第12話 ダンジョンを案内しよう
ニーナを連れてきた翌日の朝。
「イツキおはよー」
「おはようニーナ。昨日はよく眠れた?」
「うん、ばっちり!」
イツキが庭先で朝日を浴びているとニーナが起きてきた。
昨日はあの後、夕食を済ませニーナの部屋割りを手早く決めた。まさか同居人を迎え入れるとは思っていなかったので、準備など全くしていなかった。幸いだったのは部屋がたくさん余っていたこと。ニーナには好きな場所を選んでもらった。
当然家具なども用意しておらず布団もないのだが、何故かニーナが持参していたマジックバックに一通り入っていた。おそらくシルフィーが事前に準備しておいたのだろう。この家のことは誰にも教えていないはずなのに、イツキの家の雰囲気に合うようになっていたのが怖かった。
「今日はどうする?森に行ってみるか?」
朝食を終え、ニーナに今日の希望を聞く。まずどこから見たいのかを確認した。
「ううん、ダンジョンが見たい」
ニーナはダンジョンを希望した。そういえば昨日もダンジョンがあると聞いて食いついていたな。おそらくこちらに来て以降、ダンジョンに行けてないのだろう。
イツキとニーナはダンジョンに向かう。
朝の空気が澄んだ山道を歩く。ニーナはリラックスした様子で周囲を見ながらイツキの後に続く。
ダンジョンの入り口に到着した二人。
「着いたよニーナ」
「ここがダンジョンなのね」
ニーナはダンジョンの入り口をまじまじと見ている。
「それじゃあ中に入ろうか」
「うん」
イツキとニーナはダンジョンの中へと入って行った。
「わぁ、広いねー」
ダンジョンの中に広がる草原を見て感動しているニーナ。とそこへ、
「ニャ」
すでにダンジョンに来ていたクロがやってくる。
「クロおはよう」
「あっ、クロ先輩おはよー」
イツキとニーナはクロに挨拶する。
「実はこのダンジョンはクロが見つけたんだ」
「そうなの⁈すごいねクロ先輩」
クロがダンジョンを見つけたこと。第1階層はクロ専用であることをニーナに説明する。ニーナは目を輝かせてクロを見る。心なしかクロがドヤっているように見える。
「ニャ」
「えっ、私もここ使っていいの?ありがとークロ先輩」
気分を良くしたのかクロはニーナも第1階層の使用を許可した。
「先に進もうか」
クロとの話も終わったようなので次の階層へと向かう。
第2階層。
ここではイノシシたちが生活している。
「この階層はイノシシたちに手伝ってもらっているんだ」
ニーナにイノシシたちの様子を見せる。
「すごいね、この子たち全然嫌がってない」
イノシシたちの様子を見て驚くニーナ。異世界でも野生動物たちはダンジョンに近寄らないらしい。
そのまま進んで行くと、イノシシが角ウサギと戦闘している場面に出くわす。
「あんな風にモンスターを倒してもらっているんだ」
危なげなく角ウサギを倒したイノシシはドロップした肉をおいしそうに食べていた。
「ただ一つ難点なのが、他のドロップ品の回収が面倒なことかな」
イノシシたちは肉以外のドロップ品には興味を示さずそのまま放置されていた。ドロップ品は放っておいても問題ないが、魔石は噴水の動力となる。これだけは回収しなければならない。それでも日々のダンジョン管理の負担を考えると大分マシではある。
「ねぇ君、落ちてるこれ運んだりできない?」
ニーナは突然、イノシシに話しかけた。ニーナの言葉を聞いたイノシシは落ちている魔石を口で咥える。
「うんそうそう、そんな感じ。イツキ、これどこに運べばいい?」
「あ、ああ。それは噴水の近くに置いておいてくれたら助かる」
「うん、わかった。ねぇ君、これを噴水のところに置いてきて」
ニーナとイノシシのやり取りに驚きながらも指示を出すイツキ。ニーナの指示で魔石を咥えたイノシシは噴水へ向かう。
テイマースキルというのは存在するが、それはあくまでモンスター限定だ。普通の動物には通用しない。
しかし何故かイノシシはニーナの言うことを聞いた。
一体何故?
「なぁニーナ。テイマースキルを持っているのか?」
「ううん、持ってないよ」
イツキはニーナにテイマースキルがあるか聞く。しかしニーナは所持していないと言う。そして言葉を続ける。
「私ね、スキル1個も持ってないんだ。だからパーティに入れてもらえなかったの」
悲しげな表情でそう話し始める。




