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女騎士は男の娘  作者: 池田 真奈
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第23話 愛し合う二人

「ではノウンさん、アンさん。 お世話になりました。 このご恩は一生忘れません」


翌朝になり乗り合い馬車乗り場まで見送りに来てくれた二人と別れの挨拶を交わす。


「元気でな、商売が上手く行くように祈っているぞ」

「あなた達の無事も祈ってますからね」


ノウンさんは僕達が旅商人だと思っている。

結局、彼には本当の事は話せなかった。

だから僕達の正体はアンさんだけが知っている事になる。


「お預かりしたお孫さんへのプレゼントは必ず届けます。 本当にありがとうございました」


ミレルさんがアンさんから預かった息子さんの奥さんへの手紙とお孫さんへのプレゼントが入った包みを大事そうに胸に抱きながら、お礼の言葉を口にしていた。


「良い人達だったね、ミレルさん…… じゃなかった、ミレル」


僕はミレルさんって呼んでしまってから慌てて言い直す。

恋人同士になった僕達だったから、ミレルさんじゃおかしいって言われて呼ぶようになったんだけど、まだ慣れずにいる。


「そうね、ハイランド王国人は私達アクバル帝国人にとって敵と言う認識でしか無かったけど、触れ合ってみれば素敵な人達だったわね。 世界征服による完全なる調和を目指す帝国の理念を信じて戦って来たけど、話し合いによる和平の道もあるんだって思えるようになって来たわ。 これもマオ、あなたと出会ったからよ」


ミレルさんの考えに僕も同意する。

敵同士の僕達が恋に落ちて愛し合うようになったくらいだもん。

今の僕には戦争の無い平和な世界だって夢物語じゃ無いって信じられる。

乗り合い馬車に乗った僕達は横に並んで座り肩を寄せ合っていたけど、繋いだ手と手がそれを肌で感じさせてくれた。


「うん、ミレルを幸せにするって約束するよ」


「ダメよ、幸せになるなら二人一緒にね」


「ミレル……」「マオ……」


そんな風に愛を深め合う僕達を同じ乗り合い馬車に乗っていた他の乗客達が悶絶しながら見ていたなんて、二人だけの世界にいた僕達が気付く筈も無かった。


王都カラミティまでは途中でいくつかの宿場町に立ち寄りながら数日の道のりになる。

その最初の宿場町に着いた日の夜に僕達は結ばれたんだ。

それは僕にとって初めての経験で無我夢中だったけど互いに求め合い、そして愛し合った。


「好きだよ…… ミレルと離れるなんて…… もう僕には考えられない」


僕の正直な思いをミレルの耳元で囁く。

この人を離したくないって気持ちでいっぱいになっていた。

月明かりが差し込み、僕達を淡く照らす。

闇の中に浮かび上がったミレルは凄く綺麗で、僕は夢か幻でも見ているかのような錯覚すら覚える。


「私もよ、マオ。 あなたと敵同士だったなんて信じられないわ。 あなたを求めてる自分に気付いてずっと悩んでいたの。 いつかは別れが来るのにって…… あんっ……」


ミレルも僕を好きでいてくれている。

そして求めてくれているって知って嬉しくて堪らない。

でもミレルが言うように、お互いの国は未だに戦争状態にある。

どちらの国に行っても僕達のどちらかは敵国の人間として扱われる事になってしまう。

それが悲しくて仕方がない。

でも今はそんな事よりも自分の腕の中にいるミレルの事だけしか考えないようにしていた。


「ミレルの喘ぐ声って…… とっても可愛らしいんですね」


僕は耳朶に響くミレルの甘い声に夢中になり、もっと聞きたくて色々な場所に触れては反応を楽しんでいた。


「こらっ、マオ。 そんな所はダメ…… んっ…… 少しは我慢しなさい……」


そんな僕をミレルは聞き分けのない子供をあやすようにしていたけど…… "ミレルと一つになりたい" その望みを最後には受け入れてくれた。

朝になり先に目を覚ました僕は隣で寝息をたてているミレルを見て、満ち足りた気分を感じていた。


「寝顔も可愛らしくて素敵です」


生涯の伴侶って言葉があるけど、僕にとっては隣で寝ているミレルが正しくそれにあたる。

僕はこの幸せがいつまでも続くようにと聖女ウルスラ様に祈りを捧げるのだった。





諸事情により小説情報をR15に変更します。

申し訳ありません。

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