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中学生の引きこもり暇だったので世界政府特殊 部隊のエースに成り上がります。  作者: 九賀 りんたろう


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16/26

銃と目的② なんでしょう、ゼロの調子が良いのか悪いのかわかりません

今日はまた、12時と20時にあげます!!

車に乗って少し経った頃、俺はふと強烈な違和感を覚えた。

 

(……なんか、前に乗った時より運転が優しくないか?)

 

実は昨日から少し首を痛めていて、本当なら車の揺れひとつで激痛が走るはずだった。

 

しかし、以前ならスピードを落とさず突っ込んで容赦なく揺れていたガタガタ道に入っても、首にまったく響かない。アクセルもブレーキも、カーブの切り方すらも滑らかで、完璧と言っていいほどの安全運転だった。

 

それに、それだけじゃない。

 

(車内の匂いも違う……? いつもなら頭が痛くなるくらい充満してるあの甘ったるい匂いが……今日はなんか、すごく薄いというか無臭に近い……)

 

さらには、チラリと横顔を見た時のハンドルを握る手つきだ。いつものゼロなら肘をつきながら片手でだるそうに握っているはずなのに、今の男はしっかりと両手をハンドルに添え、どこか動きが硬くてぎこちない。まるで「真面目なドライバー」を無理に演じているかのような歪さがあった。

 

(もしかしてオッサン……本部に行って、教習所並みの安全運転でも叩き込まれてきたのか……?)

 

「……ねえ、ゼロ」

 

「ん? なんだ?」

 

呼びかけると、男はチラリとバックミラー越しにこちらを見た。

 

その視線の合わせ方すら、どこか俺の知っているゼロとは違う「誰か」に品定めされているような、冷徹な鋭さを感じさせて――俺は思わず背筋にスッと寒いものを覚えた。



「……なぁ、ゼロ」

 

「ん? なんだ?」

 

呼びかけると、ゼロはチラリとバックミラー越しにこちらを見た。

 

その視線の合わせ方すら、どこかいつもと違って品定めされているような、妙な冷たさを感じる。

 

「……いや、なんかさ。今日の運転、やけに丁寧じゃない? 本部で何か心境の変化でもあったわけ?」

 

「ハハッ、なんだそれ。弟子を安全に送迎するのも師匠の務めだろ? 感謝してほしいくらいだな」

 

軽口を叩いてはいるものの、その声のトーンや間合いが、どこか計算されているように完璧すぎる。いつものゼロなら「ガタガタ言うな、舌噛むぞ!」と雑に笑い飛ばすはずだ。

 

(……なんか、すげぇ気持ち悪いな。本部で上司に怒られて改心でもしたのか……?)

 

どこか不気味な違和感はあるものの、声も顔も目の前にいるのは間違いなくゼロだ。「まあ、あのオッサンのやることだしな」と自分に言い聞かせ、俺は深く考えるのをやめてシートに背中を預けた。

 

車は静かに夜の国道を走り抜け、街灯の少ない山道へと入っていく。

 

運転の居心地がよく、うとうとしてると

 

 ゼロが俺の眠気を張らす勢いで言った

 

「……着いたぞ」

 

「ん……あ、着いたか……」

 

目をこすりながらワゴン車のドアを開けると、そこは見慣れた車庫の中だった。

 

「なんか……たった1週間来なかっただけなのに、やけに久しぶりに感じるな」

 

「……フッ、そうか? たかが1週間だろ」

 

男はそう言うと、真っ暗な階段の方へと歩いていく。

 

ポケットから取り出した懐中電灯を点けると、足元を頼りない光が照らした。

 

俺たちは、いつものように灯りのない階段を下に下っていった。

 

(……なんだ、いつもの場所じゃん。やっぱり運転が丁寧だったのも、俺の考えすぎだったか)

 

暗い階段を下りながら、俺は胸のどこかでホッとしていた。トントン、と暗闇に響く自分とゼロの足音。ただ、前を歩くゼロの歩行音が、いつものズシズシとした雑な足音と違って、やけに静かで規則正しい気がした。

 

(……足音まで大人しいな。本部に帰ってたし、あっちで相当厳しくしごかれたのかもな。……だから変に緊張してるのか?)

 

その時だった。

 

先頭を歩いていたゼロが、階段の途中の何もない壁の前でピタリと足を止めた。

 

(……え? なんでここで止まるんだ? 車庫の重厚なドアがあるのは、ここからあとふたつ下の階だろ……)

 

初めてここに連れてこられた時、15分も暗闇を歩かされたあの記憶は嫌でも覚えている。

 

不審に思いながら見ていると、男は壁に向かって迷いなく手をかざし始めた。

 

だが、場所が違う以上、壁が反応してドアが開くはずもない。

 

「……オッサン、何やってんの?」

 

「いや……この辺に、センサーが……」

 

「いや何言ってんだよ。扉があるのはあとふたつ下だろうが」

 

「え?」

 

男は素で驚いたような声を漏らすと、上着のポケットから小さく折りたたまれた一枚の紙を取り出した。そして、手に持っていた懐中電灯の光でそれを慌ただしく照らし始める。

 

「……あ、本当だ」

 

紙のメモを目で追いながらポツリと呟いた男の姿に、俺は呆れを通り越して、妙な冷や汗が背中を伝うのを感じていた。

 

「……早く来いよ」

 

何事もなかったかのようにまた歩き出す男の背中を、俺は呆然と追いかける。

 

……どこか、やっぱりいつものゼロより少しだけ「ぎこちない」


 そのまま階段を下りきり、俺たちはようやく目的の重厚な扉の前にたどり着いた。

 

男が今度こそ正しい場所に手をかざすと、重い駆動音とともに扉が開き、練習場の灯りが眩しく室内を照らし出す。

 

「……ふぅ、やっとついた」

 

俺は眩しさに目を細めながら、広々とした射撃場へと足を踏み入れた。

 

室内には、いつものように標的や様々な武器が整然と並んでいる。

 

男はラックへと近づくと、並べられた一丁を取り出し、俺の方へと差し出してきた。

 

「まずは、なまってないかハンドガンのチェックだ」

 

「まぁ、そこは俺も気になってたよ」 

俺はそう返しつつ、受け取った一丁を慣れた手つきで構えた。

 

セーフティを外し、まっすぐ前方にある的人型の頭部へ照準を合わせる。


  

――バンッ! バンッ!

 

射撃場内に乾いた音が響き渡り、2発の弾丸が的の頭部を正確に撃ち抜いた。

 

硝煙の匂いが鼻をくすぐる。

 

「ほう……久しぶりにしては、2発とも頭か。悪くないな。その銃の扱いなら合格点だな。もう少しやったら、戦闘訓練に入るぞ」

 

男は満足そうに頷いた。

 

「あぁ……それ聞いたら、一気にやる気なくなったんだけど!」

 

「うるせぇ、やれ」

 

「くそが……!」

 

俺は吐き捨てるように毒づきながら、再び的に向かって構え直した。



最後までお読みいただきありがとうござあたます。

ぜひ感想とブックマークよろしくお願いします。

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