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ゴブリン退治


 僕の前に、ブラッドオークのクロが現れた。


「ライド。あんた、なんでここに……」


 僕は考えてみる。

 これ、どういう状況なんだろう。


「おまえたち、知り合いなのか?」


 と、ミネアが質問。

 僕は平然を装いながら、答える。


「実はさ。クロとは路地裏で知り合ってね」

「ほう。路地裏」

「でね。彼女ったら、なんとブラッ――」

「うわあああああっ!」


 クロが慌てて、僕の口を抑えた。

 なるほど。ブラックオークであることは、隠してるみたいだ。


 彼女より僕の方が、力は強い。

 無理やり引き剥がして、続ける。


「ブラッドナイフを持っててね。僕はあまりの珍しさに、思わず彼女に声をかけちゃったんだ」


 うまいこと、はぐらかしてみた。

 ミネアはウンウンと頷く。


「あのナイフは生産数が少なくて、手に入れるのは難しい。私でも思わず、声をかけてしまうな」

「ね? そうだよね?」

「クロさんだったかな。今度、私にも見せてくれないか」

「……いいぜ。レプリカだけど、それでも良ければ」

「構わないさ。レプリカだとしても、充分に凄いからな」

「……はははっ」


 クロの笑顔は引きつっている。

 僕の頬をぎゅっと掴むと、ハイルに言った。


「悪い。ちょっとライドと話したいことがあって。あっちで話して来ていい?」

「ここじゃ、できねえ話なのか?」

「ああ。大した話じゃないんだが、プライベートなことだから」


 色々と言い訳を付けて、クロは僕を洞窟の隅へと連れていった。


「あたしは人を殺してない」


 開口一番に言うことが、それか。


「誤解されたくないんだ。あれはアンバー様がやっていたことで、あたしは関係ない。組織に命令されて、下働きしていただけなんだ」


「うん。知ってる。君はそういうことするタイプには見えないし」


「あとブラックオークは殺人集団ではない。組織のメンバーは様々な考えで行動している。繋がりは『魔法』だけで、活動内容はそれぞれ違う」


「うんうん。君はブラックオークが好きなんだよね。よく分かるよ」


「あとな。これは大切なことなんだが……」


 クロは息を吐き、ゆっくりと言った。


「ハイルはパートナーと言ったが、あたしはあいつの女じゃない。ハイルとは付き合ってない。ただ金で雇われただけで、今回だけの助っ人みたいなもので……」


 なんか言い訳じみた理由を、必死に並べ立てている。


「あたしはフリーだからっ!」


 一番、力がこもったセリフだ。

 しかし、それは大切なことだろうか。

 彼女がどこの誰と付き合おうが、僕には知ったことではないぞ。


「うんうん。そうか」


 僕は、彼女の両肩に手を置いた。


「ハイルと末永くお幸せに!」

「……ぶっとばすぞ」


 ☆ ☆ ☆ ☆ 


「紫電刃!」


 稲妻がとどろく。

 緋色の刃が、モンスターを捉えた。


 肩口にかけて、三撃。胴体へ二撃。続いて……。

 地面に着地すると、僕は剣を鞘に納める。


 すると。

 ピシピシ! と、敵の体中に赤い線が走った。

 苦しそうに手を伸ばし、倒れる。


「……ゲギャアアアっ!」 


 断末魔の叫び!

 それと共に、大爆発! そして、四散!


 何故、爆発なのかは知らない。だが、細かいことはいいだろう。

 きっと、彼らの胃袋に火薬でも詰まっていたんだろう。


「ゲギャッ! ゲギャッ!」


 また出てきたのか。本当に次から次へと湧いて出る。

 真面目な話、王様が量産してるんじゃないだろうか。


 緑の小鬼。俗に言うゴブリンだ。

 腰の辺りだけ布で隠し、武器は石でできた斧を持っている。


 只今、チャレンジハンティングの真っ最中なのだが、狩るモンスターは僕が選ぶことになっている。


 そこで僕が選んだのは、ゴブリン。

 とにかく大量にいるし、よく群れで行動をしている。基本は弱いけど、なかには上位種が混じっていて、倒せば一気に高得点。

 効率良くポイントを得るなら、ゴブリンを囲って一斉に排除。これしかないだろう。


「ゲギャ! ゲギャ!」


 おうおう。穴からたくさん出てくる。

 僕はすでに30匹ほどのゴブリンに包囲されてしまったようだ。


 大小様々で、ハイルよりも大きな奴や、子供より小さい奴もいる。

 おそらく、冒険者から奪ったのだろう。

 中には良い武器を持っているものもいる。


「ゲギャ」


 ゴブリンの一匹が足を踏み出した。

 しかし、そこは――。


 地面に描かれた魔法陣が光り輝いた。


 そして――。


「ゲギャアアアッ!」


 爆発四散。

 いや、何故だ。踏むと電撃が発生する仕掛けなんだけど。


「ゲギャアアアッ!」


 しかも、連鎖爆発が始まった。そんな効果ないんだけど。

 次々と爆発が起こり、ゴブリン達が吹っ飛んでいく。


「余裕だな」


 所詮はゴブリン。僕の相手ではない。


「あー、ライド。うしろー」


 バニの声で、僕は振り返った。

 見ると、ゴブリンの一匹が杖を突きつけている。

 ローブを纏っており、他の者より知的なオーラを放っている。


「まさか、ウィザードゴブリン」


 上位種だ。魔力を持っており、魔法を使うことができる。

 しかも、すでに詠唱を完了し、魔法を放つ準備ができている。

 杖の先端が光った。


「ゲギャーギャ」


 言ってる意味は不明だが、呪文のようだ。

 魔法が飛んでくる。

 まずい。避けられない。


「うわあああっ!」

「ライド――っ!」


 僕は地面に倒れた。


「ライド。大丈夫か?」


 ミネアも心配になって駆け寄ってきた。

 だが、実のところ、僕は無事。ピンピンしていた。


「もろに直撃していたが、本当に大丈夫なのか?」

「……やれやれ。僕があの程度の魔法に遅れを取るとでも」


 説明しておこう。

 ラグエード家は、魔法耐性がとても高いのだ。

 モンスターの魔法を喰らったところで、一発ではダメージにもならない。


「炎? 子供の頃から浴びてたよ。家庭の事情でね」

「それは頼もしいな」

「あー、また飛んできたよー」


 そして、ふたたび直撃。


「うわああっ……あちっ、あちちちっ」

「……おい。今、熱いって」

「言うわけないよ。僕はラグエードだよ? 熱いなんて感情はとっくに捨てて来たよ」

「……それはそれでまずいと思うぞ」




 少なくとも、この辺りのゴブリンは根絶やしにできた。


「だいぶ狩ったな。数百匹は倒した気がする」


 途中から数えるのをやめたけど、かなり大量の得点を取得できてるはずだ。


 僕は総合ポイントを見てみた。

 チャレンジハンティングはチーム戦なので、僕とミネアとバニのポイントを足し合わせる。


「3900ポイントか」


 かなりの大量ポイントだ。

 これだけあれば、優勝はもらったようなものだ。


「ライド。先ほど知り合いから、ハイル達のポイントを聞いてきたんだが」

「おお。何ポイントだったの?」


 まあ、彼らも頑張ってる方だろうけど、さすがに3900は超えられないだろう。


「……言ってもいいか」

「何言ってるの? 聞いてきたんなら、早く報告してよ」

「ああ。それじゃあ」


 54000ポイント。

 それがハイル達の点数だった。


「えっと、540ポイント?」

「いや、54000ポイントだ」

「ねえ。嘘つくのはやめて。冗談だと言ってよ」

「どうやら、魔導師のクロがかなり活躍しているらしい」


 クロが? しかし、彼女の魔法は『ヒートシールド』と『ヒートビーム』だったはず。

 僕に使わなかっただけで、他にも得意な魔法があったのか。

 おそらく、全体魔法のようなモンスターを大量に狩れるタイプの魔法だろうか。


「どうする? このままだと負けるぞ」

「……いや、僕に負けはないから」

「しかしな。このままゴブリンを狩っても、勝てないぞ」


 たしかに。僕達が勝つためには、方法を変える必要がある。


「ミネア。期間は三日だよね? それなら、今日は町に戻ろう」


 というわけで、僕たちは一旦、ギルドまで戻る。


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