学園都市へ向かう
33話
学園都市に行くという話を聞いて俺は大きなミスをおかしていた。
それは馬車での移動ということを失念していたことだ。
最近、屋台型機甲トラックでばかりでの移動をしていたから、今朝出発前になってようやくこの人数は乗れないことに気づいたんだ。
おかげでまた長時間馬車に揺られる羽目になった。
少し若くなったせいか、もしくは慣れたのか前より少し我慢できたが休憩前には限界が来てしまった。
お尻が痛い、悶絶していると
「なんだミナトは馬車は苦手なのか?」
「苦手ですよ。むしろどうしてこんなにお尻痛いのに我慢できるのか知りたいよ。」
「慣れじゃあないか。みろほかのみんなは何ともない顔しているぞ。」
しかし俺は知っている。同じ馬車に乗っているリーナ、シズクさんはドレスのスカートの中にふかふかのクッションを入れてることを。
なぜ俺の分はないんだろうか?
と思ってたら馬車が急停車してバランスを崩した俺はリーナの胸に顔から飛び込んでしまった。
リーナは優しく受け止めてくれただけで何も言わない。
「ごめん。」
「いいんですよ。ミナトなら。」
その時御者席からセバスさんが、
「すいません。盗賊があらわれました。すぐに処理させますから少々お待ちください。」っていってきた。
今回は冒険者を護衛として雇っているので彼らが交戦する。
最近他国から流れてくる盗賊が多いらしい。
しかもこの辺の道は学園に向かう貴族が多いから狙いやすいんだろう。
この機会に馬車から降りて外で体を伸ばすことにした。
今回護衛についているのはBランク以上の冒険者たちだから盗賊相手にも余裕そうだ。
盗賊をすべて倒して金目の物をとり、死体は燃やしていた。
賞金首がいれば首を持っていくんだろうけどいなかったみたい。
そのまま少し道を外れて休憩になった。
お昼はシチューとパンだよ。
シチューもパンもみんなに好評です。
さてさて馬車が出発してそこから4日くらいで学園都市に到着したが、学園都市は王都にも負けないくらい立派なところで驚いた。
街には商人がたくさんいて賑わいがあり活気づいている。
最初は宿に向かったんだが、超高級そうな宿でなかの出迎えもすごかった。
きょろきょろしていると田舎者丸出しに見えるのでやめておこう。
セバスさんがそっと寄ってきて「ミナト様には必要ないかもしれませんが、ここの従業員はお金を払えば夜のサービスもしてくれますよ。」って教えてくれた。
・・・・・・。そんなことを言われたのでつい従業員の女の子を見てしまう。
確かにかわいい子ばかりだ、って思っていたら一人だけやばそうなのがいた。
あれは女装したゴリラだ。
決して目を合わせてはいけない人物だ。
そいつは俺たちの後ろの客が気に入ったのか、果敢にむかっていく。
「あんら、お兄さんいい男ね。よければ荷物を部屋まで運ぶわよぉ。」
野太い声でサービスを提供しようとしている。
がんばれとだけ祈っておこう。
部屋は男性陣と女性陣で別れたのでこの部屋にはセバスさんとリオンの3人しかいない。
女性陣組はリーナ、シズクさん、カティア、プリシア、レイン、ミレイヌ、ユカ、チヨとなっている。
今日は宿でゆっくりして明日学園に行くことになった。
イベントは3日後から1週間続く予定で、その間俺はラーメンを作り続ける。
代わりに前後で10日くらい余分に時間をとって、観光とか遊ぶ時間を予定してくれているみたいだ。
まあこの都市も記憶したので転移でいつでも来れるけどね。
さすが高級宿、お風呂も豪華でした。
食事は・・・・・・昔のグスタフより酷い。
これは毎日続くと辛いので交渉してみたら厨房を使わせてもらえるようになった。
たまにお抱えの料理人以外嫌という人もいるので柔軟に対応しているそうだ。
夜のうちに仕込んでおくぜ。
次の日の朝はみんなより早く起きて厨房へいきまずはパンを焼く。
窯から取り出して切って、サンドイッチにすることにした。
マヨネーズを塗って、野菜、オークハム、マヨ玉子、オークカツ、と色々作ってみた。
男性陣と女性陣でわけて盛り付けていく。
それを見ていた料理長が近づいてきた。
「なあ、あんたすまねえがそのパンを味見させてくれねえか?もしさせてくれたらここの食材多少は自由に使っていいからよ。」
厨房を見回してみると魚の干物とか海苔とかが見えた。
ひさしぶりに和食が作れるかもと思ったので、
「いいですよ。」
と言ってそれぞれ1種類づつ渡した。
「なんじゃこりゃあめちゃくちゃうめぇ。」
そういって泣いていた。
さすがマヨネーズの力はすごい。
さてそろそろみんな起きたころだろうか?
部屋の戸をノックしてみるとシズクさんが出てきた。
「おはようございます。ミナトさん。」
「おはようございます。朝食ができたので声をかけに来ました。」
「ありがとうございます。全員にしたくさせますね。」
そういって中に入っていった。
次は部屋に入るとセバスさんは起きていて、リオンはまだ布団にいた。
声を掛けると、「まだ、もう少し。」って返ってきた。
「リオン様がここまで気を許すのも珍しいですな。」
まあ悪い気はしないのでもう少しほっておく。
それから10分くらいで起きてきて、用意をすませたリオンを連れて食堂に行って、サンドイッチを出してミルクを注いでいく。
「はあ。ほんまに毎朝幸せやで。」
「ですです。」
「それはよかった。」
和やかに朝食を終えて、みんなで学園に行ってみることになった。
なお宿には質問が殺到していたのはこの時の俺は知らなかった。
リオンの案内で学園に到着したら警備に許可証を発行してもらう。
そしていざ中へと入っていく。
今は授業中なのか人気はない。
大きな声が聞こえてそちらへ行ってみると、グラウンドでは模擬戦が行なわれていた。
両方とも体操服っぽい服装で戦っていた。
なかなか熱が入っていて楽しそうだ。
一通り見て回った後で学園長に挨拶に行くようだ。
校舎も広くてきれいに整っていた。
奥には食堂もあるようだ。
「懐かしいですわ。」
「リーナもここを卒業したの?」
「はいもう何年も前の話ですけどね。いまは妹達が在籍していますわ。」
「そうなんだ。」
「あとで紹介しますね。」
リーナの妹だからきっとかわいいのだろう。
一通り周り終わったので学園長室に向かう。
ノックして入ると「ようこそアルカディア学園へ。私は学園長のメリッサです。久しぶりねリオン君。」
「ご無沙汰しています。お元気そうで何よりです。」
「あらリーナちゃんもいるのね。」
「お久しぶりです。学園長。」
「後ろの子たちは、あらカティアちゃんとプリシアちゃんじゃない。元気にしていたかしら?」
「はい。学園長もお元気そうで何よりです。」
「プリシアちゃんごめんなさいね。助けてあげられなくて。ちょっと待ってね。これ卒業証よ。」
そういって学園長はプリシアにバッジを渡した。
「いえ私も大人な対応ができずにいましたから。」
「残念ながら今も解決しきれてないの。ごめんなさいね。」
「あれはどうしようもありませんから。」
学園で何かあったんだろうか?
「後の子は知らない子たちね。」
「彼らは今回のイベントのエルウッドの代表ですよ。」
「そうなの。それは楽しみだわ。この中にリオン君の嫁はいるのかしら?」
「残念ながら私のはいませんよ。」
「あらそうなの。残念だわ。リオン君はあんなに人気だったのに誰も嫁にしなかったのね。」
「ああいうのはこりごりですよ。」
「リーナちゃんはどうなの?」
って聞かれてリーナが俺の腕をとってくる。
「こちらのミナトさんと婚約しました。」
「あらそうなのよかったわ。おめでとう。」
って言ってからこちらをむいて
「私はメリッサよ。よろしくね。」
とあいさつをされたので
「ミナトと言います。よろしくお願いします。」と返しておいた。
「みんな楽しんでいってね。」
あとは解散して自由に動いていいようだった。
リオンは用事があると言ってセバスさんと行ってしまった。
リーナに案内してもらいながら歩いていると
「おーほっほっほっほ。今日は私の勝ちですわね。」
「たまたまよ。たまたま。明日は負けないわ。」
って声が聞こえたのでそっちに行ってみると
漫画とかに出てきそうな金髪で巻き髪のお嬢様っぽい子とリーナにそっくりな銀髪の子顔は同じだけど金髪の子が言い合っていた。
「あらリリスとリリイじゃありませんか。」
「気安く呼ぶのは誰かしらって姉さまじゃありませんか。どうしたんですか。」
「イベントに参加しに来た兄さんについてきたのよ。」
「じゃあ兄様も来ているんですか?」
「ええきてますよ。セバスとどこかへ行きましたけど。」
「げっ、セバスも来てるの。」
「そんなこと言ったら怒られるわよ。」
3人で話し始めた横で置いて行かれた巻き髪の子と目があった。
こちらをむいて礼儀正しく挨拶してくれたのでお辞儀を返しておく。
そしてリーナの肩をつついて
「すまないが紹介してくれないか。」って言ったら
「ごめんなさい。ミナト。こっちの私と同じ銀髪の子がリリスで金髪がリリイで双子なの。妹なの。あちらはわからないわ。」
「申し訳ございません。私アンジェリカ・ランスと申します。よろしくお願いしますわ。」
「ミナトです。よろしく。」
「ちょっとあなた何姉さまに気やすく触ってるのよ。」
「そうよ。シズクに殺されるわよ。」
双子が詰め寄ってくるので後ろのシズクさんを見ると首を振っていた。
「ちょっと何言ってるのよ。」
「え~だって、学園では姉さまに手を出したやつは帰ってこないって噂だし。」
「そんな噂どこから出たのよ。」
「それはリリイさんが言ってたのではなかったかしら。」
アンジェリカさんの言葉に逃げようとするリリイだったがリーナにつかまっていた。
「話があるわリリイ。」
「ごめんなさい。姉さま。許してください。」
「リリイも悪気はなかったの。姉さまを紹介してほしいってあまりにも言われるものだから。」
リリスがフォローに入る。
「まあいいわ。そんな話持ってこられても迷惑なだけだから。」
「ところでミナトさんは姉さまとはどういう関係ですか。」
なんて言おうかと思っていたら
「ミナトは私と婚約したのよ。」
「「ええーーーーー。」」
「ということなんだ。2人ともよろしく。」
って言ったら一呼吸おいて「「義兄様よろしくお願いします。」」って言ってくれた。
後ろのアンジェリカさんも「そのぉ、ご婚約おめでとうございます。」
って言ってくれたので
「ありがとう。」って返しておいた。
今日の授業はもう終わりらしく一緒に行動することになった。
「わたくしもいいのでしょうか?」
とアンジェリカさんは遠慮していたが別に気にしなくていいと言っておいた。
そのまま学園内を見せてもらって、ガチャガチャの神殿も外からだがみることができた。
ガチャガチャの神殿の横にはアルカディア王の別荘だったといわれている建物があって観光スポットだという。
今日はもう閉館してしまっていて入れなかったがまた来ようって思った。
学園に戻ると前から若い男と、おっさんが歩いてきた。
「おいアンジェリカ。俺が来ているのに出迎えもしないとはどういうことだ。」
「申し訳ありません。殿下、来ておられるとは知らなかったものですから。」
アンジェリカさんが男に頭を下げるのをみて男は彼女の髪をつかんで地面にたたきつけた。
「きゃっ。」
「口答えするんじゃない。貴様はただ未来の夫に従えばよいのだ。」
そういいながらアンジェリカを踏みつける。
「も、申し訳ございません。」
謝る彼女をさらに踏みつける。
横を見るとリーナの顔が青ざめている気がした。
それを見た瞬間体が動いてしまった。
男を抱えて彼女からどける。
「なんだ貴様は。余はノーランド王国の王子であるぞ。」
「申し訳ございません。しかし他国の姫君も見ておられるのでやめていただけませんか。」
そういった瞬間顔を殴られた。
「うるさい!余に指図するでないわ。見たくなければそちらが顔をそらせるがいい。」
そういってまたアンジェリカを蹴ろうと移動する。
一緒にいた男も止めることができないようだ。
手を出したいがそれは悪手だろう、何よりこんなことでミリアリアさんに迷惑はかけられない。
服が汚れるが仕方ない、男が蹴る前にアンジェリカさんに覆いかぶさる。
そのまま男は俺を踏みつける。
「貴様、余の邪魔をするな。」
こいつに踏まれても痛くも痒くもない。
だからアンジェリカさんを安心させてあげようと
「大丈夫ですか。」
って声を掛ける。
彼女はコクコクとうなづいた。
「俺は大丈夫ですから気にしなくていいですよ。この馬鹿も気が済んだらやめるでしょう。」
っていってたら
「そこで何をしている。」
って警備の人が来てくれた。
「ちっ、興がそがれたわいくぞ。」
そういって去っていったので立ち上がる。
彼女を立たせてあげて見ると口元を切ったのか血が出ていたのでハンカチで拭いてあげる。
「大丈夫ですか。口元から血が出てますよ。」
「だ、だいじゅうぶですわ。ありがとうございましたですわ。」
慌てて距離をとった顔は真っ赤になっていた。
「ミナト大丈夫」ってリーナが近づいてきた。
「大丈夫だよ。あんなの痛くもかゆくもなかったからさ。」
「皆様本日はお見苦しいところを見せてしまい申し訳ございませんでした。お礼は後日改めて。」
といってアンジェリカは去っていった。
心配なのだろう双子がすぐに追っていった。
「ミナトさん申し訳ございません。私がすぐに動けばよかったのですが。」
ってシズクさんが言ってきたので
「気にしなくていいよ。彼は王子らしいから変に問題を起こすと面倒だから。俺が蹴られただけで済むならそれでいいじゃないか。帰ろうか。」
そう言って学園を後にしたのだった。
読んでくださってありがとうございます。
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