44 開始
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
何も思考はなく、ただ身体が動きたいと思うように、その衝動に任せて身体を動かしている。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
ただ身体が動く限り決して止まらず、目の前の障害を取り除き、人々を救いつづける。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
身体が動かなくなれば、治癒霊術で動くまで治して、身体が動かなくなれば、治癒霊術で動くまで治して……その繰り返し。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
いつから飯を食っていないのか思い出せないし、思い出すつもりもないし、いつから服を変えていないのかなども思い出せない。思い出すつもりもない。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
助けて、と聞こえれば助けに向かう。
絶対に助けてやる、絶対に誰も死なせてたまるか、という気持ちすらもうなく、ただ身体が動きたいと願うばかりに身を任せている。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。助ける。
八月十日・日曜日。
岩手県一関市某地区。
高校三年生の少年・暮明薫は汗に濡れて目を覚ました。
最近、やけに恐ろしい夢を見る。
自分はぶ厚い氷の中に包まれていて、そして、身体が青く変色していく夢である。そんな夢を見るようになってから身の回りではおかしなことばかりが起きるのだ。
例えば、夜になると真夏にもかかわらず、ベッドわきの窓に霜が走っている。例えば、水道の水に触れたとたんに、氷柱になったり……と。
それはおそらく自分を中心にして起こっているのだろうということは理解していたが、どういう現象なのかは全く分からなかった。
薫は、恐ろしくなって、それを両親に相談した。
両親は、「恐ろしいこともあるものだなあ」と、薫の持っていたコップの中身が凍っていくのを見ながら言った。
まずかったのは、父親の知人である。
その知人というのが、カルトにはまっているらしく、「愛星友」というのがそのカルトであるが、そのれんじゅうがある日家を訪ねてきたことがある。その時、そのれんじゅうは、「あなたの息子さんには恐ろしい悪霊が取り憑いているのです」と言った。
説得力自体はあった。不思議な現象は2人も目撃していたからだ。
だが、薫の両親はそんなことをアポなしで訊ねてきて、リビングに無理やり居座り偉そうにのたまった挙句に息子を預けろと言う無茶振りしてくるれんじゅうに息子を差し出すのを良しとはしなかった。
「いつかきっと後悔するであろう!!」
「いつかきっと! いつかきっと!」
「はやくでていけ! 警察を呼ぶぞ!!」
そんなことを憶えている。
薫は塞ぎ込むようになっていった。
自分の身に起こっていることで、周りに迷惑をかけるのではないか、カルトのれんじゅうが行う何か非道な行為に、周りを巻き込んでしまうのではないか、と助けを求めることもやめ、塞ぎ込んでしまうようになった。
そして、薫は不登校を始めた。
高校三年生という「あとちょっと頑張れば!」の時期に、こんなことをするのは阿呆だとすら言えたかもしれないが、それを彼に言える人間はどこにもいなかった。
毎日身体が重い。
ベッドから出ることすらままならず、毎日の動きは、朝起きて、昼ごろにトイレに行き、またベッドに戻る。……というもの。
食事も喉を通らなくなるほどで、心理的なストレスで吐き散らかしてしまうのを恐れていたのだ。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
そんなことはわかっている。
けれど、身体がどうしたって動こうとしてくれない。もう精神的に参ってしまっているのだ。身体は動かない。
額の汗をぬぐっていると、部屋の前まで母が来て、「どうしても出なければならない用事があって、数時間家を空けるからね」と言った。
薫は「いってらっしゃい」と返した。




