恐らく訴えたら勝てるような気がします!!それにオンラインにもなりました。訓練変③
ピピピピ……!
タイマーの電子音が広大な訓練場に響き渡った。
「はい、3分終わり〜」
「はぁ……はぁ……つ、ついに……終わった……のか……?」
俺はその場に力尽きて、畳の上へ仰向けに倒れ込んだ。
全身の骨がバキバキに砕けたんじゃないかと思うほどの激痛が走る。
防具を装備していたとはいえ、ゼロの容赦ない木刀攻撃を回避しまくるなんて、50m走10秒の引きこもりにできるわけがなかった。
結局、逃げ回る俺の背中や腕、足、腰に、木刀がバッシバシと叩きつけられた。
「……なぁ、オッサン……」
「なんだ?」
「……3分間で20発も打撃食らうって……それもう避けてねぇだろ……ボコボコにされてるだけだろ……」
「何言ってるんだ、29発だぞ」
「うるせぇ……っ! はぁ、はぁ……細かい数字なんて知るかよ……!」
ゼロは満足そうに木刀を肩に担ぎ直すと、ポンポンと手を叩いた。
「よーーし、3分休め! あとこれを、そうだな……あと7回やろうぜ! ラッキーセブンだ!」
「は……? 7回……!?」
俺は開いた口が塞がらなかった。思考がフリーズする。
「な、何がラッキーセブンだ!! 縁起のいい数字使えば許されると思うなよ!! 7回もやったら俺は確実に死ぬ!!」
「大丈夫だ、人間そう簡単に死なねぇよ。ほら、しっかり水分補給しとけ」
ゼロはニヤニヤしながらペットボトルを俺の腹の上にポンと置いた。
「うぐっ……! 扱いが雑!! ていうか、1回で29発だぞ!? 8回分(1回目+7回)やったら合計で200発以上食らう計算になるんだぞ!? 殺す気か!!」
「お、なんだかんだで計算はしっかりできるじゃねぇか。頭は回ってるな!」
「褒めてねぇで手加減することを覚えろ!!」
「あと2分半なー」
「話を聞けぇぇぇ!!」
天井を見上げながら叫ぶ俺の悲鳴が、広すぎる訓練場に空しくこだましていた。
◇
訓練開始から9日目。
俺は毎日毎日、訓練場に行っては叩きのめされ、死にかけ、そして今では——
深夜0時。
ベッドから起き上がるのも苦痛なほど、全身のアザと筋肉痛が限界突破していた。
「あーーー……今日も訓練か……嫌すぎるだろマジで……」
あと1時間であいつが迎えに来る。あー……無理やり逃げて、今日は仮病で休もうかな。
なんて現実逃避を考えていると、つけっぱなしだったパソコンの画面に一通のメールが届いた。
『ごめん今日からは本部いかなきゃならないからオンラインになるよろしく』
その文面を見て、俺の心の中には複雑な感情が渦巻いた。
いや、もっと早く連絡しろよ!! ……でも待てよ?
ということは、あの過酷な戦闘訓練をやらずに済むってことか……!? よっしゃーーーー!!
「ん? でもオンライン訓練ってなんだ……?」
メールを下にスクロールすると、謎のURLが貼られていた。
「まあ、ここを押せってことだよな……」
ポチッ。
『いやーーー! どうもどうもーーー!!』
「うるせぇ!! 寝てる親に聞こえるだろ!!」
スピーカーから響き渡るゼロの爆音ボイスに、俺は思わず叫んだ。
「ちょっと待て、まだヘッドホン付けてねぇんだよ!」
『いやー、メールにオンラインになるって書いたんだから、ヘッドホンくらいあらかじめ準備しとけよ〜』
「急にオンラインにするって言い出した本人は、もう少し申し訳なさそうに発言しろよ!!」
『まあまあ、そうカリカリすんなって〜』
「はあー……で、オッサンは今どこにいるんだよ」
『本部だ、言っただろ? まあ、具体的にどこにあるかは秘密保持の規則で教えられないんだけどな!』
「いちいちムカつくな……っていうか、組織ってそういうところ面倒くさいな……」
『その組織にお前も足突っ込んでるんだけどな?』
「うるせぇ、わかってるわ!」
一瞬、画面越しに静寂が訪れた。
『まあ、今日からは当分オンラインってことでさ。あの楽しい戦闘訓練ができないんだよな〜、悲しいよなぁ?』
「うん、すごく悲しい(棒読み)」
『おい、なんでそんなニヤニヤしてんだよ。キモいぞ』
どうやら俺は、あの地獄の戦闘訓練が休みだと分かった歓喜で、無意識に顔をゆるませまくっていたらしい。
『まあいい。今日からやってもらうのは「基礎戦闘知識」の叩き込みだ』
「なんだよそれ。基礎戦闘知識って具体的に何するんだ?」
『まあまあ待て待て。それも含めて今から説明するから。……じゃあ、始めるぞ!』
「へいへい」
明日もお楽しみに!!




