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■Ep.100 第57.8話:幕間【聖教会枢機卿にて】~異端審問の決定~

【第57.8話(Ep.100):まえがき】

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!


ついに……エピソード100に到達いたしました!

2026年1月末から始まったこの物語も、皆様の応援のおかげで大きな節目を迎えることができました。本当に感謝の言葉もございません。


さて、記念すべき100話目ですが、お祝いムードを一切無視した「教会の闇」全開でお送りします。

前回(Ep.99)のヴァルド公爵に続き、今回は聖教会の最高意思決定機関である「枢機卿会議」が動き出します。


コタロウを「魔王の再来」と断定し、アリス様ですら止められない非公式の暗殺部隊**「断罪者エクスキューショナー」**を投入。

「ただのFランク」を演じきれなかった代償は、空の上の修学旅行で、最悪の形で支払われることになります。


エピソード100という節目に相応しい、全方位「詰み」の状態から始まる不穏な空気をお楽しみください!

【Ep.100 第57.8話:本文】

1. 地下聖堂の密議


王都ルミナスの中心にそびえる、白亜の大聖堂。 その華やかな礼拝堂の遥か地下深く、地図には記されていない「封印区画」に、重苦しい静暦に包まれた円卓会議室があった。


揺らめくロウソクの炎だけが照らす薄暗い空間。 そこに集まっているのは、深紅の法衣を纏った数名の老人たち。 聖教会の最高意思決定機関、枢機卿会議のメンバーである。


「……報告書は読んだかね」


最長老の枢機卿が、掠れた、しかし絶対的な権威を持つ声で切り出した。 円卓の中央には、筆頭審問官アリス・リンドバーグから提出された『黒の使徒討伐報告書』と、盗撮された一枚の写真が置かれている。 写っているのは、学園祭の夜、ブラック・バトンを構える神木コタロウの姿だ。


「神木コタロウ……。魔力を持たぬ『Fランク』の少年。 だが、その実態は……禁忌の術式を無効化し、Sクラス相当の『黒の使徒』32体を瞬時に制圧した怪物」


一人の枢機卿が、忌々しげに吐き捨てる。


「ありえん。魔力とは神の祝福。 祝福を持たぬ者が、これほどの力を行使するなど……教義への冒涜だ」


「うむ。精霊王との接触疑惑、オリハルコンの無断使用、そして謎の『黒い杖』……。 すべての証拠が指し示している。 彼は『英雄』ではない。……かつて封印された**『魔王』**の器、あるいはその再来である可能性が高い」


老人たちの目が、ドス黒い疑念と恐怖で光る。 彼らにとって、理解できない力はすべて「悪」であり、排除すべき対象だった。


---


2. アリス・リンドバーグへの不信


「アリス審問官の判断は?」


「『現時点では決定的な証拠がないため、最重要監視対象として泳がせるべき』……だと」


「手ぬるい!」


若い枢機卿が机を叩いた。


「彼女は優秀だが、若すぎる。情に流されているのではないか? 報告によれば、彼女は学園祭で、その少年に『オムライス』なる料理を振る舞われ、精神干渉を受けたというではないか」


「……『萌え萌えキュン』とかいう呪言か。恐ろしい」

「彼女もすでに、異端の毒に侵されているのかもしれん」


会議室に、アリスへの不信感が蔓延する。 彼女の「法と証拠」に基づく正義は、老人たちの「疑わしきは罰せよ」という狂信の前には無力だった。


---


3. 第零部隊『断罪者』の投入


「ならば、我々が直接手を下すしかない」


最長老が、懐から一枚の黒いカードを取り出し、テーブルに滑らせた。 そこには、首のない天使と、血塗られた大鎌の紋章が刻まれている。


「聖殿騎士団・第零部隊……通称**『断罪者エクスキューショナー』**を動かす」


その名が出た瞬間、場の空気が凍りついた。 それは、表向きの治安維持部隊であるアリスたちとは異なる、教会の「汚れ仕事」を一手に引き受ける非公式の暗殺部隊だ。 証拠も、裁判も、慈悲もない。ただ「抹殺」のみを遂行する死神たち。


「彼らを、次なる少年の目的地……『修学旅行』へ派遣せよ」


「行き先は浮遊島アトランティアか。……うってつけだ」

「空の上ならば、事故に見せかけて処理することも容易い」


---


4. 処刑命令


最長老が、厳粛に宣言した。


「神木コタロウを、危険因子『コード・ブラック』に指定する。 アリス審問官の監視網をすり抜け、彼が少しでも『魔王』の力……あるいは人知を超えた力を行使した瞬間、即座に抹殺せよ。 ……神の秩序を守るために」


「「「神の御心のままに(デウス・ウルト)」」」


枢機卿たちが唱和し、コタロウの写真に赤い×印が書き込まれた。


ロウソクの火がフッと消える。 闇の中で、冷酷な処刑の歯車が回り始めた。 聖女アリスですら止められない、教会の「真の闇」が、コタロウの背後に迫ろうとしていた。


(第57.8話 完)

【第57.8話(Ep.100):あとがき】

お読みいただきありがとうございました!

ついに100話達成です!……が、内容はコタロウの首元に鎌が突きつけられるという、過去最高にシリアス(?)な展開でした。


今回のハイライトを振り返ると:


枢機卿たちの狂信: 構造経済学的にも認知科学的にも、理解できない強者を「悪」と断定して排除するのは組織の防衛本能ですが……「萌え萌えキュン」を精神干渉の呪言だと思い込むあたり、老人たちの勘違いも極まっています。


断罪者エクスキューショナー: アリス様のような「法と証拠」を重視する部隊ではなく、教義の名の下にすべてを塗りつぶす死神たち。彼らがコタロウの「サボり」をどう解釈するのか、今から不安しかありません。


アリス様、まさかの不信感: コタロウを庇えば庇うほど、「毒に侵されている」と疑われるアリス様。彼女の「正義」が教会の「闇」と激突する日は近そうです。


天上界の精霊王、地上の公爵、そして教会の暗殺部隊。

コタロウが切望する「平穏」を破壊する三すくみが完成し、舞台はいよいよ浮遊島アトランティアへ。


【次回予告】

第57.9話(Ep.101)幕間:『学園会議:賢すぎる次女の憂鬱』

一方その頃、学園内ではクラウディア様が「コタロウ様との修学旅行」を完璧なデートにするべく、職権乱用と情報操作をフル活用して暗躍中。

叔父であるヴァルド公爵の陰謀すら「吊り橋効果」のスパイスとして利用しようとする、公爵令嬢の猛攻が描かれます。


次回もよろしくお願いします!


【作者からのお願い】

物語を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークや、下の評価欄から**【★★★★★】**で応援いただけると嬉しいです。

100話を迎え、物語はさらなる高みへ加速します。

皆様の評価が、枢機卿たちの胃痛の激しさと、断罪者たちの鎌の切れ味、そしてコタロウが修学旅行で生き残る確率に直結します!

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