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ドロットマン  作者: 蟹谷梅児
EPISODE 17
52/65

52 醜心

 あちらこちらで助けを求める声がする。


 あちらこちらで「たすけて」という声がきこえる。


 そのたびにオートバイクを走らせる。


 声のする方にオートバイクを向かわせる。


 人を救う。


 人を助ける。


 そのたびに、身体に傷が増えていく。


 黒い傷跡が増えていく。


 心が死のうとしている。心はすでに死んでいる。


 一度死んだ命を、一度救われた命を、どう使おうというのか。


 どう使おうというのか? わからない。


 自分でももうわからないのは、おそらくもうすでに彼が何も考えていないからだろう。


 それでいいのか?


 そんなことはもうどうでもいい。


 もうどうでもいい。何もかもがどうでもいい。


 人間としての正しさだとか、そういうものはどうだっていい。


 与えられた力には黒い運命が伴うものである。


 大抵は、それを理解した頃にはもう手遅れで、毎日毎日、身体が動こうとするままに身体に自由を許すだけの意思人形。


 過去に逃げようとしても、自分には歴史がない。


 ただ普通の人間として生きた。


 誰にも愛されなかった。


 友達はいなかった。恋人もいなかった。


 大滝夫妻にも、ほんとうは嫌われていたんじゃないかとする思う。


 楽しかった記憶なんてない。


 大滝夫妻が死んだときはまだ自分だって若かった。


 まだまだ親に甘えていたかった年頃なのに、いきなり保護者になって、日常のほとんどが消えた。


 もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。もうなにもかんがえるな。


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