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追放したんでしょ?楽しく暮らしているからほっといて  作者: だましだまし


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ガナとターナとレリアーナ

ガナは村に着くと「ちょっと待っててくれ」と御者席の方へ走っていった。


「ディボラ様、名前の件、申し訳ありません!あの…あの男を雇って良かったのですか?」

レリアーナが確認する。

「一目で貴族かそれに準じた人間だって見破られているのよ?そんな私達が不用意に知らない村を歩くより案内を立てた方が安全だわ。呼び名だけ気を付けて」


皆がコクリと頷き馬車に視線をやると少し顔色の悪い女性を伴ってガナが戻ってきた。

「すまねぇな。すぐ回復するからちょっと待ってくれな。コイツが嫁のターナで護衛担当だ」

ターナは双剣を使うのか短剣を二本腰に差している。

「宜しくお願いします…すみません」


レリアーナがウーンと何か考えディボラ様に耳打ちで何か確認をしている。

そして、自分の鞄から一本の薬草を取り出した。

「良かったらこの薬草を噛んで下さい。スッキリすると思います」

ターナがにおいを嗅ぎ少し迷ったが葉を1枚口に入れる。


今回、村に来るにあたって各自で荷物やお金を鞄に詰めて来たのだが…こんな所にまで薬草を持って来ているとは流石というか筋金入りというか…。


「これは…スゴイです!治りました!」

死にそうな顔をしていたターナが見るからに元気になる。

「気付け薬の原料になる薬草ですの。馬車酔い程度ならこの薬草だけで治りますわ」

それを聞いてガナとターナの顔色がサッと変わる。

「気付け薬って結構高価な薬じゃないですか!コレもお高いんじゃ…」

二人はオロオロとしているがその薬草の元手はタダだ。


「気付け薬は他の素材が高いのですわ。この草は森の浅い所にも生えているくらいですわよ」

レリアーナがニコニコともう一本取り出してターナに渡す。

「似た毒草は無いのでしっかり見れば見付けられると思いますの。これ、差し上げるわ。探すときの見本にしてちょうだい」

「い…良いのですか…?レリー様!ありがとうございます!」

「良かったなぁ!ターナ、良かったなぁ!」

泣きそうな程感激するターナと一緒に喜ぶガナを見ていると良い人なんだと思える。


自己紹介で分かったのは二人は少し遠方の国タマリアの出身で今はこの村に滞在してるらしい。

ターナは中級者の中でも真ん中くらい、ガナはギリギリ中級者レベルなのだそうだ。


「大平原の村人はオレら含め訳あり冒険者が多いです。なのでお貴族を狙う野盗紛いのやつは犯罪者になる事なんか厭わねぇ。逆にそういう奴ら以外は権力さえ振りかざさなけりゃ案外安全です。媚びる必要ねぇかわり恐れる必要もねぇと思ってやす」

「あと野盗紛いの奴も襲うのは絶対ダンジョンの中だからね。しつこくダンジョンに誘われたら危ないと思って下さい」

二人は歩きながらまず安全面について教えてくれた。


「村で襲われる事はどうしてないの?」

サマナも素直に質問している。

真贋を見抜く力が高いサマナが普通に話すくらいこの二人は信用に足るのだろう。

「酔っ払いは別ですぜ?でも全員が冒険者って言ってもいいくらいの村です。下手に貴族さん怒らせて何処ぞの国の騎士だ警備だかが来て引っ掻き回されるのが皆嫌なんすよ」

「そ。だからお貴族様のお忍びっぽい人がいたら近くの人が何となく気に掛けちまうんです。だから襲うような事すりゃ見えて無くても気配でバレる。それを野盗紛いの奴らも分かってるからダンジョンへ連れ込むんですよ」

「ねぇ私達も貴族のお忍びだと何故分かったの?」

ディボラ様が貴族なのを明かした上で核心を突く。


ガナが「あー…」と頭をボリボリ掻きながら少し迷ってから教えてくれた。

「ディー様、「貴族の護衛を目指してる」って言ったでしょ?それでアンタたちが貴族さんだって確信したんでさ」

「そんな人たちはいないってこと?」

思わず聞いてしまったが貴族の護衛を専属にしてる冒険者はいる。

だって以前ダンジョンに来た時はそういう人達を雇っていたのだから…。


「います。しかも貴族様のような品ある人も多い。冒険者の仕事の中では危険度が少なくて収入も高いから審査が厳しいけど目指す人も多いです」

「でもね、『貴族』って貴族さんを呼び捨てる事はないんすよ」

二人とも困った笑顔をしていた。

「サナ様だけはオレが確信持った瞬間がいつかって何となく気付いてやしたよね。我々にとってお貴族ってのは雇用主だから余程の新人とかお貴族出身の冒険者以外は「お」だとか「様」だとか付けちまうんですよ」

「周りがそんなのばっかりだからね。影響されてそうなっちまう。特にすぐ呼び捨てられなくなるのが護衛志望の奴らなんですわ」

「お貴族さんの護衛志望だからそんなけキレイな所作が身に付いてるってなら新人じゃねぇ。つい「貴族様」って言っちまうはずなんです」

「ディー様とアリア様の気配は特にお強い…。だから案内が無くても本当は襲われる可能性は低かった。でも本物の貴族さんだから万が一狙われたら危ないと思ったんです」

どこか申し訳なさそうに教えてくれる二人。


「どうしてここまで細かく教えてくれたの?私達の力量まで見切っていたり…冒険者って皆そうなの?」

確かに…私だけ長剣だけど皆も腰に短剣を差している。

それにサマナが察した時が分かったって…。

「もー、サナ様は野暮な事を聞きなさる!そりゃあコイツの恩人ですからねぇ」

そう言ってターナを親指で示しながらレリアーナに視線をやるガナ。


「え?私?」

「はい!レリー様!他の人にはこんな話ししませんよ。出自も言いませんし危険ポイントも言いやしません!見抜く力もオレのちょっとした特技なんで当然他の人には隠してやす!」

「レリー様は私たちの恩人です!馬車酔いでどうしても行ける所も限られていた。でもこの薬草さえ見つけられたら少し遠くのダンジョンに潜ることも別の村へ移動も出来るようになります」

「ここの村へは歩いて来ましたが大平原の村でここだけ少し離れてるからかなり厳しかったんですよ…。だからもう拠点移動するのは諦めてた。でもおかげで拠点を変えられる。割の良いダンジョンへも行ける。レリー様、本当にありがとうございます」

そういえば「冒険者として致命的」って言っていた。

彼らにとっては死活問題だったらしい。


夫婦揃ってレリアーナに頭を下げている。

両手を振って真っ赤になりながら謙遜するレリアーナ。

でもその表情はとても嬉しそうだった。

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