依存症病棟へ入院するってどんな感じ?
『入院』という言葉からイメージできるのはベッドを与えられて朝食、昼食、夕食が配膳されてきて、あとは布団の中にもぐって寝ているだけ。個人に与えられた小さいテレビを自由に観ながら、長い一日が終わる。上げ膳据え膳だと思われるでしょう。いいえ、全く違います。
依存症専門病院は存在しません。あるのは精神病院内の一角に『依存症専門病棟』があるのです。
まず、入院すると2週間点滴を受けます。内容物はビタミン系と生理食塩水だと思います。この点滴に苦痛は伴いません。
点滴を受けている2週間であなたの身体を支配していたアルコールはほぼ消えて無くなります。と同時に食欲が復活します。
アルコールを飲み続けている間はほとんど食事を摂っていないはずですので、小さい1歩ですが回復していると言っていいでしょう。
アルコール抜きの睡眠に不安を持っている方は多いと思いますが大丈夫です。眠剤が処方されます。私の場合は『サイレース』という眠剤とデパスという精神安定剤が処方されました。
もし、深夜、どうしても眠る事ができない場所も安心してください。あなたの居る場所は病院ですので、不眠症で死ぬ事はありえません。夜勤帯のナースさんもいますし、先に入院された患者さんたちは毎晩(毎夜の方が正しい)アルコール抜きの宴会をおこなってくれています。参加費用は無料です。
アルコール依存症者たちからアルコールを抜くと、とっても元気で陽気な人間になってしまうのです。
深夜にテレビを観続けている訳でもなければ、カラオケで歌を唄っているのでもありません。今までの自身の社会環境では会う事がなかった人たちと出会います。
画家さんもいました。 有名な公認会計士さんもいました。中華料理屋さんもいれば私のように医療従事者もいます。時期が重なればアルコール依存症の医師もいます。
入院しているというより、監禁状態の別荘暮らしとでも例えたらわかりやすいでしょうか。慣れてしまうと楽しいのです。
風呂は大浴場で、午後3:00くらいから入浴可能です。
義務は2つのみ
入院期間中に飲酒をしないこと。この掟を破った場合は通称ガッチャン部屋行きになります。簡単に説明すると独居房です。(飲酒しなければガッチャン部屋行きはありませんので心配無用です)
夜の7:00くらいから9:00までは夜のミーティングなるものに参加しなければいけません。夜のミーティングには2種類あります。一つが病棟内でおこなわれるミーティング。もう1つは病院がある地域で活動している断酒会かAAへの参加です。
このテレビ番組におけるゴールデンタイム時にわざわざ外出して、他人のアルコール談話を聞きに行く事が面倒に感じる患者さんは非常に多いですが、アルコールを飲んでいる時だって自宅でテレビをマジマジとは観ていなかったでしょう。
病院外に出かけられる自由時間だと思って参加してみてください。参加するとある事に気が付きますが、それはまた後日タイピングします。
私が最初に入院したのは12月7日から翌年の2月20日まででした。場所は三鷹駅から程近い『井の頭病院』 外出届を出して太宰治の墓に行ったり、入水自殺した場所を探してみたり中古レコードショップ巡りもしました。掘り出し物が見つかるかもしれません。
この中古レコードショップ巡りがのちに『不滅の20世紀洋画音楽集 original sound track』サイト製作、運営に繋がります。
三鷹という街は楽しいところです。三鷹の森美術館や井の頭公園があり、神田川の源泉があって「こんな小さな湧き水から神田川が始まるんだ!」 と気付きます。
井の頭公園は往年の名作ドラマ『俺たちの旅』オープニング・テーマ曲のロケ地です。 「懐かしいなぁ〜」と思い出しました。
太宰治の墓の小径を挟んだ右隣が森鴎外(森麟太郎)の墓になります。太宰治の遺言で『自分の遺骨は森鴎外先生の側に・・・』だそうです。
太宰治は自死する前日には大宮にいました。玉川上水に入水し、発見されたのは井の頭公園に入る手前にあるテニスコートのところです。当時の写真が河岸に飾ってあります。
こんな小川でよくぞ死ねたもんだな。きっとそう思うはずです。
確固たるアルコール依存症者さまへ 入院すると良い経験ができます。入院生活は楽しいのです。特に夏場の猛暑時に働くことなく避暑地暮らし、ついでに断酒までできてお得感いっぱいです。
ちなみに良い部分しか発表していません。悪いことは自分で体験してください。




