第7話 頼もしいスタッフたち
イノシシたちを大量投入してから数日後。
ダンジョンの管理は順調。イノシシたちの活躍のおかげでイツキの負担は大幅に減っていた。やはりこのアイデアは正解だった。
現在の第2階層にはイノシシたちで溢れていた。元々ここにいた角ウサギたちは階層の隅に追いやられていた。何だかかわいそうにも思えるが、角ウサギはモンスターだ。同情する必要はない。ダンジョンは弱肉強食の世界。強いものが正義なのだ。
そんな感じでイノシシたちの1匹だった頃と違い、今では完全にパワーバランスは逆転していた。現在はイノシシたちが実質的に第2階層を支配していた。
イノシシたちは無事、ダンジョンに馴染んでいる。第2階層はこのまま放っておいてもよさそう。今のところイノシシたちは逃げ出す様子もない。ここを気に入ってくれたようだ。
噴水も多めに設置しておいてよかった。一つだけなら大渋滞していたことだろう。ちなみに魔石はイノシシが倒したもの使っているのでタダ。しかしセットはイツキが手動でしないといけないのが難点。でも第2階層に限っていえば、それだけやれば後は放置でいい。モンスターを間引きする手間が減るのは助かる。
更に嬉しい誤算があり、イノシシたちは第2階層だけでは手狭なのか第3階層にも進出していたこと。
イノシシたちはフォレストウルフたちに怯むことなく、縄張り争いを繰り広げていた。モンスターを倒しているおかげで、イノシシたちは強化されている。この調子なら近いうちに第3階層も制圧してしまうかもしれない。全く頼もしい限りだ。
これなら次の段階に計画を進めてもよさそうだ。
イツキの次のプランはイノシシに続き、クマをダンジョンに投入すること。イノシシでもこれだけの成果が出ているのだ。イノシシよりも危険度の高いクマならもっと成果を期待できる。上手くいけばダンジョンの管理は見回りだけで済むようになるかもしれない。期待が膨らむ。
ちなみにクマの居場所はすでに見当が付いている。前回はイノシシだけ連れていくことにしていたのでスルーしたが、クマの索敵自体は平行して行なっていた。
今はまだ午前中。イノシシたちのおかげで見回り時間は短縮され余裕があるし、居場所もわかっている。数もイノシシより少ない。そんなに時間はかからないだろう。早速、クマを連れてくるとしよう。
イツキがダンジョンを出るとちょうどスマホが鳴った。誰だろう?イツキの交友関係は狭く、探索者時代に知り合った知人くらいしかいない。なので滅多に鳴らないスマホに驚きながらも電話をとると、
「はい、もしもし」
相手はそんな数少ない知り合いからだった。が、問題なのは彼女はダンジョン管理局の職員ということ。何だか嫌な予感がする。今まで彼女から声をかけられた時、いいことがあった試しはない。
そんな彼女からの用件は呼び出しだった。内容は不明だが、イツキにダンジョン管理局に来て欲しいとのこと。彼女とはそこまで親しい関係ではない。近況報告を聞きたい訳ではないだろう。
正直気乗りしないが彼女には探索者時代にお世話にはなってはいる。行かないという選択肢はない。それに勘のいい彼女のことだ。断ればきっと怪しまれる。野良ダンジョンの事だけはバレたくない。
それにしても何の用だろうか?心当たりがない。ダンジョン関係であることは間違いないだろう。厄介なものでないといいのだが。とにかく行くしかない。急ぎではないということだったので、明日向かうと返事をした。
クマを連れてくる予定だったが一旦中止かな。ダンジョンから目を離すことになるので、ここは現状維持に努めた方が安全だろう。クマもすぐに山からいなくなる訳ではない。先に呼び出しの件を済ませた方がいい。
こうしてイツキは古巣のダンジョン近くにある、ダンジョン管理局に向かうことになった。




