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ガミリア共和国 第38話 北門の英雄① スライム瓶創世     (低級ポーションの価格)

すみません、あまりに厚いので脳に血液がまわりません。

涼しくなるまで、更新はゆっくりとなります。

 俺たち3人の意見は、なんとかまとめた。


 一旦「北門の肉屋」は、解散。

 それぞれの村に帰って、家を手伝う。

 これは、行商人達が言っていると言う、”村々で病気が蔓延していて、今年の作物は駄目じゃないか”。

 この噂が本当なら、自分の村も幼なじみの村と同じになっているかもしれない。

 そこで、この家は近所の婆さんに見てもらって、村に帰ろうとしていた。

 北門が館にばれて、手配書が回ったら国外に逃げられるように、旅の準備をはじめようとリストを作っていると。


 ドアをノックして、血判状の最年少パーティーが入って来た。

 かなりやつれている様子なので、事情を聞いてみる。


 そのパーティーは、北門が使える様になると、以前と同じように狩りと採取を行っていた。

 買取業者がいないので少し遠くに売りに行ったり、北門の負担金があったりと、以前よりは大変だが何とか黒字で生活していた。

 だが、低級ポーションが無くなり、森に入る事が出来ない状態がしばらく続いている。

 最初は、ポーションを使いまわして何とかしのいでいたのだが、手持ちが無くなり。方々を探したが、何処にも低級ポーションだけが無い状態だと分かった。知り合いの錬金術師に相談したが、瓶が無いのでポーションを作れないと言われたとか。


 もう無理だとパーティーを解散しようとしたのだが。

 6人いるメンバーのうち、村に帰れるのが3人。

 1人は、家を追い出されたとの事。

 もう1人は、人買いに売られる前に逃げてきたそうで。

 最後の1人は、両親や親類が居ない孤児だった。

 3人を面倒みれる程、帰る村に余裕はない。

 それどころか、自分らも、受け入れてもらえるかもわからない。


 困ったすえ、北門を考えた事も無い方法で通れるようにした、フレッドさんなら何とかしてくれるだろうと訪ねて来た。

 すがるような目をされて、こちらもここを逃げ出す算段の途中だと言える訳もなく。


 状況を知る為と、この間集まった工房に、血判状のリーダーを集める様に指示しておく。

 困った。

 これで、この町から出ていけるだろうか。


 作業台を並べ、工房で待っていると、30分程で集まって来た。

 全員息を切らしているので、走り回ったのだろう。

 実際、席に座り話を始めると、血判状のパーティー全員が集まっていた。

 こちらの邪魔にならない様に、後方に座りジッと聞いている。



 2台の作業台を囲む様に、8人のリーダーと俺たち3人、工房の爺さんが座った。

 「では、始めようか。なぜ集まってもらったか、分からない人もいるだろうから、こちらで知っている状況から説明しよう」


 「ことの始まりは、3日前、近所の工房から低級ポーションが無くなった事から始まる。

 それから1日、なんとかやり繰りしていたが手持ちのポーションが無くなり。

 次の日、あっちこっちの工房、ギルドをまわって低級ポーションを探したが何処にもなかった。

 昨日、他の仕事を探したが、何処にも仕事がなく、逆に仕事をさせてくれと言われた。

 今日、そこのリーダーが訪ねて来て、同じ状況だと分かった。

 みんな、これと同じかな?」

 各リーダーと後ろのメンバーが、一斉にうなずく。


 「そこで、原因だが。

 低級ポーションの瓶が、無くなったのが原因だと分かった。

 では、他のポーションは在るかというと一部の中級ポーションも品薄になっているそうだが、俺たちはそんな高価なポーションは使えない。

 一部の工房で、スライム袋にポーションを入れて販売したら、あっという間に売れ切れてしまったと言う噂話も聞いている。


 その他にも、ポーション用の素材も不足しているそうだ。

 理由は、低級ポーションが無いので、素材採取に行っていないとの事。

 今日の時点で、町から低級ポーションが無くなっているのだと思う。


 ここに至っては、瓶が無くなった原因を知ってもしょうがないのだが。

 一応説明しておく。


 ある工房が、瓶を受注した。

 その数7000本だと聞いている。

 瓶1本に標準スライムが10体、いくつものパーティーが町周辺のスライム70,000匹を狩り、ついに狩りつくされてしまった。

 やったのは、初心者クラスや初級冒険者。

 彼らは、全部狩りつくせば、狩場として再生する時間が必要になると、ギルドから言われていたが、低額の依頼の為、数をこなして依頼料を稼いでいたようだ。

 それで、町付近からスライムが消えた。

 森に入って集めるしかないのだが、低級ポーションも無しに、しかも低い依頼料では、完全に赤字になるので誰もスライム収集を行っていない。

 これが、瓶が消えた原因になる。


 その瓶7000本だが、その工房では数をこなせないので、いくつかの工房に頼んで作ってもらったと言う。

 工房の親方によると、依頼した男を、誰も顔を見たこともないそうだ。

 それでも、定期的に表れては、瓶と引き換えに金貨を支払うので、何に使うか詮索しないで作っていたのだと。

 だから、その男に頼んで瓶を分けてもらう事も出来ない。

 こんな所が、今の状況だが、他に知っている人はいますか?」

 誰も顔を見合わせているだけで、言葉も出ないようだ。


 「次にこれからだが、門を閉鎖して他に行こうと、全てのパーティーが検討したそうだ。

 結果、それぞれが出来ないと結論に達したと聞いている」

 これには、全員がうなずいている。


 「そこで、俺になんとかしてほしい。だな?」

 少し困ったような、期待しているような微妙な顔で見られた。


 「そこで、近所の錬金術師を呼んできてくれないか」

 「あの変り者の爺さんか?」

 「そうだ、噂だと”ポーション瓶を創った人”なのだという。

 話を聞くだけでも解決の方法が、見つかるかもしれない」

 爺さんを知っていると言う3名が席を立ち、足早に向かう。


 「来るでの間に、毎日ポーションをどの位使うのか教えてもらえるか」

 聞き取りによると、1回3本から8本使うそうだ。

 狩りに出かける前に、ポーション鞄に10本の準備をしておくと言う。

 8パーティで初回80本、以後毎日50~60本消費と見ればいいだろう。


 「待っている間に、北門周辺の状況を知っている人はいるか?」

 ポーションが無くなって3日、俺たちは北門に行っていない。

 「おれの周り、数日前まで空き家だらけだったのだけど、一昨日から前の住民が戻ってきている」

 「そうだな、買取業者も戻っているぞ。また始めるからよろしくと言われた」

 「業者といえば、商店も戻っているぞ。どうもあっちでも売り上げが無くなったので、戻ってきたとか言っていた。

 ただ、売る物がないとか言っていたな」

 「店だけじゃないぞ。工房も戻って準備し始めている」

 あちらこちらで、そんな話で盛り上がっている。

 ただ、共通しているのが、”移転先で仕事が無くなった”、”戻っても仕事がない”状態だと言う。

 そういえば、急にここいらがにぎやかになっていたな。

 「ただ、木こり連中だけは、戻っていないようだぞ」

 それは、館が関係しているのだと知っている。


 わいわいがやがやと雑談で盛り上がっていると、迎えに行っていた3人が爺さん2人を連れて帰って来た。

 「やあ、ポーション瓶の話を聞きたいんだってな。

 ついでだから、儂の仲間も連れてきてやっだぞ」

 なんだか偉そうな爺さんが来た。


 席に座ると。早速始まるポーション瓶講座。

 「お前さんたち、低級ポーションと高級ポーションの違いって知ってるか?」

 ざわざわと話し出す、それを聞いている爺さん。

 「なんだ、ろくに知らんようじゃな。」

 そこから、ポーションについて話始めた。


 薬は、薬草と薬効のある物をすり潰して作る。

 これは知っているだろう。

 レシピは、薬師も錬金術師も、限られた弟子にしか教えない。

 薬師や錬金術師、魔法使いによってレシピが違う。

 その数だけポーションがある。

 ならば、薬効の高いポーションと低いポーションが出来る訳だ。

 そこで困るのが、お前さん達だろう。


 このポーションは、つけるとすぐに血が止まる。

 このポーションは、すぐに止まらないが跡が残りにくい。

 狩りの状況に応じてポーションを準備する事になる。


 しかも困った事に、このポーションはこのくらいの量が必要だが、こっちはこの倍近く必要になる。

 こんな風に、ポーションに応じて必要量を覚える必要がある。

 みんな、エッと意外そうに聞いている。


 実際は、そんな面倒な事をしていないだろう。

 そう決めたのが儂らだよ。

 どうりで偉そうにしている。



 そうだな、例に”腹の痛みに効く飲み薬”で説明しようか。

 工房で作る”飲み薬”は、基本1種類しかない。


 製法を工夫して、飲みやすく、薬効を凝縮して数量が少なく、移動に考慮してあり、扱いやすい。これが、高級ポーションになる。


 何も加工しない”飲み薬”、これが中級ポーション。


 ”飲み薬”を溶剤か水で薄めた物が、低級ポーション。

 ここで、工房内がざわめく。


 どうだ、驚いただろう。

 儂は、工房毎に薬効が違う状態を何とかしてほしいと錬金術師のギルドから依頼をうけた。

 同じ飲み薬なのに、工房毎に飲む量が違う、これだといちいち工房毎に覚える必要がある。

 狩りの最中、命のやり取りをしている時に「これを半分のんで、あとこれは2本ふりかけて」とかしていたら命がいくつあっても足りないだろう。


 そこでギルドに、治す症例毎に必要なポーション規格を決めさせた。

 例えば、どの工房の瓶を飲んでも”この程度の痛みは感じなくなる”という規格だ。

 その結果、規格化された瓶が必要になった。

 それも儂が作った、隣にいるのがその時の同僚だよ。

 隣の爺さんも偉そうだ。


 ところで、低級ポーションがどんな原価か興味あるか?

 これには反応が少ない。

 5人かな、聞いてみたい顔をしている。

 他は、まったく興味が無いか、少しなら聞いてもいいか、そんな顔。

 なんだ、面白くないのか、だったら聞きたいもんには後で教えてやる。




 この爺さん、話し出すと止まらない。

 となりの爺さんも、手にしたメモを見ながらブツブツ言っているし。

 このままだと3日は、話に付き合わされる。

 そこで、いきなり話をぶった切る。


 「かなり話をお聞きしたので、ここいらで話をまとめてみようと思います。

 要約して話してみますので、間違いがあったらご指摘していただけると助かります」

 「そうか、・・それなら話してみよ」

 どうやら俺のペースで話せそうだ。


 爺さんたちは、6人でチームを作って錬金ギルドから依頼を受けた。

 依頼は、ポーションの品質と数量がバラバラで、買いに来る人や行商人にいくら説明しても、理解してもらえないので改善したい。

 売れるのは、低級ポーションなので、こちらだけでも良い。


 そこで、対象を液体ポーションとした。

 塗り薬や錠剤は、対象外。


 そこで、ギルドと話し合いの上、決めたのが。

 瓶を一種類にして、他を認めない。

 蓋を付けるが、非常時に使用しやすいようにする。

 中の薬効を基準として、入れる量で調整する。

 この基準で、どの工房の瓶を使っても、一定の薬効が期待できる。

 さらに瓶の試作を繰り返して、現在の形状と蓋の仕様を決める。


 ここで、仲間が質問を始めた。

 どうも今まで聞いていて、気になっていたようだ。

 「なあ、ガラスは候補にならなかったのか?」

 「もちろんガラスも確かめたさ、でもダメだった。

 ポーションを使ったら鞄に戻さずに、放り投げる。

 命のやり取りの最中に、鞄へ出し入れなど出来ないからな」

 「それは、スライム瓶でも同じでは?」

 「違うぞ。ガラスは割れると鋭利な断面が、幾年も残る。

 それに気づかない冒険者や獣がケガをするだろう。

 森でのケガは致命傷だ、血の匂いが肉食獣や魔獣を呼び寄せるからな」

 「確かに、でもそれはスライム瓶でも同じでは?」

 「ああ、瓶を安定させればガラスと同じになる。

 だからわし達は、その手前でスライムの要素を残したのだ。

 だから、ガラスより柔らかく割れにくい、しかも森や川に放置してもさほどの時間を要せずに分解してしまう。

 どうじゃ、すごい発明じゃろう」

 「それでか、ギルドから買うたびに、瓶の下の日付を指さして”使用期限を過ぎたら廃棄してください。使用期間は10日で、この日までです。それを過ぎたポーションを飲んで、病気になってもギルドは関知しません”と、うるさく言っているのは」

 「そうじゃ。それが欠点じゃが、問題ないだろう」

 「そうでもないぜ。いま瓶不足で困っているのは、使用期間が短いので、誰も在庫を持っていないのが原因だからな」

 「そうじゃが、まさか瓶が足りなくなるとは」

 「そこで提案なのですが、何とか出来るとしたら協力してもらえますか」

 「おまえ、本気か?もう猶予は、ないのだぞ。

 今日明日にでも、瓶を。いや、低級ポーションを流通させないと、この町全体がスラム街に変わってしまう」

 「ええ、分かっていますよ。

 報酬もいりますよね。

 前回以上になると思いますよ、報酬は”瓶の新しい作成レシピ”です。

 どうです、これをギルドに売れば、そこの館が建てられる位の報酬になるのじゃないですか」

 「ほんとうか?」

 「ええ、どうしますか」

 「もちろん協力する、わしらの工場を使ってくれ。

 この広場位の広さがある。

 魔道具も売るほど持っている。

 全部使っていいから、レシピを教えてくれ」

 「よし、契約成立だ」


 おれは、この爺さんを良く知らないので、爺さんを見てひそひそ話をしているやつに聞いてみる。

 「あの爺さん、本当にこの位の広さの工場?を持っているのか?」

 「なんだ知らないのか。

 あお爺さん、ここいらではかなりの変人で有名だぜ。

 その工場ってとこで、拾って来た魔道具や修理出来ない魔道具を集めて、別の魔道具に変えて売っているのさ。

 腕は確かだぜ、さすがに瓶を創ったとは知らなかったが」


 一旦解散して、爺さんの工場を見に行く事にした。

 ところが、この話は、戻った冒険者達が知り合いに話す事になる。

 北門周辺の工房や店、普通の住民にも広がった。

 ”瓶の新しいレシピを知っているフレッドが、工場で作り始める”

 低級ポーションは、冒険者達だけが使うのでは無い。

 漁師も、日々狂暴な魔魚や肉食魚を相手に漁をしている。

 ケガをして血を海に流すと、サメやシャチ・魔魚に襲われる。

 彼らも命懸けなのである。

 そこに、低級ポーションが消えた。

 漁に出る者が極端に減ってしまい、市場から魚が消えているのだ。


 彼らは、工場に集まりだした。

 もう余裕はない。

 フレッドだけが頼みの綱となっていた。

低級ポーションの価格(8/12☆価格を調整しました)


 同じ薬効のポーションでも、その価格は雲泥の差がある。

 大雑把に言えば、瓶は共通なので入る量は同じ。

 しかし、半分しか入っていない瓶と淵近くまで入っている瓶がある。

 当然、一瓶の価格は違う、金額を理解しやすいように現代円で表記してみる。


 淵近くまで入っている瓶を、300円とすると。

 半分の瓶、500円となる。

 大体こんな価格になる。


 低級ポーション用のスライム瓶だが。

 形状は、”山村ヨーグルト”に酷似している。

 大きさは、淵近くまで入っているポーションが100㎖入りとなっている。

 蓋には、フィルム状にしたスライム紙を下に、軟質の木製(薄くしたコルクが多い)で蓋をしてある。

 使用時は、フィルムを引いて開けるか、木製の蓋を指で押し割り口でフィルムを噛んで蓋を取る。


 狩りの最中、切傷や裂傷を止血する方法だが。

 利き手は武器を持っているので、片手でポーション鞄から止血用瓶を出し。

 指で押し割って、非常時はそのままふりかける。

 多少余裕がある時は口で蓋を開けて、傷口にふりかける。

 塗り薬の方が薬効があるが、狩りの最中ならふりかけるしか方法がない。

 少量で薬効があるなら、ふりかける手間が少なくて済むのでやや高額になっている。


 ここでは、500円の低級ポーションを仕分けしてみる。

 ポーション価格は、薬効分をおよそ40%として価格を決めるので、

 薬効価格、200円

 瓶価格、  50円

 工房利益、 50円・・・ギルドへの出荷価格、   300円

 工房利益、100円・・・工房に直接来た行商人価格、350円


 ギルド内で買う冒険者への販売価格、450円

 ギルドに来た一般客への販売価格、 500円

 行商人が売る販売価格、      500円


 ギルドで評価する瓶代の内訳は

 収集依頼料、標準スライム価格、1匹3円

 1瓶10匹使用するので、スライム代30円

 工房内瓶作製費用、        10円

 残余物処分費用【ギルド作業分】、 10円

            ・・・瓶代 50円

 ※瓶代は、50円として一旦支払い、後日スライムプールでの処分費10円分を集計後、徴収する。 


ギルドのスライム収集価格の考え

 初心者クラスや初級冒険者は、スライム収集だけでは、生活費を稼げない。

 初級冒険者は、主に森で罠を使用した小動物を狩る。

 その空き時間(か帰宅時)に、スライム収集をして依頼料の補完をしてもらう。


 初心者クラス。この段階だと、初級冒険者になれる手前になっている。

 茶スライムを卒業して、通常のスライム収集を受ける事が出来る。

 ただ、初心者クラスの依頼と並行して、依頼を受ける事になる。

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