↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/55

修学旅行〜3日目ノ貮・秋の遊山

間違いなく、青春の1頁。秋の陽射しが、きっと、柔らかく、温かく、彼らを包む。

悩みは尽きなくても、笑いや歓声はもっと尽きなくて。

秋のテーマパークの時間は、間違いなく、きらきらとした、青春の1頁。

 開園して、すぐに行っても、エヴァのアトラクションは人気で、まあまあ並んだ。

 でも、期待を裏切らさない内容と迫力で、エヴァ好きの希良も、オレも、もちろん他のメンバーも、大満足だった。

 なんだけど。

「ちょっと先に、設定とか?聞いておけば良かったかも。」

 と、輝がいい出して、宮﨑や松尾たちも、

「後でいいから、ちょっと教えて!」

 などと、希良とオレに頼んできたものだから。

「いいけどさ。」とオレ。

「簡単じゃないから。言っとくけど。時間、ある時にな。」

 と、希良が言うと、

「ここにもいたのか、真正のヲタ。」

 と、松尾が笑って、

「なんか、ガンダム、語る時の樺沢と同じだな。」

 宮﨑が希良の肩を抱いて、面白そうに笑った。

 

 それから、絶叫系が苦手な人に合わせて、巨大な3階建てのメリーゴーランドに全員でワイワイ、向かうことになった。

「えー、3階って、高くない?」

「でも、景色はいいらしいよー。夜景が綺麗なんだって。夜もう一度、乗りたくない?」

「てか、田宮くんたち、リアル白馬の王子様なんですけど〜。」

「ねね、みんなが乗って、動き出してから、でいいから!マスク取って、フードもう脱いで、写真、撮らせてね!」

「あ、じゃあ、我々、樺沢くんたちの前の方に乗らないと!」

「あ、馬車!馬車に乗って、撮影する?」

 一度火が付いた女子たちの盛り上がりは、誰にも止められない。

 多少の抵抗は試みたものの、最後は目黒さんと村田さんが、オレたち3人の手を引いて、並んだ馬に乗せようとしてきた。

「おーい、ほどほどにな〜。こんなんで目立ったら、そいつらの苦労、水の泡だぞ!」

 石川がそれを見かねて、声をかけてくれた。

「あ、そうだよね。ごめんなさい。」

 と、静かにはなったものの、行動はそのままで、3人、圧倒されて、そのまま並んで、馬(白馬)に乗せられて。

 大撮影会は、静かに、決行されることになった。

 

「えっと、なんかさ、いいの?2人とも、この状況?」

 オレは心配になって、前にいる輝と、後ろの希良に問いかける。

「いやぁ、そりゃ…なぁ。」

 ヨシとはしていない顔をして、前髪を掻き上げて、首を振る輝。

 今はフードも脱いで、マスクも外したので、まぁ確かに、クールビューティー系、リアル白馬の王子様だ。

「今、ここで、逆らったら、さらに大騒ぎになりそうじゃん。それで注目集めたら、元も子もないだろ?ここは仕方ないって。」

 同じく、納得はしていないけどって感じの、小さい声が希良から、返ってくる。

 そう言う希良も希良で、キラキラアイドル系、リアル白馬の王子様なんだけど。

 間に挟まって、オレはどんな顔して、どんな風に思っていたらいいのか、途方に暮れる。なのに。

「樺沢くん、めっちゃ可愛いんだけど。」

 前の馬車に乗ってる、村田さんが、目黒さんにキャッキャ言っているのが聞こえて。

 回り出した馬たちと一緒に、オレの頭のも、ぐるぐる回り出した。

 

「みずき、こっち向いて。」

 呼ばれて振り返ると、希良がスマホを構えてこっちに向けていた。

「動画撮ってるから、動いて!」

 そう言われて、オレが気の利いた動きを出来るわけもなく、ぎこちなく手を振って、ピースをするくらいがやっとだった。

「なんだよそれ。」

 背中から、クールビューティー系白馬の王子様の笑い声が聞こえる。

「みずきらしいよ、ま、可愛いから、いい事にしてやる。」

 キラキラアイドル系白馬の王子様から、お許しをいただけたので、やれやれと思って、前を向くと、今度はすごい連写のシャッター音が聞こえた。

「3人、ちょっと左に体、傾けて!」

 隠し撮り担当の目黒さんから、指示が飛び、何故か、反射的に従ってしまう、王子様たち(オレは違うけど。)だった。

 

「大豊作だわ〜。」

 目黒さんがカメラロールを見返しながら、ほくほくした笑顔を見せてくる。

 オレたち3人は白馬の王子様から一転、マスクにフードを被った不審者に成り下がり、みんなの中に紛れて、フードワゴンに並んでいた。

「さっき撮った動画、たく兄に送っていい?」

 希良がそう言って、ぎこちない笑顔で、ぎこちなく手を振るオレの動画を見せてくる。

 後ろに、笑ってる輝が写っていて、そっちの眩しさにやられそうだ。

「いや、なんで?」

「昨日、ちょっと、心配してたから。なんかオレたちのこと。」

「え?そうなの?」

 オレじゃなくて、たく兄、希良に連絡してきたのか…と、ちょっと複雑だったけど、「良いよ」と、笑って答えた。

「あ、じゃあ、オレが撮った、2人の動画も一緒に送れば?希良も写ってた方が良いだろ?」

 と、輝が、いつの間か撮っていた動画を見せてくれた。

 動画を撮り終わった希良とオレが、なんだかワチャワチャ話してる様子が、えらく楽しそうに映っていて、ちょっと驚いた。

「いつの間に撮ってたんだよ?気がつかなかった。」

「目黒さんたちの激写に紛れて、な。すごいだろ?」

「へー、やるじゃん、かがや。オレも欲しい、送って。んで、たく兄だけじゃなくて、まち姉たちにも送るよ。」

「あ、それ、お願い。あとあと、面倒にならないようにさ。」

 修学旅行に来てから、忘れていたけど、文化祭の写真集を叔母さんが見て、いち兄たちに話してから、またちょっと、気まずい事があったのだった。

「あ、あとさ、たく兄が、オレに連絡してきたんじゃないからな。気にすんなよ。オレから、ちょっと、聞きたい事あって、連絡しただけだから。」

 希良がそう、オレの気持ちを見透かしたように笑った。

「え、イヤ別にそんなこと、気にしてないけど。」

「ウソつけ、さっき、思いっきり、不機嫌な顔してたぜ。」

「からかうなよ、きら。みずき、大丈夫。そんな顔、してなかったよ。」

 輝がそう言うと、希良がマスクを下げて、舌を出し、それを見て、ふくれっつらをしたオレに、抱きついてきた。

「ごめんて。怒んなよ。」

 フードをぐいぐい引っ張って、オレの頭を撫でてくる。

「もー、やめろよ、怒ってないって。」

「ほら、みずき、こっちきて。」

 輝が笑いながら、オレを引っ張るから、オレら3人、側から見ると、フードを被った謎の3人が絡み合っている、不思議な光景だったかもしれない。

 

「おーい、ほら、そこ。固まってないで、ちょっと、バラけろよ。」

 石川が心配して、そんな声をかけてくる。

 今のところ、大きな騒ぎにはなっていないけれど、さっき、メリーゴーランドでマスクを取った時に、チラチラ、見てくる、女子高校生が何人かいた。

 その後も、フードワゴンで買った、アイスやチュロスを食べてる時にも、別のグループみたいな人たちが、こっちを見て、指差したりしていたから、気をつけた方が良さそうだった。

 オレたち3人は、すぐにバラバラになって、人の流れに背中を向けると、海の方を向いて腰を下ろした。

「んとに、なー。やれやれだ。」

 海に向かって、マスクを外すと、誰に向かってでもなく、独り言ちた。

 フードは被ったままだったので、やれやれな顔も、小さな独り言も、誰にも気づかれなかったと思ったんだけど。

 

「樺沢くん、お疲れ様。はい、これ。みんなで分けたから。食べて。」

 目黒さんが紙に包んだクッキーを、スイっと目の前に差し出してくれた。

「あ、ありがと。いただきます。」

「隣、いい?座っても。」

 いつもは、何か言ったり、写真を撮ると、すぐにオレたちから離れていくのに、珍しく、そんなことを言ってきたので、

「もちろん。どうぞ。お姫さま。」

と、ちょっとふざけて言うと、少し、横を広く空けようと、腰を浮かせた。

「えへへ、ありがとう。なんか、照れちゃうな。」

「写真は?撮らなくて良いの?たまには、2人で撮る?」

 オレは目黒さんの返事を待たずに、自分のスマホを出して、手を伸ばして、

「はい、チーズ。」

 と、ベタなかけ声とともに、顔を寄せて、シャッターを切った。

「あー、オレにしちゃ、よく撮れてる。ほら。」

 そこには、まるで、カップルのように顔を寄せて、はにかんだ笑顔の2人が写っていた。

「目黒さん、可愛く撮れてるよ。送るね。なんなら、ロック画面にしてもいいし。」

 ふざけ半分で、そんなことを言う。気がつくと、オレ、1人が、喋っていて、目黒さんは送られた写真をじっと見ていた。

「あ、うん。ありがと。そうしようかな…。」

 ポツリと、そう言うので、つい、オレは、今度は、からかうように、

「えー?ホントに?でも、きらの方が良いんだろ?

 あ、そうだ、きらと一緒に撮ってあげるよ!きら!」

 と、希良に手を上げたんだけど。

「いい!いいの!ほら、クッキー、食べよ。」

 上げた手を下ろされて、その手にクッキーをのせられた。

 そっか、希良は推しだから、逆に恥ずかしいのか?と、勝手にそう思って、オレは手のひらのクッキーを口に入れた。

 口に入れた途端、ほろほろと崩れるそれは、ほんのり甘くて、なんだか温かい味がした。


 ハウステンボスは聞いていたよりはるかに、想像していた、何倍も広くて、修学旅行の1日で周りきるのはほぼほぼ、無理だった。

 それでもオレたちは、アトラクションによって、何人かに分かれたり、まとまったりしながら、船にのり、観覧車に乗り、でかいハンバーガーをパクつき、ソフトクリームを食べて…。

 ものすごい量の写真を撮って、山のようなお土産を、予算の許す限り、買った。

 

 暗くなってから、最後に、もう一度、メリーゴーランドに乗りたいという、女子たちの希望を叶えるべく、みんなで並んだ。

 でも、その時は、何故か、昼と違って、みんな静かで。

 並んでる時から、キレイな夜景が見えて、エモいというか、メロい…なんだか、しっとりした時間だった。

 さすがに目黒さんは、何枚かシャッターを切っていたけれど、1日、遊び疲れたこともあるのか、みんな、じっと静かに、夜景を見ていた。

 

 オレは、というと、この1日、マスクをしたり、フードを被ったりすることで、色々、思うことはあったけれど、特に誰かに何か言われるでも、されるでもなく過ごすことができて、体調を崩すこともなく、何よりも、みんなに迷惑もかけずに済んで、とにかく、ホッとしていた。

「みずき、かがや、こっち見て!」

 今回は一番前に乗っている、キラキラアイドル系白馬の王子様が、振り返って、声をかけてきた。

「動画?」

「うん。ほら、動いて!」

 と、言われて、今回は後ろにいる、クールビューティー系白馬の王子様と2人でぐるぐる、体を回してみたりした。

 

「おぉ、みずきに成長が見られる。これはまち姉に報告だ。」

「んだよ、それ。」

 帰りのバスに向かいながら、希良にそんなことをいわれて、オレは怒ってみせた。

「どれ、見せて。ホントだ。みずき、すごいじゃん。」

 輝まで、楽しそうに笑って、オレの動きを見ていた。

「何なに、オレも見たい。」

「えー、オレも。」

 石川や松尾たちも、希良の手元を覗き込んできた。

「もー、ダメ、そんな、面白いもんじゃないって。」

 そんなことを言いながら、ゲートを出ると、そこには校長先生をはじめ、先生たちがオレたちを待っていてくれた。

 

「校長先生!」

 オレがそう手を振り、希良も輝も一緒に3人で駆け寄った。

「おかえりなさい。どうだった?楽しかったかい?」

 暗くなっても、まだ、フードを被って、マスクをしたままだったオレたちに、校長先生がそう言って、肩を叩き、フードを脱がせてくれた。

「はい、先生たちのおかげで、何事もなくて、ホントに楽しかったです!」

 希良がそう言って、とびきりの笑顔を先生たちに向けた。

「ホントに、ありがとうございました!」

「すごい、楽しかったです。先生方と、みんなのおかげです。」

 輝に続いて、オレもそう、お礼を言ったけど、校長先生たちはみんな、首を振って。

「先生たちは何もしてないよ。君たちが、頑張ったんだ。

 さ、バスに行って。あと少しだからって、気を抜かず、気をつけるんだよ。」

 その言葉に、3人ともちょっと、泣きそうになりながら、「はい」と返事をして、フードを被り直し、他のみんなと一緒にバスに向かった。

 

 バスのところまでくると、オレは思わず、輝とハグをした。

「また、あとで会えるけど、とりあえず、今日はホント、お疲れ様!

 楽しかったな。」

 すぐに離れるつもりだったのに、輝がしばらく離してくれなくて。

「かーがや、そこまで。みんなが見てる。」

 希良が間に入ってきて、やっと、離れたけど、その時の輝は、嬉しそうな、でもやっぱり、寂しそうな顔をしていた。

 そんな輝に後ろ髪を引かれながら…オレたちは、それぞれのバスに乗り込んだ。

3人の王子様、降臨回ですww

遊園地、メリーゴーランド…となれば!?ということで…。楽しそうでいいですよね。そしてメリーゴーランドといえば、筆者、激推し某BLドラマでも同じようなシーン、ありましたが、名シーンでした!

そして、ハウステンボス!行ったことないです。行きたいです!なのに、見てきたような…ww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。