#015「赤色青年」
舞台は、寮の自室。
登場人物は、朝丘、山崎、吉原、渡部の四人。
「この部屋、暑いな」
「人口密度が上がったからなぁ」
「結局。空調を新しくする話は、流れたみたいだね」
「いざ取り付けるとなると、寮を丸ごと工事しないといけませんから」
「おいそれとは、整備が進まない訳だな?」
「そういうことだ。我慢してくれ。――今度の土曜日、献血バスが来るらしいな」
「そうらしいね」
「この学校に来てからは、初めてですね」
「毎年、来てるものではなかったのか」
「今年度から、新しく試みることになったんだろうな。そういえば、三人は何型なんだ? 俺は、オー型」
「僕は、エー型」
「私は、エー・ビー型です」
「自分は、ビー型。父親がオーで、母親がビーだからな」
「そこは、俺の両親と一緒だな。ついでに言っておくと、兄ちゃんはビーで、聡司はオーだ」
「僕のところは、お父さんがエー型で、お母さんがオー型」
「私のところは、母はエー、姉はオーで、父と愛実はビーです」
「バラバラだな」
「キャラクターがかぶらないから、ちょうど良いじゃないか」
「血液型と性格に、相関性はないけどね」
「科学上の根拠はありませんが、占いとしては面白いと思いますよ」
「大雑把なエー型、協調性あるビー型、几帳面なオー型、表裏のないエー・ビー型が居ない訳ではない」
「そうだな、朝丘。――昨日の放課後のかくれんぼは、どうだった?」
「面白かったよ」
「楽しかったです」
「最後まで見つからなかったから、忘れられたのかと思った」
「遠いから、最後に探すことにしてたんだ。聡司は、トイレにある掃除用具を入れるところに隠れていたし」
「僕は、実験室の窓際の机の下にある、引き戸収納に隠れていたし」
「私は、図書室のカウンターの下で、本と椅子を盾にして隠れていました」
「たしかに、どっちも、音楽室よりは近いな。でも、他にも同じことを考える人間がいたのは、誤算だった」
「ん? どういうことだ?」
「勘違いしてるようだけど」
「音楽室にいたのは、朝丘さんだけですよ?」
「またまた。自分を怖がらせようとしても無駄だ」
「いやいや。俺たちが言ってることは本当なんだ」
「源田くんは、美術室に置いてあるパネルの裏に隠れていたし」
「杉並さんは、用具倉庫の中に隠れていました」
「でも、隠れてる最中、近くに人間がいる気配を感じたし、物音だって聞こえてたんだ。山崎たちが入ってきた途端に消えたから、てっきり、二年のどっちかが見つかったものだとばかり」
「……姿は見てないんだな」
「声も、はっきりとは聞いてないんだね」
「どうにも、不可解ですね」
「身の毛がよだつ話になってきたな」
「鳥肌が立ってきた」
「冷や汗が出る思いだね」
「何とも、血も凍る体験談ですね」




