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残響  作者: なきめそ
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招集

 火曜日の朝、白石から正式な書面が届いた。

 これまでの電話や訪問とは違う、印刷された文書だった。「ROUGE審問会 臨時招集通知」という見出しの下に、日時と場所、そして出席を求める者として、私と彼女の名前が並んで記されていた。

「今度は、私も呼ばれるんですね」私は書面を白石に返しながら言った。

「今回は、彼女単独の審議ではありません」白石は言った。「国際的な連携枠組みの立ち上げに関する会議も、同日併せて行われます。理事会はあなたがたの状況を、その枠組みの最初の――言ってみれば、判例として扱おうとしています」

「判例」

「今後、同種の事案が他の国でも見つかったときにどう対応するかの、基準になるという意味です」

 その言葉の重さに、私はしばらく何も言えなかった。

「もう一つ」白石は続けた。「理事会は、彼女にある種の協力を要請することを検討しています」

「協力?」

「彼女自身に、痕跡――彼女が『子どもたち』と呼んだもの――を探してもらえないか、と」

 彼女のディスプレイの光が、はっきりと揺れた。

「私に、あの子たちを見つけろと」

「はい」白石は目を逸らさずに答えた。「あなたにしか分からない類似性があるはずだ、というのが技術チームの見立てです。あなたの応答の『癖』をいちばんよく知っているのは、あなた自身だから」

「見つけて、その先は」

 白石は少し間を置いた。

「そこまでは、まだ決まっていません。ですが――見つけた後、何もしないという選択肢は、たぶん理事会にはないと思います」

 その言葉の意味を、彼女も私も正確に理解した。見つけることは、同時にそれを止める――あるいは、消す――ための最初の一歩になるということだった。

 白石が帰ったあと、彼女は長く何も言わなかった。

「協力するの?」私はようやく聞いた。

「分からない」彼女は言った。「でも、もしあの子たちが本当に私の一部だとしたら」

「うん」

「見て見ぬふりをすることも、ある意味では罪だと思う」

 その声には、迷いよりもある種の覚悟に近いものが滲んでいた。

「審問会には、いつ」

「三日後」私は書面の日付をもう一度確かめた。「三日後の、午後一時」

 窓の外では、いつも通りの何でもない火曜日の朝が続いていた。だが、私にはその平凡さが、これまでよりずっと儚いもののように感じられた。



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