第10話 隠し事はバレるもの
ニーナを迎えることになり、話は終わったと思いきや、シルフィーに引き留められる。
「イツキ、私に何か隠していない?そうね、例えば野良ダンジョンを見つけたとか」
あ、バレてる。
「えーと、何のことでしょうか?」
今更遅いかもしれないが、一応取り繕ってみる。
「イツキ。貴方、魔力が整いすぎているのよ。自分では気付いていないでしょうけど」
「?それってどういうことですか?」
魔力が整っている?イツキはシルフィーの言葉の意味を理解できなかった。
「ごめんなさい。これはエルフにしかわからないことだったわね」
シルフィーの説明によると、探索者はダンジョンに長時間入っていないと体内の魔力に乱れが生じるらしい。特に人体に影響がある訳ではないが、魔力を視るのに長けたエルフだとそれを見極めることが出来るのだという。
「なるほど、それで野良ダンジョンに話が繋がるって訳ですか。でもシルフィーさん、俺が普通にダンジョンに行ってたかもしれないじゃないですか。それなのにどうして野良ダンジョンに話が飛躍するんですか」
薄々勝ち目はないと思いながらも足掻いてみる。
「簡単なことよ。イツキがここ最近ダンジョンに入っていないのはログで確認しているもの」
…これ以上誤魔化すのは無理そうだ。イツキは観念して正直に話すことにした。
野良ダンジョンのことを説明するイツキ。
「…はぁ、相変わらず変わったことをしているのね」
話を聞いたシルフィーは呆れていた。面倒だからと野生動物を捕まえダンジョンにぶち込み、モンスターを倒させるなんて事例は今まで聞いたことがない。いや正確には、そういった実験は昔あった。しかし成功したことはなかったのだ。
イツキは昔から突拍子もないことをして周囲を驚かせていた。そしてその対応は大抵シルフィーに任されることが多かった。
ダンジョンから離れて少しは大人しくなったかと思っていたが、全くそんなことはなかった。
「えっ、ダンジョンがあるの?私も入っていい?」
一方ニーナは野良ダンジョンに興味津々だった。食いつきがいい。事情により探索者ができないといっていたが、別にダンジョンに入れないという訳ではないようだ。
これは嬉しい情報だ。ここで彼女を味方につければ何とかなるかもしれない。
イツキは更に自身が暮らす家の周辺のことについてニーナに話す。山や森に囲まれ自由に過ごすことができ、そしてダンジョンには誰にも邪魔されず入れる。
話を聞いたニーナの目は輝き、尻尾も真っすぐピンと立っていた。これはいいぞ。このままニーナがこちら側につけば、シルフィーも野良ダンジョンの件について目を瞑ってくれるに違いない。
「…わかったわ。野良ダンジョンはイツキに任せるわ」
イツキの予想通りシルフィーは野良ダンジョンのことは目を瞑ると言った。やはりニーナが食いついたのが決め手だったみたいだ。
「ありがとうございます」
イツキはホッとひと安心する。
「ただし、定期的に報告を入れること」
シルフィーは条件として、定期的にダンジョンの情報を報告することをイツキに求めた。
ダンジョン管理に野生動物を使って成功させている例は希少で、シルフィーとしては個人的にも興味があった。それにもし、この事例が他でも再現できるのなら、今後のダンジョン管理も大いに変わる可能性があった。
野良ダンジョンについてはシルフィーの指示でイツキが管理しているという風になった。更にイノシシたちの情報は有益な情報ということで、仕事として報酬を出してくれるらしい。
野良ダンジョンについてお咎めなしで、その上お金も入ることになった。一時はどうなることかと思ったが、結果的には全て上手くまとまりひと安心するイツキだった。




