第22話 ボス部屋
アゲハがやって来て、数日が経つ。
アゲハはここでの生活にすっかり馴染んでいた。
「おっ、今日も元気いっぱいだね~」
動物たちもアゲハに心を許しているようだ。アゲハが声をかけると嬉しそうにしている。
ちなみにイツキは動物たちに嫌われている。理由はわかっている。
無理やりダンジョンに連れてきたのだから当然だ。イツキは特に気にしていないので問題ない。動物たちがキチンと働いてくれればそれでいいのだ。
このまま何事もなくアゲハのここでの滞在期間が過ぎるのかと思いきや、
「ダンジョンの様子が変だ」
ダンジョンに異変が発生した。イツキだけでなく、全員がその異変を感じ取っていた。
異変が発生したのは第5階層。
「ボス部屋か」
イツキが第5階層に向かうと、階層の奥に大きな扉が新たに発生していた。この扉の先にあるのはボス部屋で間違いないだろう。
ボス部屋は一定の階層ごとに配置されることが多く、大抵は5階層ごとに配置されている。
このダンジョンもその例に漏れず、第5階層にボス部屋が誕生した。
「様子を見てくる」
イツキが一人でボス部屋に向かう。ニーナとアゲハには念のため第2階層で待機してもらっている。イレギュラーが発生した際に対処してもらうためだ。
「オークキングか」
部屋に入ると、部屋の中央に大きなオークが待ち構えていた。
ただのオークにしては大きく、また剣や鎧を装備しており、豪華になっている。オークの上位種、オークキングだ。
「取り巻きは無し、と。これならすぐ終わるな」
オークキングの他にモンスターはいない。取り巻きのオークがいた場合、オークキングによりバフがかかるため少し面倒なのだが、ここではその心配はなさそうだ。
イツキは異空間から愛剣を取り出すと、オークキングの元へ歩き出す。オークキングはイツキが来るのを待っている。
「始めようか」
お互いの攻撃圏内まで近づくと空気が変わる。
「はっ」
剣を何度か打ち合う。動きと力は通常のオークキングと変わりないようだ。イツキはオークキングの力を確認していた。
このダンジョンはイツキたちだけで管理する関係上、イレギュラーの有無は重要だ。特にボスモンスターは重点的に確認しておかなければならない。
「うん、問題なさそうだな」
しばらくオークキングと戦闘を行ない、大体の力は把握できた。普通のボス個体と変わりないようなので倒すことにする。
相手に合わせていた打ち合いをやめ、力を込めた一撃でオークキングを一刀両断する。
オークキングが消滅すると肉と何か入ったビンがその場に現れる。
「ボスモンスターはオークキングだった」
第2階層に戻ったイツキはニーナとアゲハにボスモンスターの報告をする。一応他の階層も見て回ったが、特に異変はなかった。普通にダンジョンが成長しただけのようだ。
「オークキングが出たんだ~。ならアレもドロップしたカンジ?」
「ああ」
イツキはドロップしたビンを見せる。
ビンに入っているのはオークキングのタマ。高額で取引されるアイテムだ。強力な精力剤として人気が高い。
「それどうするの?使う?」
「そんな訳あるか。売るに決まってるだろ」
オークキングのタマを異空間にしまうイツキ。これはアゲハがダンジョン管理局に戻る時に他のドロップ品とまとめて買い取ってもらうつもりだ。
オークキングを倒した後、ボス部屋の先は何もなかった。このダンジョンはまだ成長の余地があるようで、ダンジョンコアが見つかるのはしばらく先になりそうだ。
今後の日課に新たにオークキング討伐が増えた。まぁ第5階層は元々イツキとニーナが担当していたので、そこまでの労力ではない。
ボスモンスターといってもオークキング程度ならニーナ一人でも倒せると思うから、1度試してもらおう。
こうしてボス部屋とボスモンスターの調査は無事に終わった。




