42 煙草
ここ最近、怪異を生み出していた原因は断った。かなり弱い怪異だったが、人の姿形をしていたのでだいぶ躊躇ってしまった。
もっと異形感のある見た目をしていてくれれば……などと、卑怯なことを考えてしまう。
しかし、なんといってもこれでしばらく怪異自体の数は減るだろうということだ。それはとてもいいことだ。
もっとも、怪異というのは自然発生するのだろうが。
それでも、ああいうふうに無理に出されるよりはいい。
数も減ってくれる。
数が減ってくれるというのは、人間に集中できるということだ。
それはとてもいいことだ。
それはとても喜ばしいことだ。
公園に寄っていって、しばらく休んだ。
怪異が出てこないということは、もうしばらく休んでもいいということだ。身体が筋肉痛だったりで痛すぎた。
治癒霊術はそういうものを治してくれない。急にできた怪我だとか、死の危険のある怪我・病気を治すばかり。
全身が筋肉痛で動くのも嫌になる。
泣きたくなるほどの激痛である。
けれど、この痛みが徐々に減ってきてくれるというのは、とても嬉しいことだ。こんなに嬉しいことはない。
こんなに嬉しいことはない!
もうみんな、無駄に命の危機に脅かされずに済む。
もうみんな、無駄に死なずに済む。
血を流してほしくない。あんなやつらのために死んでほしくない。日常を崩してほしくない。
みんなには平和な命を全うしてほしい。
そう思っている。
しばらく瞼を下ろした。相変わらず眠れそうにはないけれど、それでも少しばかり落ち着くことくらいはできた。
それから、何時間が経ったのだろう? 外が暗くなった頃、ふと思い立ち、コンビニエンスストアで煙草を購入して吸ってみた。
木札男を倒した記念に煙草デビューというわけである。
ライターで火をつけて、吸う。
「うーん」
あまり良さは分からなかった。




