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ガミリア共和国 第17話 魔道具                (魔道具解説 スライム板(瓶・袋)

 最初に港湾都市ナバリアに入ったのは、きしと兄さん。入場料を支払い、問題無く入って行く。


 きしは、買い付けが終わったら出発したいのだが、兄さんはせっかくだからゆっくり町を見てみたいと言う。しばらく続いた窮屈なベッドや野営もあって、数日のんびりする事になった。


 大通りの裏手に宿を取った二人は、それぞれに散策に出かける。


 きしは、町の裏手の工房を訪ねる。特に魔獣と戦った訳でもないのだが、長い間潮風にさらしてきたので、工房を兼ねた武器の店で武具・防具のメンテナンスを頼むと、市場を覗きに出かけて行った。メンテナンスに三日かかるそうなので、それまで町をブラブラしていると言う。


 ここまで、臭い干物を背負ってきた兄さん。もう干物はたくさんと、干し肉の買い付けをしている。想定より多く買った兄さんは、宿に配達を頼むと、楽しみの魔道具巡りを始める。


 流石は大きな都市だけあって、洗練され無駄の無い魔道具に関心はしたが、特に興味を引いた訳ではない。

 もっと変わった物はないかな。裏通りに行くがすすけた魔道具になり、さらに興味をなくした。

 「お客さん。どんな魔道具をお探しで?」

 興味の無い顔で、見ていたからだろう。店の邪魔になると、声をかけて来た。

 「もっと、こう変わった物が欲しいのだが」

 素直に言うと。

 「ここには、生活に便利な物はありますが、変わった物ですか。そうですね、この先に、ここいらでは”変人”と呼ばれてる錬金術師が店をやっています。ただ、かなり偏った商品だけなので、普通は教えたりしないのですが」

 変わった客が来たと、厄介ばらいしたいのだろう。その店の場所を教えてくれた。


  領主の館を囲む城壁。その外側に建つ城壁の中には、小ぎれいな店や裕福な家、数は少ないが貴族はいるのでその屋敷が立っている。

 旧市街地を開発する際に、平民や貧民層を追い出して出来た貴族街と呼ばれる区画になる。

 外周の城壁の中に、平民や貧民の住居、それにみあった店舗や工房などが乱立している。


 領主の館に続く大通りに立つ店は、それなりなのだが、それでは兄さんの興味を引かない。

 そんな店から教わった店は、都市のはずれにあった。


 ここかな。スラム街と言ってもいいような雑然と店や工房、みすぼらしい住居が立ち並ぶ一角に店はあった。

 教えてもらわなければ店だと分からない、看板も無いし店と分かるドアでもない、一見するともうすぐゴミ屋敷になるだろう、そんな店だった。


 鍵の無いドアを開け中に入って行く。奥に人の気配はない。

 無人かな?いや、店だろうから、誰かいるだろう、それまで見ていよう。


 中にはいると、店内を見て回る。雑然となんの用途か分からない魔道具が店内狭しと並んでいた。

 すごいな、ぼくの工房も雑然としていたけど、これ程じゃなかった。

 感心して見ていると。

 「何か興味を持った物がありましたか」

 後ろから耳元でささやかれた。

 「ヒョ」

 変な声が口から出る。クスリと後ろの店員だろう人が笑う。

 「驚かさないでくださいよ」

 すこし非難めいた口調で言うと。

 「すみません、あまり熱心に見ていたので、声をかけるタイミングが分からなくて。」

 そう謝るが、顔は笑っていた。

 「もっと実用的で、変わった物はありますか」

 「そうですね」

 店員は、店をウロウロと幾つかの魔道具を取ると、こちらへと商談に使うだろう長椅子に座るよう手を差し出す。


 座って魔道具の説明を聞く。確かに変わっている。全て兄さんの興味を引いたのだが、特に気に入った物があった。


 「この魔道具は、ランタンです」

 そう、見た目は丸い輪の取ってが付いているランタン。その中に魔石が見える。

 「ランタンを待って、持った輪に魔力を注ぎます。」

 店員が実際に持って魔力を注ぐ。が、変わった様子はない。薄暗い店内で、ランタンを持った店員と兄さんがいるだけだ。

 「なにかあるんですか?」

 不審に思った兄さんが聞いてみる。

 「これを持ってください。魔力は通してあるので必要はありません。入れても時間が伸びるだけです」

 訳が分からず、ランタンを受け取ってみる。


 手に持つと、ランタンからの灯りで周囲が明るく見える。

 「なっ」

 不思議な光景に、言葉が出ない。

 「お気に入りましたか?それは有視のランタンと呼んでいます。選ばれた者だけが、灯りの恩恵を受ける事が出来ます」

 「選ばれたとは?」

 「それは、ランタンをこちらへ」

 返すと、反対の手を差し出す。

 「これを、そうですね。五秒ほど握ってください」

 言われた通りに握ってみると、突然辺りが明るくなった。

 「何人でもいいのですか」

 「ええ、大丈夫ですよ」

 気に入った兄さん。買えない値段ではなかったが、値引き交渉の末、思い切って買ってしまう。



 宿に着き、きしの顔を見て現実に直面した。

 「どうしたんだ、真っ青な顔をして?」

 きしにそう言われるが声が出ない。大事に持っていた紙袋を開け、ランタンをテーブルに置く。

 「ランタンを買ったのか?」

 それほど高くないランタンに、なぜ青くなるんだろう?

 「これはね・・」

 説明を始める兄さん。段々理解し始めたきしは。

 「それで、今いくら持っている?」

 聞いた金額は、数日宿に泊まれる分しか持っていなかった。


 「どうしよう」

 食料はあるので、野営をしながら、路銀を工面すれば、次の”農業都市イルミス”には、行ける。そこで兄さんの路銀は底をついてしまう。

 「その魔道具を買い戻してもらうのは?」

 「値切りの条件というか契約で、不良品以外の買戻しは出来なくなっている」

 「この宿には三日分払ってあるから、兄さんは、それまでに路銀を稼ぐ方法を見つけるしかないだろう。こっちは、明日冒険者ギルドに行って登録をしてくるよ。それで依頼を受ける事が出来るから、当面は安宿に泊まって依頼を受けて路銀を稼ぐとしよう」

 「ごめん」

魔道具★★ スライム板・スライム瓶・スライム袋


 スライムは、魔獣である。下位のスライムの魔石は、魔核と呼ばれ、未熟な魔石である。

 スライムは、外周を強度のある粘膜で覆われている。それを維持するのが魔石(魔核)からの魔法になる。なお、粘膜内部は、本体であり人でいう胃液を含んでいる。スライム体形の維持と成長の為、構成物質である、魔素と瘴気を取り込むための器官となる。


 冒険者ギルドや魔法ギルド・錬金ギルドから頻繁にスライム採取が依頼される。

 採取する方法だが、上位のスライムは魔石を専用の引っ搔き棒(先端が尖っていて魔石をひっかける面を大きくした棒)で引き抜く。下位スライムは魔核をなるべく残して割る(砕く)。魔法の維持が出来ないので粘膜が崩れ始める。崩れる前に、スライム全部をスライム袋に入れ密閉する。

 スライム袋と魔石がセットとなり、1セットいくらと依頼料が支払われる。


 魔石は細粉しスライム袋から取り出したスライムと攪拌(かくはん)し混ぜる。ある素材を加える事で、固定化させる。

 型に流し込んで板状にしたのが”スライム板”。瓶状に加工したのが”スライム瓶”。ビニル(レジ)袋の様に加工したものが”スライム袋”と呼ばれ、スライム採取様に密閉出来るものがある。


 スライムは、誕生や成長の過程で様々な物を吸収する為、多種多様なスライムが発生する。

 その為、色が付き不純物が混ざっているのは普通品となる。高級になるほど無色透明で不純物を含まない。


 低級ポーションは、竹に穴をあけ竹栓で封をするものが一般的になる。

 中級ポーションは、密閉されたスライム袋(分かり易く言うと、袋入りゼリーの形状を簡易にした物)に入っていて、端を噛みきり飲むか振りかける。

 高級ポーションは、スライム瓶に入っていて、蓋がある物、アンプル状になっていて蓋を折る物など使用方法や製作者により形状使用法が違う。


 スライムを固化する方法や袋や瓶に加工する方法は、錬金術師や魔法使いの秘伝となっていて、認められた弟子にだけ伝授される。

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