようだ。

 そこに、深い緑色のポンチョを被った爺さんがやって来た。

 「なんだ爺さん、邪魔しないでもらいたいね。

 俺たちは、飯を食いさえすれば帰るよ。

 爺さんも食うかい」

 「わしは、きちんと労働した上で食べる事にするよ」

 「ま、爺さんが労働ね。しっかりやりなよ」

 「そうするよ、だからな。おとなしく帰りな」

 「なんだって、この爺。おれに意見する気か」

 「みんな働いて食事が出来ると、並んでいるんだ。

 働けない(働く時間が無い)者は、帰っているだろう。

 君もそうしたら、いいじゃないかな」

 周囲の人が頷いている。

 「ふざけるな!」

 男は、こぶしを振り上げ、老人目掛けて突き出す。

 爺さんは、予測していたように半身をかわし、突き出された腕をつかみ、そのまま勢いがつくように振り回す。

 男は、空を切ったこぶしの勢いに合わせて、前に突き出された勢いが合わさり、思い切り路上に倒れ込む。

 「てめい」

 鼻から血を流しているが、それを気にもせず、今度は腰を落としてこぶしを作ると打ってきた。

 「やめたらどうだ」

 言いながら、こぶしを両手で受け、そのまま握ると体をひねって男の腕をねじる。

 「イテテ、放しやがれ。この爺」

 更にひねっていくと、たまらずに地面に倒れ込む男。

 ポンチョがめくれて中が見える、革の鎧を着こんでいた。

 腰に短剣を仕込んでいるのも見えた。


 それを見ていた男達が、助けに入る。

 「君たちも仲間なのかい?」

 同じ色のポンチョを来た爺さんが3名、人混みから現れた。

 「なんだおめえたち」

 「なにね、そこの工場から護衛を頼まれてね。

 家でゴロゴロしていても暇なので、来てみたのだが。

 で、まだ騒ぎ足りないのかな」

 「ちぇ、おまえ達、帰るぞ」

 門番長に集まった爺さん達は、元騎士団長とその部下達。

 いずれも、歳を理由に解雇されたそうだ。

 解雇された団員は、もっといるそうで、全員来るみたいだ。

 総員28名、24時間交代で、工場の護衛をやる事になった。


 元騎士団に合わせて、町服の老人達も門番長にやってくる。

 門番長は、元騎士団長と老人達を俺に紹介する。


 「昨日の話を聞いていてね。

 こうなるだろうと、彼らに使いを出していたんだ。

 ただ、これ(元騎士団長)が家に居なくてね。

 副長達から話を広めてもらったんだ。

 それとね、彼らは館で事務方をしていた者たちだよ。

 きっと役に立つだろうと、声をかけておいたのだが、

 話を聞いてくれないか」

 どうやら、元騎士団長と同じ様に、歳を理由に解雇された老人達だと言う。

 それぞれに優秀な男達なのだが、なぜ解雇したのだろう。

 もちろん、工場の幹部として雇用が決まった。


 朝の食事は、以前工場で働いていた厨房のおばさんが作っていた。

 工場の爺さんが蓄えていた野菜や干し肉を使って作ったようで、

 かなり渋い顔をして、工場の爺さんは朝食を食べている。


 工場で働く人達が交代で朝食を食べていると、受付に並んでいた人混みは少なくなっていく。

 一旦帰って、家人と相談してどうするか決めるようだ。



 館の元事務方は、前の職場と同じ仕事を見つけると、以前から居たかのように、応募してきた住民を使い仕事を始めていた。

 おれは、背負い袋から食料を取り出し評価点に変えてもらうと、自分の職場に向かう。もう時間が無い。

 昼前、朝のゴタゴタが落ち着くと、扉の爺さんが近づいてきた。

 「これから館に行って、家賃を払うのだが、門はどうするね?」

 「出来れば、開け閉めしたいですね。

 あの扉、もうすぐダメになるんじゃないですか」

 「そうだね、あれほど頻繁に出入りしていたら、もう暫くしたら壊れるだろうね」

 「交渉できますか」

 「ほほほ、期待しないならやってみよう」




 「ああ、あんたか。

 上役なら言っていた通り、夜に帰ったそうだ。

 行くのか?」

 「そうかい、家賃を持ってきた。

 取り次いでもらえるかな」



 「家賃程度で、私が相手をしないといけないとか。

 私は、暇ではないのだがね」

 そういいながら、受取帳にサインをしている。

 以前、門番が受取、それを着服して姿を消した。

 捕えてみたが、もう金は持っていなかった。

 奴隷に売る話も出たが、初犯であり全財産(碌な物は無かった)を差し出したので、解雇だけで終わった。

 問題は、不足した家賃。

 結局、館と工房で不足分の半分を持つことになった。

 以後、館の責任者が受け取る事になる。


 「実はお願いがあります」

 「ほう、最近君の願いが多いようだが、何かな」

 「以前の住民が、戻って来ているのはご存じでしょうか」

 「ここ最近そのようだね」

 「住民から”北門を解放してほしい”と伝えてくれないかと、要望されているのですが」

 「北門ですか。

 あそこの維持管理の護衛は、解雇したのでいません。

 町を危険にさらす訳にはいかないので、解放はできません」

 「森からの魔獣や獣の侵入を心配されているのですね。

 それなら、住民が手分けして門を管理するので、任せて欲しいと言っています」

 「そうですか。それでも、開閉すれば門が痛みます。

 こちらで修理費を出す訳には・・・」

 「それも、住民が維持管理して、修理があれば負担するそうです」

 「ほほう・・・なら、あなたの工房で修理し、門の開閉の責任者と契約できれば許可しましょう」


 翌日、門番長と館の門番の上役、”館の家令”との間に契約が成立した。

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