偽りの皇帝と百獣の国王
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第1章 3話 「偽りの帝国と百獣の王国」
クーデル平原には、人の皮を被った鬼が居る。大陸に住まう王達は、皆口を揃えて言う。
敵対には死を、沈黙には死を、反逆には死を。
元々クーデル平原には、大小様々な人種による国が点在していた。それを一代でまとめ上げたのが、現帝国の皇帝に当たる。
バーツ-ロメオ その人である。
元々帝国は、クーデル平原とは名ばかりの北部に広がる永久凍土の中にある小国でしかなかった。
それが何故、統一までに至ったか。
それは一重に神ノ恩恵と鉄の掟によるものが大きい。
9歳の冬、ロメオは一人の青年と会う事から始まる。
永久凍土地帯による作物不足、寒さ、貧しさから民が死ぬのは日常であった。飢えを凌ぐため人を喰らう事さえある。初めて目の当たりしたのは、同じく9つの頃。
人に絶望し、神に絶望し、己の未熟さに絶望した。
「神が嫌いかい?」
夜、昼間の光景を思い出し自室で一人震えていると声が聞こえた。先程までの震えが自然と無くなっていた。人では無い何か。青年を見た時の印象、それは現在に至るまでずっと脳裏に焼き付いて離れない。
闇夜に光るコバルトブルーの瞳に、深紅の長髪。忌み夜を体現したかの様な姿に思い至ったのは、死神。
「あぁ〰️嫌いさ。この飢えを救えない、祈っても救ってくれない神が」
9歳とは思えない程、ハッキリと口にする。
「じゃあ、君は何が欲しいの?民の安寧?国の発展?」
その言葉を聞き、ある考えに至る。それと同時に納得する何故目の前の人物が僕の前に来たのか。
あぁもう僕は壊れてるんだね?
「希望をあげるよ。だから、、、絶望を頂戴?」
青年は、突然声高らかに笑いだす。
「あはははははは、、ごめんごめん。頭のいい子は好きだよ?話が早くて助かる。」
三日月の様な瞳から涙が一滴。それを指でなぞり少年の口許に運ぶ。
「お舐め?」
躊躇する事無く、少年はしゃぶった。
その様子を見て青年は、幸悦の表情を浮かべ
「やっぱり僕、君の事好きだわ。」
笑みを浮かべながら、月夜に吸い込まれる様に青年は消えた。静まり返る部屋に一人残された少年は、夢でも見ている様な感覚になるが、壁掛け鏡を目にし現実だったと改めて思い知らされる。
少年の瞳が消えた。いや、希望が消えたのだ。
「確かに持って行ったね。ありがとう。」
その日、少年は皇帝を殺し。帝を名乗った。
不思議な事に、だれ一人として少年に異を唱える者は居なかった。
それから長い年月が経ち、少年は老人となり、小国は本当の意味での帝国となった。
◆
ザバン帝国の御前会議は今、沈黙が支配ている。
誰一人として、その顔に笑みは無く。
戦場から早々に帰還した密者による報告書に力が入り歪む。あまりにも馬鹿げた報告を一笑し会議を続行するが容易い。しかし、議題自体が無下になった原因の報告に頭が痛くなる。
簡潔に纏めると、帝国と獣人族(王国)は永き渡り小競り合い(戦争)を行っていた。戦場となる場所は獣人族の速さを奪い、戦士の機動力を十全に活かせる密林。しかし、突如として現れた塔に両軍が第三者の警戒せざる得ない。
エルフが治める連合国、ドワーフが治める王国、中立を保ってはいるが、竜人の領域。神を崇拝め命すら擲つ聖国。国は持たぬが各地に力を蓄える游民族。沈黙を貫く魔王国。その何れかによる勇者召喚を行った可能性が高い。もしくは転移者。
一番最悪であり、国益になるのがこの転移者である。知識による発展もしくは、武力による牽制、あわよくば大陸統一の野望が実現する。自国に取り込めれば最善であり、他国に渡れば危機となりえる。ならば戦争どころでは無い。多種族に一対一では劣る事が解る故に、隊を組み知恵を絞り今まで耐えてきたのだ。
それを安易に滅ぼせるのもまた異世界人である。
「、、であるからして、転移者の可能性が濃厚かと。」
「かの力(塔)は、それだけと言う事か。」
「かの力を持つ者を迎え入れる準備を閣下!」
その様な事は、解りきっている。大隊を組むと敵と思われる可能性が高い。小隊では、森の中で獣人族と遭遇したら死ぬ可能性が高い。なれど幸いガーラン森林は強力な魔物が多いと聞く、人数が多い程遭遇確率が上がる。ならば大隊を組むであろう王国に任せ、対処している隙に対象への接近が建設的じゃな。
「五小隊を組み、各個目的地を目指せ!かの者を連れ帰ったには相応の望む物を用意する!」
閣下の激に対し、最敬礼で5人の臣下が膝付き是を示す。そして、臣下同士の戦いがスタートする。
我先にと部屋を出ていく者達を横目に一人残った宰相と閣下の視線が交差し笑みが溢れる。
「五小隊とはまた、閣下も意地が悪い。」
ポツリと呟やく様に言われた事に対し、更に深い笑みを浮かべる。
「その様子からして、気付いて居るようだな」
宰相に対し、笑みを浮かべそのその先を促す。
「かの者達は余りにも力を付けすぎました。ダニを払うには最善かと、、、。」
「うむ、正にその通りだ。それよりもだ、他国を出し抜けたのはデカイな。くれぐれも頼むぞ」
「ハッ、良しなに、、、。」
言葉と共に、霧散した。
「ぬしもな」
誰にも居ない場所に対してポツリと呟く。
皇帝もまた、孤独であった。
所変わり、その頃王国では。
「どういう事だ!」
激しく机を叩き、声を荒げるライオンの様な獣人族の長、一代で獣人族を纏め上げた手腕は見事の一言。
他を圧倒する個の武力、優秀な人材を見抜く眼力、悪を許さぬ正義感の持ち主であるが弱点があるとすれば直感に頼った短絡的思考の持ち主である事であろう。戦があれば先人を切って戦う、優秀なのであるのだが指揮は下手。根っからの武人であり、臣下からすればヒヤヒヤである。
結論から、未知の力を持つ者に対して率先して出向こうとしているのだ。臣下一同が反対している所である。
「だから、陛下にはあれだけ秘密にせよと申したのに、、、」
梟にタキシードを羽織った様な姿の獣人がヤレヤレと言わんばかりに首を振る。陛下の直感が何か隠していると結論付け、陛下が鎌を掛けた結果、報告済と誤解した偵察隊長がしゃべってしまった。
大隊を動かすには陛下の承認を得なければならない。しかも決して参戦なさらぬ様に、などと臣下一同に懇願されれば直感など関係なく気付きそうなものだが、、、、。まぁ、仕方ない。
本来で有れば転移者に王国に来て頂いて、陛下の人柄を目で見て頂いた方が最善ではあるがこうなれば聞かないのがまた、陛下の人柄である。古参である臣下の間には半ば諦めムードが漂い出している。
ならばと、一人陛下に対して伺いをたてる者がいた。
「陛下のお考えを伺いとうございます。」
国内随一の知力を持つ梟である。
「会って戦って友情を育む!」
はぁ、やっぱりと言わんばかりに子供に諭す様に話はじめた。
「まず戦ってはダメです。決して陛下が負ける事は無いと思いますが、何があるかわからない以上賛成しかねます。戦いを好まぬ場合、陛下の案は最悪かと」
はっきり、否定された事に王が悩む事、、、5秒。これだ!と言わんばかりに案を出す。
「ならば、とらえ「却下です」なんだと!」
やはり、思考が短絡的でなければこれ以上の名君はいないと思うだが、外交に向いていない。明るく無い所の話でなく真っ暗だ。
半ば呆れ気味に放たれた否に、陛下がまた考える(多分、フリ) 素振りを見せる。考えている時間が長ければ名案だと思っている王を横目に見つめ、夕空を眺め梟は思った。
今日は長くなりそうだ。と
ならば、と声に肩を竦めながら陛下の名案とやらを気持ち半分に聞き入るのであった。
その頃、爺は熊?を穴に投げ入れていた。
「ふむ!熊は定番じゃ!」
読んで頂きありがとうございます!
がんばります!
駄文なのに( ̄▽ ̄;)
長い目で暖かく見守って下さい(笑)




