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田舎の山奥でこっそりダンジョンの管理人始めました  作者: わたがし名人


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第20話 アゲハ、襲来



 イツキがシルフィーに動画を送って数日後。


「とうちゃーく」


 イツキの家にやってきた1台の車から1人の女性が降りてくる。


 彼女はシルフィーの部下ことアゲハだ。


 動画を送ったあと、シルフィーから連絡が来ていた。部下をそちらへ送ると。誰が来るかは明記していなかったが、イツキには大体予想がついていた。


「久しぶりだなアゲハ。やっぱりお前が来たか」


 シルフィーが信頼できる人物でイツキと面識があり、調査に適任なスキルを持っている。それら全て合致するのはアゲハだけだ。



「イツキングおひさー」


 軽い口調で挨拶するアゲハ。制服はきちんと着ているが、ド派手なピンク髪とギャルメイクは変わらないようだ。お堅いダンジョン管理局の職員でありながら、個性を貫いているのは相変わらずらしい。



「あー、アゲハだ」


「やっほーニーナっち。元気してたー?」


 アゲハはイツキだけでなく、ニーナとも面識があるようだ。ニーナと親しげに挨拶している。


 アゲハの言動には少々問題があるが、シルフィーが部下に迎え入れるだけあってそれなりに有能だったりする。ニーナの面倒もちゃんと見ていたのだろう。



「うーん、よいしょー」


 車から大きな荷物を降ろすアゲハ。数も多い。


 泊まり込みにしては荷物が多いように感じるが、女性だとこんなものなのだろうか。


 大方予想はついていたが、アゲハはイツキの家に泊まるつもりのようだ。調査は数日掛かりで行なうだろうと予想はしていた。まぁ部屋は余っているので問題ない。



「運ぶの手伝う!」


 ニーナがアゲハの荷物を運ぶのを手伝う。軽々と荷物を抱え、家に入って行く。



「…アゲハ。どうだ?」


「うーん、前と変わってないかなー。パイセンとも話したけどニーナっちのアレはスキルじゃないと思うよー」


 ニーナがいなくなったタイミングでアゲハに鑑定結果を聞くイツキ。アゲハは鑑定スキルを持つ。その精度はダンジョン職員の中でもずば抜けて高い。


 アゲハはこっそりとニーナを鑑定していた。結果は以前と変わりなし。


 ニーナが動物たちと意思疎通できるのはスキルによるものではないらしい。種族的な力なのかニーナ固有の能力なのかは依然として不明だ。


 異世界とこちら側、両方を知るシルフィーでもわからない事象らしい。まぁ危険なものではないので問題ないが、一応鑑定で確認する必要があった。



「とりあえずはこのままで問題ないんじゃないかなー」


 ニーナの処遇に関してはシルフィーが一任されているとのこと。有用なスキルや能力があれば余所に駆り出されていたかもしれないが、動物との意思疎通程度なら大丈夫だろう。このままイツキの所で自由に過ごせるはずだ。



「そうか」


「あっ、イツキング嬉しそうだねー」


「大事な労働力だからな。いないと困る」


「えー?ホントにそれだけ~?」



 どうやらこの朴念仁はニーナと過ごすことで少しは人間らしくなったようだ。ニーナの話になると少し表情が柔らかくなる。


 これはからかい甲斐がありそうだと、アゲハは心の中で思う。




 イツキがダンジョンに来なくなってから、アゲハは退屈していた。


 他の探索者たちのレベルが低いという訳ではないが、面白い出来事や事件はここ最近起きていない。その点、イツキがいた頃は事件や話題に事欠かなかった。


 実際にここでも色々とやらかしているのはすでに確認している。



 これからしばらくはここに滞在することになるので、少なくとも退屈することはなさそうだ。




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