2話
単純な事故だった。
タイヤが滑って曲がり切れなかった中型トラックが、僕に接触してきただけの単純な接触事故。
トラックの尻に弾き飛ばされた僕は、草の生い茂る鳥居の下に転がった。
そこは偶然にも、鳥居の先にある神社の神主が事故で亡くなった場所と同じだった。
僕は、薄れゆく意識の中で昔の事をぼんやりと思い返していた。
昔からよく面倒を見てくれていたその神主のいる神社へは毎日通ったものだ。
掃除を手伝ったり、瞑目してみたり、神主が居なくなってからも毎日続けていた。
――そういや、神主の周りにいつも引っ付いてたちっちゃい光は何だったんだろうなぁ...。
そんなことを薄っすらと頭の中に浮かべながら、僕は意識を手放した。
直後、神社の方から淡い光が溢れ、その光は穏やかな川のように階段を下り、鳥居を潜り、彼の体に吸い込まれていった。
翌日の新聞に、”謎の発光現象”と小さく書いてあったが彼が気づく事はなかった。
「————み、きみ!生きてるか!」
誰だろう...心地よく寝てるんだから起こさないで欲しいんだけど...。
『......ぅ...』
体を揺さぶられたら起きるしかないじゃないか。まったく...。
「お、良かった...意識はあるな...」
『誰...ですか?』
空に星明りしかない中、目の前にいたのは知らないおじさんだった。
そして、おじさんの後ろにはどこかで見覚えのある中型トラックが止まっていた。
「そ、そんなことはどうでもいいんだ。か、体はどうなんだ?」
『どう、と言われましても...特に何も...』
僕は別に普段通りなんだけど...?
「そ、そうかそうか!まぁ、とりあえず!これ、置いとくから...誰にも言わんでくれ!な!」
『え?ちょっとどういう』
僕が言い終わるより前におじさんは走り出し、トラックに乗ってどこかへ行ってしまった。
が、走り去る間際にトラックの凹みを見た僕は何があったのかを思い出した。
『あーーーーーー!僕のバイク!!』
吹き飛ばされたからか、バイクは無残な形になっていた。
大事に乗ってきただけあって、そのショックは大きかった。
『そんな...嘘だ....』
破片の飛び散る場所に跪き、大事なパーツを集め始めた。
気が付いていないが、彼の周りには7つの淡い光がふわふわと浮いている。
(ねぇイツくん、自分の体よりお馬さんの心配してるよぉ?)
(もーせっかく治してあげたのに!いいよ、ついでだしお馬さんもなおしちゃおう)
『....今、誰かが名前を...?』
(じゃ、じゃあわたし!わたしが行く!)
(そっか、むーちゃんはまだ色を宿してないからいけるんだっけ)
(うん!いってきまーす!)
白い光がほかの光から離れ、スッとバイクに吸い込まれていった。
視界に入った謎の白い光がバイクに入っていった。
『....綺麗な光だ...って、え?』
光がバイクに吸い込まれた瞬間、淡い光と共にひとりでにバイクが起き上がり、飛んでいたパーツが、手に集めたパーツが
吸い込まれるようにして僕の愛車に吸い込まれていく。
光が収まると、そこには完全な状態で静かに佇む僕の愛車だった。
『どう...して...』
後ろで光る光達はどこか嬉しそうに動いている。
少しの静寂の後、バイクに触れようとした瞬間、僕の愛車が唐突に”喋った”
《 こ、こんばんは!! 》




