↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/44

ガミリア共和国 第33話 北門の肉屋④             (ゴブリン・ホブゴブリン)

 何が問題なのか?


 北門が閉鎖された。


 それで、どう困っている?


 毎月、オークを2頭、馴染の肉屋に収めていた。


 それが無くなると困る?


 確かに、大きな収入が無くなる。

 でも

 どうだろう、家の金は払い終わっている。

 だから、住む所に困らない。

 あとは、生活費かな。

 どうやって稼ごう?


 ギルドの依頼とか店から依頼を貰う?


 それは無理だろう。

 最初に居なくなるのが、買取の店。

 次に、ギルド、武器防具屋、鍛冶屋かな

 この頃だと、ここに仕事は無いだろうな。

 普通の店が無くなり、住民が引っ越す。

 これで、ここはゴーストタウンかスラム街になっているだろうな。


 じゃ、引っ越す?


 行くとすれば、魔物や獣のいる東門だよな。

 南門にも、森はあるけど、どう見ても小動物だけだろうな。

 こっちの冒険者達が、こぞって行くだろうから、元からいる冒険者達に恨まれるだろうね。

 狩場のイザコザとか、ああ、面倒事しか想像できない。


 いっそ、村に帰る?


 その方法もあったね。



 「まて、どうして後ろ向きにしか考えない」

 「そう言うなら、どうすればいい?」

 「例えば、門番にこずかいをやって・・」

 「朝開けてもらって、夕方また開けてもらう。でしょ、ダメよ。

 これを見て、門にぶら下がっていたのを、1枚貰ってきた」

 「なにが書いてある・・


 門の不正利用者に対する罰


 門を不正に開閉した者は、町に害をなす者として、極刑に処す

 開閉を強要または、買収や要請により出入りした者も同罪とする


 城壁の不正利用にたいする罰


 城壁の一部で、梯子や昇降用具を用いて、城壁を登り降りした者は、不要な不審者を引き入れる恐れがある

 これらの関係者は、鉱山奴隷として売却する


 ひでえな。完全に犯罪者あつかいだぜ」


 「どう。門や城壁は、領主様の所有よ。

 買収なんかやったら、こうなるわ。」

 「ああ、悪かった。あとは、船か。もうそろそろ、漁から帰る頃だろう。

 これから港に行ってみようぜ」


 「なるほど、船で城壁をまわって森に行きたいと。

 あんたら冒険者か?

 悪い事は言わない、あきらめな。

 ・・・理由?

 簡単じゃよ、こっちは何もないからいいが、向うに回ったら沈むよ。

 こっち側の海は、昔の土石流できれいに押し流れた。

 しかしな、あっち側には土石流は行っていない。

 わかるか、あっちにはサメの歯みたいな岩がゴロゴロしているのさ。

 満潮でも干潮でもかんけいねえ。

 船底をガリガリと削り取ってしまうんじゃ。

 分かったなら、帰りな」


 それでも納得できないで、食い下がってしまった。

 「あんたらもしつこいな。

 昨日も、あんたらと同じ冒険者が来たんだ。

 あまりにうるさく言うんで、船だけ売ってやったんだがよ。

 するとどうだ、夕方帰って来た、仲間の船にいたよ。

 土左衛門になっていたのを、引き上げて来たと言っていた」


 北門の冒険者だろうと、どんな人だったか聞いてみる。

 その人相や身なりから、顔見知りの冒険者で間違いないだろう。

 さすがに、船を出す勇気が無くなった。




 何をするでもなく、北門にやって来た。

 森が燃えだして、失敗すれば元に戻るだろうか、など、しょうもない事を思っていた。


 このあたりからだと言われたが。

 俺以外は、気付いていたそうだ。


 俺たちは、引っ越しの手伝いで忙しく動き回っていた。

 意外な仕事に、多少は喜びながら、今後の不安が増大していく。


 最後のオーク肉を収めたのは、閉門の2日前。

 それから10日たっていた。

 そろそろ結論を、と考えていたら。

 幼なじみの二人から結婚するので、実家に挨拶に行ってくると言われた。

 寝耳に水の俺、素直に祝辞をいう二人。

 その日のうちに、村に帰って行った。


 その間も引っ越し依頼は、減らない。

 早く終わって家に帰ると、馴染のの肉屋が待っていた。

 「よお、またオークたのむぜ。

 実はな、ギルドに大型の魔蔵庫があるだろう。

 あれを、格安で買ったんだぜ。

 今日は、それを保管庫の奥に入れてもらったんだ。

 もうすぐ期日だ、よろしくたのむよ」

 上機嫌で帰る店主、こちらは呆然と見おくっていた。


 「どうすんだよ」

 顔を見合わせても、どうしていいのか分からない。


 自然と北門に向かっていた。

 北門の辺りには、一人だけで、他に誰もいない。


 もう終わりだと言って、その冒険者も帰っていく所だった。

 

 北門の作業は、ほとんどが終わっていて。

 責任者の男と3名の男達は、北門周辺の見回りをしている。

 最後に処分した木が燃えていないかの点検中だと言っていた。


 昨日、館から人が来て状況を見て回り。

 上々の結果だと、満足して帰ったそうだ。



 遠くから人の声がする。

 悲鳴のような、助けを求めるような。


 俺たちは、顔を見合わせると城壁を登っていく。


 森を突っ切る一人の男。

 チラチラと見える顔は、見知った顔ではない。


 何かに追われているようだ。

 「こっちに来るな。門は閉まっている」

 叫ぶが、森の中では物音より小さく聞こえるだろう。

 気づいた様子もなく、一直線に北門を目指して走ってくる。


 「あいつ、門にぶつかる気か?」

 「それより、あいつの後ろを見てみろよ」


 木の隙間からその姿が見える。

 「あれは、ゴブリン?」

 「だよな、3匹いるぜ」

 「あいつ、東門から連れて来たのか?」

 「そうじゃないだろう。

 俺たち、門から出してもらえないだろ。

 森で狩りをしていないんだ、色々かなり増えただろう」

 「それを狙って、ゴブリンが入って来た」

 「会ったのは、偶然だったんじゃないのか。お互いが、姿をみて驚いたんだろうな」

 「それで、近かった北門に逃げてきた?」

 「だと思うよ」

 「ゴブリンだぜ、やっちまえば良いだろうに」

 「あいつの装備を見てみろよ、どう見ても、初心者に毛が生えている冒険者にしか見えない」


 みるみる近づく冒険者。

 助けてくれ、門をあけてくれ、と叫ぶが、俺たちに出来ることは無い。

 城壁の上の男達も、同様に困惑している。



 森から抜けて、広場に出る冒険者。

 広々とした空き地に驚いた顔をしていたが、門は目の前にある。

 あれほど叫んだのだ、確信をもって門に突っ込む。

 開くはずのない門は、その衝撃で。


 ギッ 金属が軋む音。

 ギィー 金属が石を削る音。


 暫時の空白


 パターン 大きな物が空気を押し分けて倒れた音。


 驚いて町の方を見る。


 そこには、倒れた北門と頭を打って失神している冒険者がいた。


 音と門の中に町を見たゴブリンは、立ち止まった後、森へ帰って行った。

魔物★★ ゴブリン・ホブゴブリン


 魔物の代表として、ゴブリンをあげる者はおおい

 その特性から、記憶に残るからだと言われている

 特性:1匹を見たら、100匹いると思え

 特性:人を見つけると、突然狂暴化し襲う

 特性:体型は、成人前の子供に似ている

 大人の体型をしたゴブリンは、ホブゴブリンと言う


 北門の冒険者達には、ゴブリンに対する共通認識がある

 ゴブリンは、人の子供の魔物化した魔獣

 ホブゴブリンは、大人の魔物化したもの


 その理由を聞かれると、そろって言う


 北門の森には、ゴブリンは居ない。

 なぜなら、子供を捨てに来れないから

 北門を通るのは、木こりと護衛、森に狩か採取に行く冒険者

 出入りするのは、門番の顔見知りだけで、よそ者はいない

 門は、朝開けて夜閉める

 戻ってこない者の情報は引き継ぐ

 子供を捨てるのは、主に村人だが、わざわざ北門にくる必要はない

 町の人も、出入りを監視される北には来ない

 対して、東門の森には多数のゴブリンがいる


 それらが、人の子供が魔獣化していると信じている理由になっている


 ホブゴブリンの数が少ないのも、理由がある

 子供の生殖器は未熟で単に形になっているだけ、

 それを引き継いだゴブリンも、未熟な生殖器でしかない

 対する、ホブゴブリンは、性交渉により増殖する


 大人が森で迷い、魔獣か肉食獣と遭遇すると逃げる

 この逃げる行動は、満腹でも獣を刺激し捕食対象になってしまう

 対して、子供は見つからない行動をとるので生存率が大人より多くなる

 魔獣化する人が少ないうえ、出生まで時間がかかり、生育の環境が厳しいのも、ホブゴブリンは数が少ない理由になっている


 では、ゴブリンはどうやって増殖しているか

 ある仮説が有力になっている

 ゴブリンの特徴の一つに、出べそがある

 狩りそこなったゴブリンだが、

 1度目は小さかった出べそが

 2度目は大きくなっていた

 3度目は無くなっていた

 これから、成長出来ないゴブリンは、取り込んだ魔素を、出べそに貯め込むのではないかといわれていた

 それが一定の大きさになると、体から離れて、ゴブリンとなる

 ただ、元がゴブリンなので、元の大きさ以上に成長できない

 その後、出べそができ、肥大化する

 これで、ゴブリンの群れが急激に増殖する訳を説明できる


 子供の時期に捨てられた記憶が、人をみれば怒りの感情となり狂暴化する理由となる


 ホブゴブリンがゴブリンを導く、というのも納得できるのである

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。