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中学生の引きこもり暇だったので世界政府特殊 部隊のエースになりました  作者: 九賀 りんたろう


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10/14

久しぶりに未解決事件を解いたら止まりませんでした。

今日3本あげる予定です。

お願いします!!

【訓練開始10日目(リモート2日目)】

 

ピピピ、ピピピ……。

 

目覚ましが鳴る。

 

対面での訓練が始まってからは朝5時に帰り、夜7時に起きる生活が当たり前になっていた。だが、昨日から始まったリモート訓練では殴られることもなく、疲れも脳の疲れくらいしかない。そのおかげか、今日は昼過ぎの15時に目が覚めてしまった。

 

「今日はいい昼だね」なんて爽やかに言いたいところだが、目覚めた俺の頭を真っ先に占めていたのは、昨日のゼロの言葉だった。

 

『俺はお前の可能性を知ってる。あの未解決事件を解き明かしたお前の能力を、まだ全然限界まで活かしきれてねぇんだよ』


  

「…………あんたに、俺の何がわかるんだよ」


 

静まり返った部屋の中に、ポツリと自分の声が落ちる。

 

「……まあ、考えても仕方ねぇか。集合時間までまだ時間もあるし、今日は久しぶりに未解決事件でも解くとするか!」

 

俺はベッドから飛び起きると、パソコンの電源を入れた。

 

画面が明るくなり、過去に警察の関係者が解決のために投稿していたが、ネットの住人が考えてもわからないまま放置されているデータベースを眺める。

【ファイルNo.402:旧市街地・連続密室窃盗事件】

【ファイルNo.509:港湾地区・未解決巨大資金流出事件】

【ファイルNo.612:未解決・広域通信障害と謎の送信元】

 

「……これにするか」

俺がクリックしたのは【ファイルNo.509】。数年前にちょっと話題になった資金流出事件だ。当時は気まぐれに眺めて「よくわからん」と投げ出していたやつだが、今の俺ならどう見えるか……軽い運試しのつもりで開いてみた。

 

事件の内容はこうだ。

 

港湾企業の内部サーバーから、複数回に分けて巨額の資金が海外のダミー口座へと送金された事件。アクセスログは完全に消去されており、残されていたのは送信時刻と、規則性のないランダムな英数字の羅列データだけ。警察のサイバー犯罪課も「解析不能」として捜査を打ち切った案件だ。

 

最初はお気楽な脳トレのつもりだった。

 

だが、事件の詳細を読み進め、添付されていたログの束に目を通すうちに、俺の指先がピタリと止まる。

 

(……待てよ。なんでこんな分かりやすい場所にダミー口座の痕跡を残してんだ……?)

 

プロのサイバー犯罪者がやるにしては、あまりにも雑で、不自然すぎる。

 

俺は背もたれに深く身体を預け、そっと目を瞑った。

 

俺はいつも解いていた時みたいに、犯人と被害者の動き、気持ち、行動、思い、感情——昔からなんとなく分かるその『可能性』を幾つも浮かべ、頭の中で一つの組み合わせを作り。一つ一つパズルのようにはめていく。

 

 何時間が経過したのか、もう分からない、だがこの感覚を楽しみどこかで終わらせたくないと言う気持ちがあった……

 

 すると次第に1つの可能性がパズルのピースに当てはまった。

 

(……そうか。ミスじゃない。わざと見せてるんだ。警察の目をこの派手な資金流出だけに釘付けにして、何か別の作業から意識を逸らすために……!)

 

カチッと目を開けると、思考の視界が一気にクリアになった。

 

「隠したいのは、お金じゃなくて……別の何かか?」

気になり出したら止まらなくなった。俺は肘をデスクにつき、画面に食い入るようにログを解析し始めた。ランダムに見えた英数字の羅列からノイズを取り除き、送金された「時刻」ではなく「送金と送金の間の空白の時間」に焦点を合わせてデータを並べ替えていく。

 

キーボードを叩く音が、静かな部屋にパチパチと規則的に響く。パズルがカチリと噛み合う感触。消されたはずのログの裏側に隠されていた「真のデータの動き」が、薄皮を剥ぐように見えてくる。

 

「ん……? あぁ、なるほどね」

 

思わず口から漏れた声は、自分でも驚くほど低く冷えていた。

 

ただの資金流出事件だと思っていた。だが、隠された真の送金ルートを辿っていくうちに、違和感がどんどん大きくなっていたのだ。

 

(これ……ただの金目当ての犯罪じゃねぇぞ。資金の移動先とログの消し方……まるで、もっとでかい『何か』を隠すためのミスディレクション(誘導)だ……)

 

夢中で思考を巡らせていたせいで、俺は完全に時間を忘れていた。

 

ピコンッ、とデスクのスピーカーから不意に通信接続音が鳴った。

 

『へぇ……おいおい、レイレイ。お前が通信予定時刻を10分過ぎても入ってこねぇから、こっちから繋いだぞ?』

 

「……は? 10分……!?」

 

慌てて時計に目をやると、いつの間にか時間は約束のいつもの集合時間1時を過ぎていた。

 

「嘘だろ……もうそんな時間かよ!? ごめん気付かなかったわ!」

 

『気付かなかった!じゃねぇわ。何やってたんだよ』

  

「あ、いや……ただの暇つぶしだよ。昔の未解決事件のデータをちょっと見てただけだ」

 

『あーーなるほど……で、どうだったんだ?』

 

「あーーこの行動の結果通り、集中しすぎて遅れたよ……」

 

『まぁ、さすがって言うのも遅れてきた人間に言うのも変だが、まぁ、あんま脳使いすぎんなよ? これからまた使いまくるんだからな』

 

「うるせぇ! 俺のリフレッシュを奪う気かよ!!」

 

『リフレッシュねー……』

 

画面の向こうで、ゼロは呆れたように肩をすくめた。

 

(なんで未解決事件を解くのがリフレッシュになるんだよ。ホントコイツは、すげぇな……)

 

『まぁ、じゃあ今日もやってくぞ』

 

「じゃあ、今日の訓練課題だ、画面を確認してくれ」

 

画面に切り替わって表示されたのは、大きな見出しだった。

 

【3. 撤退ラインの設定】

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