#017「正体露呈」
舞台は、教官室。
登場人物は、山崎、吉原、朝丘、武藤、渡部の五人。
「吉原。何をしてるんだ?」
「静かに。どうも今朝から、渡部くんと朝丘くんの様子がおかしいから、原因を突き止めようとしてるんだ」
「でも、吉原。こそこそと後をつけるのは、確認方法としてどうかと思うぞ?」
「怪しげだったから、心配なだけだけだよ」
「ストーカーは、みんな、そう言う」
「他人を犯罪者呼ばわりしないでよ。――あっ、教官室に入っていく」
「フゥム。ちょっと気になるな」
「そうでしょう?」
「寮のことだろうか? それとも、体育のことか?」
「分からんないけど、僕たちに何も言わないで行くのは、変だと思わない?」
「たしかに。考えてみれば、腑に落ちないな」
「何か、僕たちに隠してることがありそう」
「何かって、何だ?」
「たとえは浮かばないけど、秘密がありそうな気がする。――ここからなら、中の様子が窺えそうだ」
「カーテン越しとはいえ、覗き行為は、プライバシーの侵害だぞ?」
「僕だって、何も出歯亀趣味で、こんなことしてる訳じゃないよ」
「寮友として、確かめておきたいだけなんだろう? 分かってるって。――おっ。話しが終わったみたいだ。ん?」
「相談だけじゃないみたいだね。手渡したのは、水着かな?」
「何だ。水泳のことだったのか。心配して損したな、吉原」
「そうだね。あっ、いけない。こっちのほうに来る」
「おっと。……着替えるのだろうか?」
「そういえば朝丘くんって、体操服でも、その下にいつもタンク・トップを着てるよね?」
「俺も、この頃は少し疑問だったんだ。寒がりなのかと思ってたが、この時期になっても着てるからなぁ。暑くないんだろうか?」
「暑いに決まってるよ。この前も、寮の部屋が暑いって言ってたじゃないか」
「そうだった。……なぁ、吉原。知る権利を行使しないか?」
「プライバシーの侵害じゃなかったの?」
「蒸し返すなって。気懸かりなくせに」
「まぁね」
「よし、決まりだな。――これで、見えるな」
「なるほど。スマート・フォンを、鏡の代わりにするんだね。僕も、そうしよう」
「スカーフを外して、上着を脱いで、……えぇっ?」
「シッ。声が大きいよ」
「誰だっ。そこに居るんだろう?」
「朝丘、どうした?」
「入りますよ、朝丘さん。――あっ、山崎さんと吉原さん」
「ヘヘッ。見つかってしまったな」
「内密に調べようとしたのは、謝るよ。でも、どういうことが説明してくれるかな、渡部くん」
「待ちなさい。いま、森くんを呼んでくるから」
「渡部は悪くない。事の発端は、自分にある」
「いつかは、お話ししなければならないとは、常々思っていたところです。相談室で、すべてを打ち明けますね」




