ドワーフの本気。
「汚名返上といきますか。」
暗い部屋の中で設計図とにらめっこしている。灯りは蝋燭一本のみ。
一人のドワーフの呟きは、誰の耳に届く事無いがその目は静かに燃えていた。
自身が来てからと云うもの全くと言って良い程、運が悪い。その原因は、ウッドエルフの双子である。最近では大人しくなったが、まだ目が離せない。何故コイツらを送って来たのかウッドエルフの族長を疑うが1周どころか5周でもしたのではないのか?と思うが、自分も同じ立場であったならと考えるが頭を振り霧散させる。
今集中すべきは、神の孫に当たる三姉妹が滞在する可能性がある家を任されたという事であり、三姉妹が気に入れば万々歳であり神の祝福を得られるかもしれないということ。
魔王の娘である事から、質素より豪華を好むであろう。あと注意すべき点は、三人の趣向が異なる場合もあり事前の調査が必要である。
何よりも特記すべき点は、神が見るということであり妥協が許されない事である。
神は人格者であり、些細な事は許されるだろうし満足して下さるかもしれないがそれは自分自身が許せない。
ドワーフ王の長い夜が始まった。
一種の深夜テンションとは、恐ろしく判断力を鈍らせる。それを体現するかの如し設計図が完成する頃、夜が明けた。
2週間後、森の中に異彩を放つ建物が建てられていた。基礎は近くの山から切り出された石畳を敷き詰め、組み上げられた石材は長方形に揃えられており高さは100mをゆうに越えている。
そこに、城が完成した。
それを可能にしたのは王であり、国民を総動員した結果が異常とも云える程の速さでの竣工を可能とした。
「やりすぎじゃね?」
アダムスの声が辺りに静かに響く。その様子とは打って変わりロキは興奮した様子で城内を見て回っている。
「いいですね!じぃさま!」
まぁ子供とはそうあるべきと内心諦め、はしゃぐロキと満足気に説明して廻るドワーフの後ろをトボトボと後に続く。
後日、はしゃぐ孫娘三人に若干引き気味のクランチ、ゴリチョ。何故か自慢気なロキという不思議な組み合わせを遠目から複雑な表情で見守る神が居たとか居ないとか。
「これは、火鼠の皮衣をふんだんに使った絨毯で、、、、、、」
ロキの説明会はまだまだ続きそうだと感じ、そっと中庭にでる。噴水があり綺麗な水が途切れ無く噴き出している。とある女神をモチーフとした像が中心で剣を掲げており、それを満面の笑みで見つめるアステアが居た。
辺りには彩り鮮やかな花が咲き誇りまるで迷路の様なグリーンガーデンが広がっている。軽い気持ちだった、、、、ついでにで良かったと自身に言い聞かせた所で後ろから声が掛かる。
「まさかこれ程とは、ありがとうございます。」
クランチが困惑気味にお礼を口にする。儂だってそうだ困惑真っ最中じゃと。尾首にも出さないが手を上げ答える。
「まぁドワーフ王も思う所もあるじゃろ。今はありがたく受け取るしか他にあるまい。」
はぁ、と半ば諦めとばかりの返事に同意するが出来てしまったものは仕方無い。あとはありがたく使わせて貰うのみ。
「魔王は息災か?」
無理やり感は、否めないが現実を見る気にならない二人は他愛ない会話を続けた。
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