1ヶ月後大事なことがあることを聞かされたので、もっと真面目にやります…訓練編②
——5日目。
——バン! バン!
「よしよし、まあまあ的に当たるようになってきたな」
「なんだよ、煽ってんのか?」
「いやいや、一番最初に比べたら大したものだろ」
(こいつ……たった4日で人形の頭に2発も当てやがった。ガキの成長速度、恐ろしいな……)
ゼロは心の中で舌を巻きながら、俺の撃ち抜いたターゲットを眺めていた。
「よし! では今日からは戦闘訓練だ!」
「え? 戦闘訓練……!? おいおい、やっと銃が当たるようになってきたんだぞ、早くねぇか!?」
「早い? こっちには『1ヶ月』っていうタイムリミットがあんだよ。できるだけ早く詰めてくのは当たり前だろ」
「1ヶ月……!? 初耳なんだけど!?」
「あ、そういえば言うの忘れてたな。1ヶ月後、アンダー18のメンバーたちに会ってもらう。そのつもりでよろしく〜」
「え……!?」
そんな大事なことをあまりにも軽く言うものだから、俺は呆れて開いた口が塞がらなかった。
「いやいや! そういう超重要なことはもっと前に言っておけよ!!」
「いやぁ、人間誰しもド忘れってものはあるだろ? 過去を振り返るより未来を見ようぜ、未来を!」
「反省の色がゼロだな!! 名前通りかよクソオッサン!!」
「上手いこと言うねぇ! さすが俺の弟子だ!」
「褒めてねぇよ!!それにお試しの弟子な!」
俺ははぁーっと深いため息をついた。
「……はあ。まあ、その日程のことは百歩譲って分かったよ。だけどさ、俺の運動神経なんてほぼゼロだぞ? 50m走に10秒かかる男だぞ!?」
俺は眉間にシワを寄せ、嫌そうに抗議した。
「だからだよ! その死んでる運動神経を最低限まで底上げするための訓練だ!」
「だからって、なんでいきなりそんなハードそうなことからやるんだよ! 段階ってものを考えろよ!」
「段階なら踏んでる最中だろ。銃の使い方を覚えた、次は『狙われながら動く方法』を覚える。順序通りだ」
(そこで、俺は、確信した、こいつには、多分普通てものを、知らないんだと……)
ゼロはそう言いながら壁の方へ歩き、壁面で指紋認証を行った。すると、射撃場の隅にあった巨大な何もなかった壁から、重厚な音を立てて扉が開いた。
「よし、次はここでやってもらう」
「入れー」
目の前に広がっていたのは、畳40枚分はあるような、とにかくバカでかい空間だった。
「おう……思ってたより本格的だな……」
「当たり前だろ。一応ここも世界政府の持ち物だ。それにここは数億かけて作られてるんだから、中途半端にはならねぇだろ」
「数億……すげぇな、世界政府ってやつは」
「そうだろー?」
ゼロは歩き出すと、壁に手を置いてもう一度指紋認証をした。壁の一部が開き、中から出してきたのは——拳銃ではなく、ゴツいプロテクターと防具セット、そして謎の木刀だった。
「はい、これ装備しろ」
「……は?急に なんだよこれ。防具? ていうか、なんで木刀?」
「戦闘訓練っつったろ。銃の発射音ってのはな、目立つんだよ。どうしても近接戦闘にならざるを得ない場面なんて山ほどある。それに、相手の攻撃を避ける身こなしを覚えるには、打撃を受けるのが手っ取り早い」
「待て待て待て! 打撃を受ける!? 俺をボコボコにする気か!?」
ゼロは木刀を自分の肩にポチポチと叩きつけながら、ニヤリと底意地悪く笑った。
「ボコボコにならねぇように避けるんだよ。ルールは簡単。俺がこの木刀で打ち込んでいくから、お前は3分間、俺の攻撃を1発も食らわずに逃げ回れ。かすったら最初からやり直しな」
「無理無理無理! 運動神経ゼロだって言ってるだろ!? 避けるどころか目にも止まらんわ!」
「まあまあ! よし、スタートー!」
「話を聞けよオッサン!!」
次回もお楽しみに!!




