第18話 ダンジョンの様子を撮影しよう
ニーナがイツキの元へやって来て、早一ヶ月。
シルフィーには週一で報告のメールは出しているが、そろそろダンジョンの様子を撮影したものを提出するべきだろう。
早速、撮影の準備を始める。
ダンジョン内は特別な機材があれば撮影が可能だ。機材はイツキが探索者の時に使っていたドローンがある。
これを使ってダンジョンの様子を撮影することにしよう。
「へぇ~、これでテレビの中身を作ってるんだね」
ニーナは見慣れぬドローンに興味津々だ。ドローンについて一応説明してみたが、あまり理解できていない様子だ。こればっかりは仕方ない。異世界にはこのような撮影用の道具は存在しないのだ。
こちらの生活に慣れてきたといっても、まだまだ分からないことはたくさんある。少しずつ学んでいけばいい。
「そうだ、ニーナ。せっかくだからレポーターやってみるか?」
イツキはニーナにダンジョンの説明役をお願いする。どのような内容かをニーナに簡単に説明する。
「え、私もテレビの人になれるの。やるやる」
ニーナはテレビの中に入れると知り喜ぶ。正確には少し違うが、本人が喜んでいるので訂正しないでおこう。
ともかく、ダンジョン撮影のレポーターはニーナに決定した。
ドローンの点検を終えると早速、ダンジョンに向かう。ドローンはしばらく使っていなかったが問題なく動いた。
「それじゃあ、始めるぞ」
「う、うん」
少し緊張した面持ちでニーナがドローンの前に立つ。
まずは第1階層から撮影を始める。
「み、みなさんこんにちは。私はニーナです。今日はダンジョンの中を案内したいと思います」
イツキが用意した台本を読み始めるニーナ。
「えーと、ここは第1階層です。ダンジョンの玄関とも呼ばれています」
順調に台本を読んでいるニーナ。ちなみに言語の壁はよくある異世界パワーでクリアしている。原理はわからないが、勝手に翻訳されているらしい。
たどたどしくではあるが、ちゃんと台本を読み進めていくニーナ。そこへ、
「ニャ」
クロがやってくる。
「あっ、クロ先輩こんにちは。みなさん、この猫はクロ先輩です。クロ先輩はこのダンジョンを見つけた凄い猫で、私の自慢の先輩です」
クロについて紹介するニーナ。クロはニーナに褒められていると知り、ドヤ顔でドローンの前に立つ。
クロの紹介も終わり、続いて第2階層へ向かう。
「みなさん、ここは第2階層です。先程の第1階層とは違い、ここではモンスターが出現します」
第2階層に到着する。ドローンのカメラは周囲をぐるりと映し出す。ドローンの視界の端に角ウサギが映る。
ちなみにドローンの撮影の様子はイツキがリアルタイムでスマホで確認している。ドローンには配信機能があり、設定でイツキだけが見られるようにしていた。
「ここを担当しているみんなを紹介します」
ニーナがイノシシたちを紹介する。
イノシシたちはニーナに呼ばれると、ドローンの前に集まる。
その後、イノシシがモンスターを倒す様子や、イノシシがドロップ品を回収している姿を撮影する。
第2階層はこのくらいで十分だろう。次へ進もう。
「ここは第3階層です。第2階層よりも木が増えました。それにモンスターも少し強くなっています」
台本を読むのに慣れてきたのか、大分噛まなくなってきた。
「見てください、木の上にサルがいます。ここではイノシシとサルが協力して生活をしています」
第3階層はイノシシとサルの支配圏になったことで、安定している。モンスターであるフォレストウルフは角ウサギ同様、階層の端の方に追いやられていた。
「第3階層ではサルとイノシシは役割分担してます。それぞれが得意なことを担当しています」
ここではドロップ品や集めた木の実、果物をリュックにまとめ、リュックを背負ったサルがイノシシに乗り第2階層まで運んでいた。
なんか手際が良くなっている気がする。だんだん賢くなってないか?これもニーナのおかげなのか?それともこの環境のせいなのか?
わからないがいい変化なので問題ないだろう。それについてはこの映像を見たシルフィーが考えることだ。気にしないことにしよう。
「ここは第4階層です。川が流れるのどかな場所です。モンスターはいますが危険はありません」
ここはそのまま手つかずにしている。現状手を加える必要はないからだ。遠くでは牛がのんびり過ごしている。
「この牛からはとってもおいしいミルクがとれます」
ニーナが乳しぼりをし、しぼりたてのミルクをおいしそうに飲む。
「ここは第5階層です。現在、このダンジョンはここまでとなっています」
第5階層にやってきた。早速オークが現れる。
「オークが出ました。危ないので倒しましょう」
ニーナがオークと戦闘する。危なげなくあっさりと倒す。
現在、第5階層はイツキとニーナでモンスターを間引きをしている。イノシシたちには荷が重いと判断したのだ。
ちなみにダンジョンコアはまだ見つかっていない。一応探してはいるものの、見当たらず。
もしかしたらこのダンジョンはまだ成長途中で、今後階層が増えるのかもしれない。そのことについてはメールで報告済みである。
『これでダンジョンの案内は終わりとなります』
「すごーい、テレビに私が映ってる!」
帰宅し早速、撮影した動画をテレビで確認する。
ニーナはテレビに映った自分の姿を食い入るように見ていた。
こういった現代のものには興味がないと思っていたが、そうでもなかったらしい。
これからは少しずつ教えていこうとイツキは思った。




