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中学生の引きこもり暇だったので世界政府特殊 部隊のエースに成り上がります。  作者: 九賀 りんたろう


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深夜サバゲー大会作戦を立て、指示をします!!訓練編⑫


俺は低い声でそう言うと、左手を素早く上げ、暗闇の中で指を複雑かつ滑らかに動かし始めた。

 

まず指で『1』を示す(元自衛官のオッサン)。 

『1は中央コンテナ街の手前に潜伏。姿を消して敵を引きつける囮になってくれ』

 

続いて『2』を示す(大柄な元軍人)。 

『2は1の少し後ろ、コンテナの隙間に配置。1を狙って出てきた敵を、上からの射線でカバーしてほしい』

 

最後に『3、4』を示す(残り2人のプロ)。

『3と4、そして俺の3人は、ゲーム開始と同時に左手の暗闇の木造小屋エリアへ移動。一気に迂回して敵の背後を狙う』

 

手信号を出し終えた俺に、元自衛官のオッサンが思わず声を漏らした。

 

「ん? お前はどうするんだ?」

 

「はい、私は3、4と一緒に暗闇の木造エリアに行きます」

 

「ちょっと待て。それだと右手の廃車ゾーン(車庫側)には誰一人行かないってことだぞ? 無防備すぎるんじゃないか?」

 

プロとしての鋭い指摘に、俺は冷静に首を振った。

「はい、そういうことです。理由を言うと、敵の配置は恐らく『コンテナに2人、木造エリアに2人、車庫側に1人』で来るはずです」

 

「じゃあなおさら、車庫側から敵が突進してきたら背後を挟まれるだろ?」

 

「いえ、違います」

 

俺がはっきりと言うと、プロの一人がハッとしたように目を見開いた。

 

「あ……あーー! なるほど……!」

 

「そうです。車庫エリアはガラスや金属片が散らばっていて、身を隠すには最適ですが歩くと音が出やすい。ということは、敵は自分自身が隠れることと、足音で察知されるのを警戒して、絶対に慎重に探りながらゆっくり進んでくるはずです」

 

俺はプロたちの顔を見つめ、一気に言葉をたたみかけた。

 

「車庫側が時間をかけて潜んでいる間に、俺たち全員でコンテナと木造エリアの4人を速攻で叩いて制圧します。その後、3と4は車庫の敵側入り口から、1と2は自陣側の入り口から包囲して、突破しようとしたところを挟み撃ちにして打つ。これでいかがでしょうか」


 

「…………」


 

静寂が降り立った。

 

元自衛官のオッサンが、信じられないものを見るような目で俺を見つめている。

 

「おい……本当に、このわずかな時間でそこまで考えたのか?」


 

「あ、はい」

 

俺が申し訳なさそうに短く返すと、大柄な元軍人が「ハハッ……!」と鳥肌を立てながら不敵に笑った。


 

了解ラジャー……! 最高の作戦だ、ヴァイオリン!』

 

「で、ですが……人数はあくまでも予想です! 間違えてる可能性のほうが高いですし……」

 

弱気になって慌てる俺の肩を、オッサンがポンと力強く叩いた。

 

「なに言ってんだよ、レイレイ。俺たちは君を信じる!」

 

「そうだよ、それに間違えなんてしない方が怖いよ。最初なんだから学びながらやっていこう!」

 

プロたちの温かい言葉に、胸の奥が熱くなる。

 

冷や汗を拭い、俺は力強く頷いた。


 

「はいっ!!」


 

『——10……9……8……』

作戦を話し終えた時、カウントダウンはすでに残り10秒を切っていた。

 

すると、周囲のプロたちが示し合わせたように肩を組み始める。

 

「えっ……!?」

 

予想外の動きに戸惑う俺に、元自衛官のオッサンがニッと笑って肩を抱き寄せてきた。

 

「あー、言ってなかったね。始める前にはこうやって円陣を組むんだ。これは勝つための願掛けなんだよ」

 

「……っ」

 

俺も慌てて隣の外国人プロの背中に手を回す。

 

ガチガチのアーマー越しに、猛者たちの熱い熱量が伝わってきた。

 

元自衛官のオッサンが、拳を握りしめて低く叫ぶ。


 

「絶対勝つぞーー!!」


  

「「「おーーーーーーっ!!!」」」


 

夜の暗闇に、男たちの気合いの入った声が力強く轟いた。

 

円陣を解いた俺たちは、スタート地点の入り口前へと素早く着く。全員の目から迷いが消え、鋭い戦士の光が宿っていた。

 

『——3……2……1……模擬戦闘制圧訓練、開始!!』

 

アナウンスのブザー音が響き渡ると同時に、俺たちは一斉に勢いよく闇の中へと飛び出した——!

 


 合図と同時に、俺たちは示し合わせたかのように無言で散った。

 

1(元自衛官のオッサン)は身を低くし、中央のコンテナ街へと素早く姿を消す。

 

2(大柄な元軍人)はその背後へ回り込み、コンテナの2段目へと繋がる鉄階段を影のように駆け上がっていく。

 

そして俺(5)と、3、4の外国人プロ2人は、足音を最小限に殺しながら左手の「木造小屋エリア」へと全速力で突入した。


 

(……暗ぇ! マジで一寸先も見えねぇぞ……!)

 

街灯の光すら届かない完全な暗闇。

 

だが、前を走る3と4のプロたちは、まるで夜目が利く肉食獣のように迷いなく暗闇をすり抜けていく。俺も必死にその背中に食らいついた。

 

(プロの動き、無駄がなさすぎる……! だけど、俺も遅れるわけにはいかねぇ!)

 

 (……作戦通りなら、木造エリアには敵が2人潜んでいるはずだ……!)

 

暗闇の中を走りながら、俺の心臓は早鐘のように鳴り響いていた。

 

プロたちと作戦を話していた時間は、時間にしてほんの二、三分だっただろうか。

 

マップの情報を聞き、ゼロの思考を読み、100個のハンドサインと個別IDを組み合わせて……脳ミソが焼き切れそうなほど思考を加速させたあの濃密な数分間。

 

プロたちに「短時間でそこまで考えたのか」と驚かれたが、正直、俺自身も自分の頭がどうやってあの作戦を叩き出したのか分からない。

 

ただ一心不乱に、ゼロの鼻を明かしたい一心で必死だった。

 

(あの数分間で組み立てた俺の予想は……本当に合ってるのか!?)

 

手汗でガスガンのグリップが滑りそうになる。

その時だった。

 

曲がり角の手前で、先頭を走っていた3のプロがピタリと足を止めた。

 

一切の足音を消し、まるで闇の壁と同化したかのように微動だにしない。言葉は一切発しない。

 

息を殺して様子を伺っていると、暗闇の中で3のプロが静かに右手を上げ、指で滑らかにサインを出してきた。

 

『前方の木造小屋の中に気配あり。……2人だ』

 

(……マジかよ……!!)

 

闇の中で、全身の血が逆流するような衝撃が走った。

 

プロから聞いて頭の中に描いた立体マップ。

 

ゼロなら素人の俺を相手にどう動くかという心理戦。

 

そのすべてを繋ぎ合わせて叩き出した俺の予想が、寸分違わずドンピシャで的中していたのだ。

 

たった数分の作戦会議で俺が導き出した「答え」が、いま目の前の戦況と完璧に合致している。

 

前を走る3と4のプロが、暗闇の中でゆっくりと俺の方を振り返った。

 

暗がりの中でも分かるほど、その瞳には「すげぇな小僧……!」という驚愕と、指揮官ヴァイオリンである俺への確固たる信頼が宿っていた。

 

(……よっしゃ!! 俺の作戦は間違ってねぇ!!)

 

胸の奥から湧き上がる確信とプレッシャーを押し殺し、俺はごくりと唾を飲み込んだ。

 

そして手元に集中すると、闇の中で静かにサインを送る。

 

『3と4は左右の窓から挟み込め。俺が正面の扉から音を立てて意識を引く。

 すると、3は右手で、4は左手で銃を静かに素早く構え始める。

 

2人のプロが、暗闇の中で力強く頷いた。

 

 合図とともに、俺たちの「無言の初撃」が放たれた。

 

バン、バンッ!

 

 

闇を切り裂く抑制された発射音。プロたちの狙いは寸分の狂いもなく、小屋の中の2人を正確に撃ち抜いていた。

 

「ヒット!」

「ヒット……!」

 

重なるようにして響いた敵の落胆の声。

 

(……や、やったのか!? 撃破した……!!)

 

思わず「やったー!」と叫びそうになる胸の鼓動をなんとか抑え込む。

 

だが、プロたちの戦闘はまだ終わっていなかった。

2人は射撃の直後、油断することなく素早い無駄のない足つきでさらに奥の部屋へと突入。暗闇の中でクリアリング(部屋の安全確認)を完璧にこなし、わずか数秒で戻ってきた。

 

暗闇の中、3のプロが手元で素早くサインを出す。

『オールクリア(全室安全確認完了)』

 

(……すげぇ、テキパキしすぎてる……! これが本物のプロの動きかよ!)

 

一瞬で部屋を制圧したその鮮やかさとスピード感に、俺は圧倒されて息を呑むばかりだった。


 

木造エリアの制圧は完了した。俺たちの任務は成功だ。

 

このまま作戦の第二段階へ移行するため、次のコンテナ街へ向けて動き出そうとした——その瞬間。



  

バババッ!!


 

「——っ!?」

 

闇の向こうから突如として放たれた鋭い弾幕。



  

衝撃とともに、俺の胸元に重い感触が走った。

 

(え……嘘だろ……!?俺…… うたれた……!?)



 

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