15 改造
オートバイクを押して、なんとか帰ってくると、「わあ!」というような、感嘆の声が聞こえた。見ると、花巻モールで会ったあの女性がいて、どうやら彼女が気になる隣家の入居者らしい。
「へ〜〜! こんな偶然もあるもんなんですねっ! 俺、なんだかびっくりしちゃいました!」
「そのオート、どうなさったの?」
「壊れちゃったんです。けっこうがっつりと。へへへ」
「私、直せますよ」
「本当ですか?」
「はい。故郷ではメカニックをしていたんです」
彼女の名前は、ソフィ・ダリエというらしい。
その名前でインターネット検索をしてみると、どうやら世界的にも名高い機械工学のスペシャリストでもあるらしい。
ソフィの青い瞳が守道を見た。
「まかせてくださいませんか?」
「ありがたいなぁ〜〜けど、本当に良いんですか?」
「はい」
「じゃあ〜〜……お願いしますっ」
拙い英語でそう言うと、ソフィはにっこり微笑んだ。
いわく、「自分は天才なので、五時間ほど貰えればすっかり綺麗に直してみせる」と言う。
その間、いろいろ調べてみると、どうやら同じ平成四年生まれの同い年らしい事が判明するので、「同い年なのにすごく立派だなあ」と思ったりもした。
六月五日・木曜日。
「なおりましたよ!!」と言われ、見てみると、本当にきれいに直っていたので「うわ〜〜! すごい!」と大興奮。
そうしているところに、「助けてくれ」と言う声があった。
「じゃあさっそく乗っちゃいます! 使わせてもらいますね!」
「あっ、そうだ。もし、法定速度を超えた速度を出したいときは、赤いレバースイッチをいれてみてください。セレネっていうモードが入ります。ビューンとなります」
「えっ? あっ。はい! ありがとうございます!」
守道は「助けてくれ」という声に従って、走った。前後の車通りが少ないのを確認して、赤いレバースイッチをカチッといれると、ボディが展開されていき、黒いボディが姿を現した。
完全に法律を違反している形態なので、ナンバープレートもクルッと一回転し、偽装されたものが現れた。
最高速度は、時速七百キロメートル。
つねにそれを出せるわけではないが、このスピードに乗れるのは、まるで光にでもなったような気分だった。
それが──……薔薇をかたどったような怪異が見えると、守道も変身し、セレネでタックルをかました。
……──……ブゥゥンンンンンンン……──……
(連日で戦うのは初めてだろうか……?)
セレネから降り、襲われていた犬の散歩中の老婆をかばうように前に出ながら拳に自殺波動を蓄積させる。
薔薇男が茨を触手のように伸ばして攻撃をすると、守道変身態はそれを自身の右腕に巻きつけ、思い切り自分の方に引いた!
そして、顔面に自殺波動の拳を叩きつける。
薔薇男は一発では死なんらしく、呻きながらも、「邪視!」と叫び、今度もまた茨を飛ばしてきた。
それを叩き跳ね除けて、もう一度顔面に叩き込む。
薔薇男は溶けてしまった。




