仲直り?
よろしくお願いいたします(^^ゞ
「裏切り者、、、。」
声量こそ小さいが、確実に他者にそれも特定の人物に届く大きさで放たれる。
そんな中でも毅然した態度を保ち、中庭で二人から非難の視線を涼しい顔で紅茶を口に運ぶ。
あたかも自分に向けられた言葉では無いと澄まし顔を決める。
「ねぇ、何で裏切ったの?」
ルコルの問いに、ピクリと眉が動く。
「なんで私が仲間外れなの?」
ココルの問に、顔を見合わせ視線をココルの後ろに向ける。
「だって付いて来るでしょ?」
横目で視線の先を確認する。
黒髪のメイド長、金髪のヒルダ。
状況下で共に行動する事が多い、ヒルダだと察する。
ここでようやくカップを置き、二人に向き直る。
「あなた達の方が多いでしょ。」
試合向きでは無い、口が裂けても言えない。そんな二人の様子を察したココルは溜め息混じりに口を開く。
「戦わなくても、一緒がいいに決まってる。」
頬を膨らませ瞳を潤ます。
先程とは、うって代わり二人が申し訳なさそうに眉を下げる。
「だって、、、」
ルルアの言葉の、、、、先を待つ。
ポツリとルルアが呟く様に口を開く。
「だって、本気出せないじゃん。」
「当たり前、怪我なんてさせたく無い。」
同意とばかりに、頷くメイド長とヒルダ。それを見ていた二人はゾクリと肩を震わす。
先程まで仕置きと名ばかりの一種の拷問を受けていた事を思い出す。
◆
「ルコル様、ルルア様。」
短くも誰だか解る。疲れていても自然と背筋が伸び硬直する。
ギギギッっと錆び付いた機械の様に、首が回る。
汗だくで火照った二人に冷たく感じる汗が流れ遠くで鳴く鳥の囀ずりが、近く感じる。
“どうしよう”
共通の認識に先に動いたのは、ルルア。
脱兎の如く
対象に背中を向け足を動かそうと地を蹴る。
三才児とは思えない程の強化された脚力が地面に爪痕と土煙を上げる。ルコル程の知力が無い事を自分が一番わかっている。
逃げ場など無い事もこれが悪手だという事も解る。
ただ、耐えられなかった。動かない事が、、、あの場所に残る事が。
「悪手ですね。そうは思いませんか?お嬢様。」
どちらに向けたセリフ?私?ルルア?それとも両者?
ルコルの思考が高速で回転する。
ルルアを追うメイド長を目で追い、視線を逃亡先に向ける。
今だ!ルルアを追うであろう状況下で逃げ、、、、る!?
白と黒の壁にぶつかる。咄嗟に伸ばした手に伝わる柔らかい物に混乱する。状況が掴めない、避ければいいと気付き、すり抜けようと走る。
進まない!?
地に足が着いてない。次第に地面が遠くなり腰ひもが重力に反し体が“くの字”に曲がる。
見覚えが凄いある、眼鏡が眼前で光る。
「悪手です。お嬢様」
自分の未来(死)を想像しドナドナされる。
ごめん、ルコル、、、、、。
咄嗟に駆け込んだ林の中、手頃な木を背に息を整える。体に負担を掛けたからなのか、、、上手く呼吸が出来ない。
「おいで“スレンダーマン”」
自分を取り囲む様に、少し離れさせ配置。奴が来れば時間稼ぎぐらいしてくれるだろう。
少女は過ちを犯した。
スレンダーマンを離れさせた事。
スレンダーマンが異常を発見しても、彼女に伝える手段を持ち合わせてない事。
そして、自分を中心に配置した事。
音を立てず静かに移動する影人を見送り、大きく息を吐く。緊張の糸が切れたかの様にその場に座り込む。
静かだか森の生き物達に、今は癒される様に何も考えずに只、耳を澄ます。
「自分より大きい獲物を均等に散らばしたら自分は、ここだと教えている様なものですよ。お嬢様」
今一番聞きたく無い声に、、、それに自分自身を疑った。幻聴なのかと振り返り、その目に写るは幻覚なのかと、、、、。
メイド長が、彼女の腰ひも(リボン)を軽々しく持ち上げ、鼻歌混じりに意気揚々と帰路に向かう。
呆気なく、彼女達の戦争はこれ以上無い大敗で幕を下ろした。
◆
まだお尻が痛むのか、決して座ろうとしない。
そんな様子を見て、柏手を打つ。
「お嬢様方、淑女たる者立ち話はお控え下さい。」
椅子を引き、着席を促す。
「腐れメガ「ルコル様?」、、い、いえ。ありがとうございます。」
そぉ〰️と腰を下ろそうと、手を付きゆっくりとゆっくりと慎重に座る。
「、、、、、!?」
叫びたい気持ちを必死に抑え、平静を装う。
後続がまだいる。自分を見捨て、いの一番に逃げた。
「メイド長、ルルアは辛そうなので椅子に乗せて差し上げて。」
内心、ほくそ笑む。
判りました、と両脇を抱え椅子に下ろす。
「ぎゃぁ〰️〰️〰️!?」
もはや子供が出していい声でない。傷口に塩をすり込まれる如く。
ヒリヒリと赤いお尻に、春先とは言え、まだ冷たい鉄製の椅子に勢い良く着席。
「この紅茶、染みますわね。」
カップに一口、ほくそ笑みながら震える手で紅茶を飲むルコル。
彼女達の戦争は、こうして幕を閉じた?
◆
王城に向かっている最中に起きた襲撃事件が、一段落し再び移動を開始する。
襲撃からの混乱が落ち着き馬車の中で、ルルアとルコルがメイド長に詰め寄る。
「ねぇ、さっきの何?」
「襲撃ですか?それは、彼女に聞かな「違います。」、、、、。」
知られたくなかったのか、誤魔化そうとするが直ぐに話を戻される。
毅然とした態度で、まだ、あなた方には早いと否定する事は簡単だが、良くも悪くも賢いお嬢様方は力を見た。しかもココル様に関しては力を行使してしまった。
危険性を示唆した所で、目の前の方達は隠れて訓練もとい、試すだろう。ならば、危険性を示した上で目の届く範囲で見守っていく方が余程、有効だろうと思い至った。
「“スキル”と呼ばれるものです。精神力を引き換えに発現する魔族特有の力で、本来ある一定以上の法力と感情により現れます。」
「「いいなぁ〰️〰️」」
想定内の反応に、確信を持つ。
ですが、、、と言葉を選びながら危険性を説く。
「お嬢様方は、まだ精神が成熟していないのです。無理をされると精神だけでは無くその他に与えうる影響は、想像を越えるでしょう。」
言い終えると同時に、横に座る力を行使した。いやさせてしまったお嬢様に向き直る。
「ココル様、、、、申し訳ありません。」
突然の謝罪に驚き固まる。
「い、、、いえ。こちらこそ不用意に外に出てしまい、、、ごめんなさい。」
自然と目に力が入る。
「お嬢様、お加減はいかがですか?」
体を見渡し、腕を挙げたり異常が無いか確かめる。
「大丈夫の様です。」
メイド長の表情が一瞬、柔らかいものに変わる。
「ココル様、、、、、。」
「わかっています。」
真剣な表情でメイド長の瞳を見る。
「ですが、彼女達の事を譲る気はありません。」
「命を狙われたのですよ?」
「えぇ、ですが理由を聞かないで処断などわしたくありませんし、今は、、、、やり直す事も可能だと思います。」
一度、馬車の後ろに視線を送り見えない者達を考える。
姿は子供だとしても未だ、安全だと言いきれない。自分失態でもあるので強く言い出せない。詳細は城にて、魔王様に判断を仰ごう。
「わかりました。お嬢様、、、、ですが、魔王様がなんとい「わかっています。」、、、ならよろしいです。」
これ以上は何も言うまいと、佇まいを正す。
「趣味です。」
謁見の間の一同。空いた口が塞がらない。
背筋を伸ばしたまま、盗賊の仲間も表情がひきつり金髪の少女のみの時間だけが流れている。
「彼女に惚れました。」
「はぁ!?」
少女の言葉に、誰かが発した言葉が木霊する。
長い謁見になりそうだとクランチが一人、頭を抱える。
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