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異世界最強兄は弟に甘すぎる~無愛想兄と天使な弟の英雄譚~【Web版】  作者: 北崎七瀬


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ネイ、第三の目を手に入れる

 そうしてユウトの特異性を再認識していると、そのユウトがネイの腕に手を当てながら首を傾げた。


「じゃあ結局ゲートのクリア条件は、呪いの剣の破壊ってこと? そして、それを破壊する力を持っているのはネイさんだけってことなの?」

「えっ、俺!? あ、でも、そうか、そうなるよな……」


 たった今、魔王は「剣を破壊できる力を、魔核に集まるようにしておいた」と言っていた。つまり、魔核を取り込んでしまったネイがその力を行使するしかないということだ。

 しかし、そう納得しかけたネイに対し、魔王は首を振った。


「その剣は、世界最強クラスの力でないと破壊までは行かぬ。その力を有するのは我の下僕であるこの男だけだ。だからこそこの男に魔核を付そうと思っていたわけだが」

「……うん? だったらクリアは無理なんじゃ……」

「いや、破壊の定義を変えれば対応できるだろう。とはいえ、魔核のない此奴の身体で剣に接触すると、先ほどのように、破壊をする前に此奴らの血族の魂がトリガーになり、再び術式が悪さを働く。そこでお前だ」


 魔王はレオに似た横柄な態度で、ネイを顎で差した。


「魔核には悪魔の水晶(デモン・クリスタル)を破壊する力が込められている。此奴の魂をこの身体に戻す前に、賢者の石の欠片を制御している術式を砕くのだ」

「なるほど……って、いやいや、俺人間だから悪魔の水晶を見ることができないんだけど」


 魔王は簡単に言うが、本来悪魔の水晶は魔物か魔族、もしくは半魔にしか見えないし触れない。認識できないものを砕けと言われても。

 魔核ほど凝縮された魔力で砕かねばいけない水晶、ユウトに場所を指示してもらったとしても、芯を捉えなければ壊せる気がしない。

 そう反論をすると、魔王はふんと鼻を鳴らした。


「ならば魔核を通して見ればいい」

「……ん?」

「魔核はその腕を通してお前と繋がっている。そして、多種多様な変容を可能とする魔力を持っている。それを生かすも殺すもお前の応用力と熟練度次第だ」

「……それってもしかして、魔核で腕の組織を変化させて、第三の目が作れるってこと……? だけどその映像を俺にどうやって繋げて……いや、そうか。魔力自体は伝達できるんだから、そこに感覚を共有できる伝達経路を作れば……!」


 魔王の言葉で、ネイは今更のように魔核のとんでもない汎用性に気が付いた。この腕の有用性は戦闘だけに限らないのだ。

 視覚や皮膚感覚を共有できるようになれば、隠密や罠解除、偵察などにも必ず役に立つ。それこそ自分の腕以上にだ。もちろんその応用は、自分で考えなければいけないけれど。


(本当に、クリスに知られたら生態観察に貼り付かれそうな能力だな……)


 というか、クリスならその汎用性の高さを羨ましがりそうだ。実際、能力を応用する力でいったら彼の方が適性があったろう。まあ代わってやれるものではないし、代わってやる気もないが。

 ただその知識を借りるなら、クリスにだけは多少早めにこの秘密を明かすほかないと覚悟する。絶対面倒臭い反応をされるだろうけれど、それは仕方ない。


 ……ともあれ、まずは。

 魔王に言われたように、第三の目を作ってその視覚情報を自身に送る経路を通してみよう。

 そう考えて構えてみたネイは、しかしすぐに行き詰まった。


「……いや、そもそも目を作るってどうすんの?」

「目を作ろうと思えばいい」

「創造主魔王基準で答えられても困るんだけど。俺、魔力を操るのも魔法のロープくらいしか動かしたことないし、目の構造体とか全く分からんし」

「ネイさん、その魔核には多分浄化した魔族や魔物のデータが凝縮されてるから、的確に念じれば目は再現できると思いますよ」


 当てにならない魔王の助言に口を尖らせていると、見かねたユウトが隣から声を掛けてきた。過去を全て思い出した彼は、これまでにはなかった魔力の知識を有しているようだ。

 ユウトはネイに魔力の操り方を説明した。


「構造を一から生成する必要がないので、ネイさんにも作れます。再現するなら、ネイさんと一番相性のいいグリムリーパーの眼球かな。魔力を通して魔核の中を探って、その組織データを引っ張り出すんです」

「魔力で探る……?」

「魔力の操り方は、魔法のロープを操るのと同じで大丈夫ですよ。それで魔核を探って……ええと、大容量ポーチの中から目的のものを探すのと同じような感じです。あれって欲しいアイテムを脳裏に浮かべながら手を入れると、物が指先に触れるでしょ? それと近い感覚で見付かると思います」

「……なるほど。つまり、データを取り出すには目的の物の明確なイメージが大事ってことか」


 ユウトの説明は断然分かりやすい。

 グリムリーパーの眼球の組織データは元々魔核に入っているから、それをイメージで掘り起こせということだ。

 ネイは自身の魔力を操って、右腕の中に埋まった魔核を探ろうと試みる。……魔力の動きが今までよりもスムーズで、しかも操作精度が良く感じるのは、体内に居座るグリムリーパーと死霊術士のおかげだろうか。

 その魔力で辿り着いた魔核の中を探すと、目的の眼球はすぐに見付かった。


「おっ、あったあった。これを表出させて……うわ、気持ち悪」


 腕には包帯が巻いてあるのでひとまず手のひらに出してみたが、目玉がぎょろぎょろしててなかなかに気持ち悪い。そして、じっと見つめ合ってみてもその視界は共有できなかった。

 うん、これもやり方が分からん。

 どうせ魔王に訊いても参考にならないので、再びユウトに訊ねる。


「ユウトくん、この目玉と視界を繋げるにはどうすればいいかな?」

「目玉に限らず、今後感覚を共有するなら魔核と直接の伝達経路を作った方がいいと思います。グリムリーパーたちの魔力は精神感応系だから、魔核の魔力信号を受け取る素地はあるはずです。ひとまず自分の視界が邪魔になると思うので目を閉じて、魔核から来る魔力信号を受け取ってみて下さい」

「……何か難しいこと言うなあ」

「今はまだ、多分ネイさんの魔力感度が低いから難しく感じるんですよ。今の経路を例えるなら、繋がる道はあるんだけど整備されていない獣道って感じですね。訓練して魔力感度が上がれば、城下街の大通りみたいにすいすい繋がるはずです」

「なるほど……。でもまあとりあえず、獣道でも繋がってるは繋がってるのか」


 ネイはユウトに言われた通り、目を閉じて魔力から来る映像に意識を向けた。

 すると薄ぼんやりとだが何かが見えた気がして、さらに集中する。色もあまり鮮明ではないしノイズも酷いが、この映像は目を閉じている自分の姿か。


「……うん、何となく見えてる」

「僕のことも見えます?」

「ん? うおっ、ユウトくんめっちゃ光ってる! まぶしっ」

「魔力で得る視界だと、魔力のあるものに反応しやすいんだと思いますよ。今は他のものがよく見えないせいで、見えるものが目立つんじゃないかな。まあとりあえず、僕が見えるなら悪魔の水晶もしっかり見えるはずです」

「あ~そうか、うん、なるほど。理解した」


 頷いてひとまず目を開ける。残念ながら、自分の視界と魔力の視界を同時に認識するのは難しそうだ。だが使い分ければかなり有用。魔力の罠を看破することも容易になるだろう。

 人外にしか見えないものが見えるようになるのもありがたい。今後のことを考えれば、この能力のレオへの貢献度は俄然高くなる。ユウトへの害がある悪魔の水晶を発見・破壊できることは、とても重要だから。


 ……しかし、まずは何よりも。

 一番肝心な本物のレオを取り戻さないことには始まらない。

 ネイは初代王の持つ、呪いの剣を振り返った。


「じゃあ、さっさと剣にはめ込まれてる悪魔の水晶をぶっ壊しますか」



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