14 休日
六月四日・水曜日。
花巻モール。
今日になって三郎が店を休むというので「君もたまには仕事くらい休め」ということで〈こおりやま〉を臨時休業にするらしいので、守道はショッピングモールにやってきていた。
モール内の書店で料理本を見つけると「これいいなあ〜」と思って思わず買ってしまう。
それから岩手県内の地図をいくつか購入する。
これを頭に入れて、いい具合にショートカットを見つけてしまおうという魂胆である。
それから美味しいとウワサの食パンを見つけたので買ってみたい衝動と戦っていると、おそらく日本語をあまりわからないでモール内で迷子になってしまったのだろう異国情緒のあふれる女を見つけたので、高校時代に身に着けた英語力を存分に発揮して、目的の場所に届ける。
その女性は「ありがとう」と拙いままの日本語で言う。
守道はその言葉につられてにっこりと笑顔になって、「ぴすぴす」といつものジェスチャーをした。
「それにしても、旅行者かなあ。外国の人、岩手で見るの初めてだなあ。花巻もとうとう国際化かな! 美味しいインドカレーやさんができたならとても嬉しいなあ。ピザ屋さんでもいいな」
ビリヤニとか食べたいし、明子はピザとか好きだから。
そんな事を考えながら日常的な買い物もしておく。
今日の夕飯をトンカツにするか白身魚のフライにするか……と悩みながら、結局フライに決める。
そして、材料や切れかけのトイレットペーパーやアルミホイルを購入して家に帰る。
すると、長年空き家だった隣家の前に引っ越し業者のトラックがとまっているので、「お隣さんだ! どんな人だろう?」と思って見えないか見えないかと思うが、業者しか見えない。
ウズウズしながら、食材を冷蔵庫に入れる。
そして、茶を入れた途端、「助けて!」と声がした。
その声に誘われて、すぐに家を飛び出した。
オートバイクを走らせていると、廃工場が見えてくる。そこに突撃すると、どうやら不動産業者の男らしいが、それが人型の蟷螂に襲われている。
「ここは俺が引きつけます! あなたは逃げて!」
「あ、ありかとうございます!」
「じゃ、しの、お、と、こ……!! き、きさまは殺せとの命令よ……!」
蟷螂からは女の声がしたので、おそらく女なのだろう。
蟷螂女は、両手の鎌をふるい、守道のオートバイクを損傷させると、守道は変身態になり、鎌の一つをへし折った。
しかし、それはすぐに再生する。
(邪視の男を殺せとの命令……? この化け物は、誰かに命令されて人を殺しているのか? いや、もしかしたら今まで出会った奴等もか?)
考えていても間に合わない。
守道変身態は蟷螂女を殺すと、「はぁ〜〜っ」と息をついた。
「めちゃくちゃだ、そんなの」




