第16話 ちょっと隣の山、行ってくる
ダンジョンをニーナに任せると、イツキ外出する。目的地はご近所さんの山だ。
ご近所さんといっても、イツキの家から1時間ほど離れた場所にある。田舎は家々との距離があるのだ。
「こんにちは、お邪魔します」
到着すると、早速山の持ち主である住人に挨拶しにいくイツキ。
「よろしく頼むね」
「はい、任せて下さい」
挨拶を早々に済ませるとイツキは山に入る。
イツキがこの山に来た目的はサルの捕獲。ダンジョンの新たな労働力としてスカウトしに来たのだ。
イノシシがダンジョンに適応できたのだ。他の動物もダンジョンに適応できるのではないか。そう思ったイツキはサルたちに目を付けたのだった。
サルが出たという山の持ち主はサルの被害に困っていたらしく、イツキがサルを引き取ると言ったら、喜んでOKしてくれた。
手入れの行き届いた山道を進むイツキ。自分の山とは大違いだ。自分とニーナしかいないから問題ないだろうけど、多少は山の整備をした方がいいのだろうか。そんなことを思った。
ちなみにここにはイノシシは出ない。
何でもこの周辺のイノシシは全てイツキの山に集まっていたらしい。他の山々はちゃんと管理され対策していたので、結果的に放置されてたイツキの山にイノシシが全部集まったのだとか。
3桁近くいたのも納得だ。
それについて謝罪されたことがあったが、イツキは特に気にしてなかった。イノシシ程度、イツキにとって大した脅威ではない。それに今ではダンジョン管理の立派な労働力として活躍してくれているので、助かっている。
サルの気配を探りながら進むイツキ。イノシシと違い、木の上にいると思われるので、頭上に意識を集中させ進んで行く。
探索範囲を広げつつしばらく進んで行くと、
「見つけた」
サルと思われる集団を感知した。
気配を殺し、素早くそこへ向かうイツキ。
「お、いたいた」
サルたちは木の上にいた。聞いた話だとサルはそこまでいないと言っていたので、おそらくここにいるので全部だろう。
見たとこと、20もいない感じだ。イノシシより全然少ない。これなら往復する必要もなさそうだ。
早速、捕獲することにしよう。
イツキが用意したのは魚捕りで使う投げ網。幸い、サルたちがいる場所は視界が開けているので、投げ網が使用できる。
「おい、ちょっといいか」
イツキは威圧した声でサルたちに話しかける。サルたちはその場で固まる。イツキレベルの探索者になると、サルくらいなら威圧するだけで動きを止めることができる。手早く投げ網を投げていく。
数分ほどでサルは全員捕獲完了。
サルたちを担ぎ、山を下る。
「ありがとうね。これ、お礼に持っていって」
サルを全て捕獲した報告をすると、お礼にたくさんの果物をもらった。ニーナにいいお土産ができた。
サルたちを軽トラの荷台に乗せ、ダンジョンに向かう。
「今日からここが君たちの新しい住処だ」
ダンジョンに到着し、第2階層にサルたちを連れてきたイツキ。サルたちは警戒しながら周囲の様子を伺っている。
「イツキ、その子たちどうしたの?」
そこへニーナがやってくる。
「ああ、他の山にいたサルだ。山の持ち主が困っていたから引き取ってきたんだ」
「そうなんだ。みんな、よろしくね」
ニーナがサルたちに話しかけると、サルたちの表情が和らぐ。サルたちにダンジョンの説明をするニーナ。
どうやらニーナはサルとも意思疎通が可能のようだ。これならサルたちもここで上手くやっていけるだろう。
ニーナにはイノシシ同様、サルも担当してもらおう。
こうしてダンジョンにまた新たな仲間が増えたのだった。




