FILE16 もうすぐ近づく
秋も深まる今日この頃。彼らは笹舟をひたすらに織っていた。
「ふぅ、これで100ーっ」
瑠亜が両手を広げ、大の字になって後ろに倒れる。そして、それを見て飛夜理が「お疲れ。」と瑠亜の腹にペットボトルのお茶を落とした。
「うぐっ」
「ほら、まだあと100作るー」
「わあぁ、飛夜理が意地悪だぁぁ」
瑠亜は嘆いていた。悠志は続いて、「…………終わったから、手伝う」と言って、笹舟をまた織り始めた。
「なんや、この異様な二人は。」
嬉しくはあるが、少し瑠亜には奇妙だった。だが、そんな理由はすぐにわかる。
「早う終わらな女子(主に瑠衣)が何つくるかわからんしな…………。」
「えっ、えっ」
「…………全くだよ。」
そうは言ったものの、作業はあまりはかどらない(主に飛夜理のせいで)。そして、四人は急いで調理室に向かった。
「あ、いい匂い……?」
悠志が鼻を利かせ呟いた。確かにいい匂い。これは豚汁の匂いだろうか。調理室に四人が入ると村のお手伝いさんと共に差し入れを用意する瑠衣たちがいた。
「おぉ!ちゃんとやっててくれた………」
飛夜理が安堵の声を漏らした。
「あっ………。きた。」
愛歌がこちらに気づいてぽつりと呟いた。そして、瑠衣に何かを耳打ちして、豚汁を四つ持ってきた。
「はい。お疲れ。ロシアンルーレット。」
「!?!?」
愛歌が言った言葉に四人は耳を疑った。意味をわかっているのだろうか。飛夜理たちは確実にそう思った。
「これね、ハズレは激辛よ♡」
愛歌の隣にぴょこりと顔を出した女性らしい丸めの体格の目は細く、髪はその大きな胸元でくるんとカールした愛らしい女性だった。
「あ、希さん。」
悠志が呟く。その口調に瑠亜は「希さん?」と聞き返した。
「この人は、受神って言って、村に降りかかる不幸も幸せも全部受け入れる神様。」
そう悠志は瑠亜に教えた。「で、ちょっとあの人には欠点が………… 」と言いかけ、希を見たとき、
「ぎゃあああああああああああああああ」
と、飛夜理のとてつもない悲鳴が聞こえていた。
「飛夜理ぃぃぃ♡待ちなさぁぁい♡」
「ま、待ちません!!」
『あれ』を見て、瑠亜は「ご愁傷様」と手を合わせた。
「豚汁かけられたくなかったら早くして……………」
「あれ?若干愛歌さん怒ってないですか?」
口調からしていらいらしているのは目に見えていた。
優は愛歌を掴んで「落ち着いてください」と微笑んだ。そんなことをしているうちに瑠衣が5人のもとにやってきた。
「じゃ、選ぼっか♪」
あの顔はやばい、と弟・瑠亜は直感した。
そして、しぶしぶ四人は選び、それぞれ口にした。結果は一瞬にして発覚する。
「ぶっ」
吹き出したのは悠志だった。
明らかに辛かったのだろうか、水を差し出すように手を上下させ無言で悶えていた。
「ふふ〜♡悠志のレアショット〜♡」
希はニコニコとしながら写真をパチり。それを見て悠志は目の隅に涙をためて希を睨みつけた。
「むあれさん………………!」
「ふふ♡怒っても、無駄よ♡運命なんだから、受け入れなさい♡」
という訳でと、言いたげな顔をして、希は飛夜理の方に方向転換した。
「つ訳で、飛夜理♡巫女メイド♡」
「ぜっったい嫌です!!!!!!!!」
飛夜理は逃げた。
それを見て、愛歌は「またややこしいのが出てきてくれたもんだ」と呟いた。
「なら〜愛歌に着せようかしら〜?♡」
「何故私なの…………。」
「え、いいじゃないの♡」
そういやいつか創造者がこのノリを振ってきたっけななんて愛歌は薄ら感じていた。
「あ、希姐ぇー!!」
「あら、舞菜♡久しぶりに見たわね♡」
舞菜の登場に希はまた微笑んだ。舞菜は巫女服に身を包んでいた。さぁ、もうすぐ秋祭りがやってくる。




