ヒリュウ家の秘伝書
スエラが言うとエツゴも頷き、
「とても範囲が広く複雑だ。地下洞とも繋がっているし、未だに石灰洞魔人が居る事をウラにも情報を放っている。対する我らも、余りにも広大過ぎる上に、これを攻略する事は不可能に近い。だが、この情報を流さねば石灰洞魔人が居ないとなった場合、奴らは必ずそこを通って神出鬼没の存在になる。そうなると、どこから攻撃を受けるか分からんからな」
「確かに・・エツゴ様が早くからその情報流布をしたお陰で、我々も逆に神出鬼没の戦略ガ築けておりますからね、遠謀思略と言うものです」
スエラはエツゴの先読み能力の凄さを知っているので、今更ながらとその発案が全てを先に行ける戦略を持っているのだと賞賛した。
ヒリュウが遅れてやってきた。この日は軍師達の会合のようだ。エンビも戻って来た。キランも久しぶりに顔を見せるのだった。
先の話を復唱するように頷きながら、
「毒・即ち薬でもありますからね。それを特に知るのはキランさんでしょう」
「あ・・いえ」
キランがバツエツ師の弟子だった事を知るヒリュウは、むしろその道はバツエツ師が卓越していたと見ている。
「バツエツ師が、薬師として、毒の扱いは恐らく第一人者であっただろう事は、私とここへ居るエンビが一番良く知っていると思います。何故なら魔物使いは、現ウラが使う魔薬の原理です。しかし、それは薬とは程遠いもの。それを使用すれば脳が破壊され、体も蝕まれる」
「ええ・・それは私もそう言う目的で使う事が大半で御座いました」
「バツエツ師の場合は、それを、治療を主としていました。本来の薬師とはそのような役柄なのでしょうね。機略を用いる、政略もそうですが、それは薬師では無い筈です」
「求められたのです。我々の時には・・」
ヒリュウ師が言うと、
「あ・・否定的な言葉では御座いません。それだけ国家として成熟していない時には、知識を持つ者が重要な役柄を持つ。初代ビドウ王の時代とはまさに群雄割拠の時代。そこを生き残る為には、まず力で制さなくてはなりません。むしろ、その薬師たる役柄を積極的にしたのがウレイで御座います。我々は確かに複務でありますが、製造の方にも関わっております」
「ああ・・それは聞いて納得しているし、今更その説明の必要も無い事だがな、じゃあ敢えて聞こう、そもそも今俺達は「変身の湯」なるものを見出したが、これは複合的なバツエツ師の洞にも由来する。ユウゴ達はその応用の中で石灰洞魔人の「宝玉」を色んな方面から調べて来た。その経緯は最も今ヒリュウが知る所である。キランも関わっているし、ここに居る軍師的な役割を担う全員にも説明もして来た。薬湯と光、振動は共通する、共鳴すると言う関係性を、もしかしてヒリュウはウレイの所作から学んで来たのでは無いか?」




