第26話 スノウとイツキ
「たっだいま~」
アゲハがシルフィーの元へ向かってから数日後。
イツキたちの元へ戻ってきたアゲハ。
そして車から降りてきたのはアゲハだけではなく、
「ワフ」
1匹の白い犬が一緒だった。
「おいアゲハ、なんでそいつ連れてきた?」
イツキは白い犬の正体にすぐに気付く。不機嫌そうにアゲハに問いかけた。
白い犬こと、シルフィーの従魔スノウ。
イツキはスノウと因縁があった。
昔、ダンジョンの奥深くにいたスノウは、モンスターと勘違いしたイツキと死闘を繰り広げた過去があった。
当時、スノウは一部の人間にだけその正体を知らされており、新人探索者であったイツキはスノウのことを知らなかった。
スノウはその強さ故に地上には置いておけず、誰も来ないダンジョンの最奥に近い場所で過ごしていた。
スノウがいたダンジョンは難易度が高く、攻略が進んでいなかった。ダンジョンの暴走を防ぐ意味も兼ねて、スノウはダンジョン奥深くの階層にいたのだった。
一方、新人探索者の頃から破天荒だったイツキはセオリーを無視し、スノウのいるダンジョンの奥へと進んでいった。厄介なのは新人でありながら実力があったこと。イツキは探索者ランクと実力が嚙み合っていなかった。そのため、必要な情報を知らされることなくスノウと遭遇してしまった。
幸い、イツキとスノウの実力は拮抗していたこともあり、異変に気付いたシルフィーが間に合い勝負は痛み分けで終わった。
ちなみにこの件でイツキはシルフィーに大きな借りを作ることになり、しばらくの間、無報酬で働く期間があった。
そんなこともあり、イツキはスノウのことを毛嫌いしていた。
「イツキング、怒らないで聞いて欲しいんだけど……」
アゲハはイツキにスノウを連れてきた理由を話す。
「……シルフィーさんの指示か、それなら仕方ないな」
話を聞いたイツキは渋々ながらも納得する。
しかしスノウが来たからといって自重するつもりはない。これまで通りにやらせてもらう。
白い犬こと、スノウは物珍しそうに周囲をキョロキョロしていた。イツキのことを気にする様子はない。
イツキが一方的に嫌っているだけで、スノウ本人はイツキのことを何とも思っていなかった。
「はじめましてだよね?私ニーナ、よろしくね!」
ニーナとスノウは会ったことがない。ニーナはスノウのことをただの犬だと思っているようだ。
スノウは犬のフリをしたままで、ニーナは正体に気付いていない。
「ニーナ、そいつをダンジョンに案内してくれないか?」
イツキはニーナにスノウをダンジョンの案内を頼む。スノウの対応はニーナとアゲハに全て丸投げすることに決めたのだった。
「わかったー。スノウ、いこっか」
ニーナとスノウはダンジョンへと向かった。
「ここがダンジョンだよー」
ダンジョンに入ったニーナとスノウ。するとスノウの雰囲気が変わる。
「?どうしたの?」
異変に気付いたニーナがスノウを見る。
スノウの姿は大きくなり、大型犬から巨大な白狼へと姿を変えた。
「改めて名乗ろう、我が名はスノウ。ニーナ、よろしく頼む」
元の姿に戻ったスノウはニーナに挨拶をした。




