ヒリュウ家の秘伝書
「互いに牽制しながらも、恐らくウレイも私の所作を観察していた事でしょうね。粒さに黒魔人洞付近の灰種、黒灰種には形態変化と同様の様々な実験を行いました。ゴラー様にもキリスは惨い事をしましたが、その過程の中で、王族の持つ不思議な血脈にも恐らく気づいていたのでしょう。しかしゴラー様には再生力が無かった。つまり、ユウゴ様の言われる遺伝子とは全てに受け継がれるものでは無いと言う事なのでしょう」
エツゴは大きく頷きながら、
「形態変化の事は、もう以前からやって来ていた。その不思議を知っているからこそ、俺達はもっと掘り下げてその謎を解こうとはしなかった。だが、ユウゴやエバは違う。その何故?を徹底的に調べようとやって来たんだ。そして、魔薬は一時的にそれが依存型体質となり、その者の支配下に入る。つまり、それが無くては生きられないようにされるんだな。その方法をウレイが多用して来た。しかし、両刃の剣であり、やがてその魔薬を与えられたもの廃人となる」
「はい、左様ですね」
「アイン国では今もその後遺症に苦しむ者が居る。ユウゴはその者達に「変身の湯」を進めた。すると、その呪縛から逃れたんだ。偶然だと皆は思うか?」
「何故この場にユウゴ、エバを呼ばないの?」
エンビが聞いた。
「寸刻が今は惜しいと取り組んでいる事がある。俺はだからこの場に呼ばなかった」
「そう・・詳細は聞かないわ」
あっさりとエンビは引き下がる。その理由を問われる前に説明した形だった。
「似て異なるものと俺は区別する。それは、後々重要な境界になると思うんだ」
「いつもの先読みか?」
ビゼンが聞く。
「何となくそう感じている。今までもそうだが、俺は感覚で言っている。つまり、その違いと言うのは違和感では無いかと思うんだ」
スエラが、
「まさしく、現「変身の湯」とその昔の薬湯による魔物の創出と言うのでしょうか、それとは全く違います。又心を制御する。意のままに動かすと言う事と魔薬によって従わせるのとは違いますよね。エツゴ様の場合は強い明確な指標とその裏表のない行動原理によって、賛同者を増やし続けております。ぶれないのです。その時々で例えば軍師の話をされましたが、戦いにおいてその状況で戦略を変えるのは常道ではありますが、この上原国を動かす力は、単なる武力では無くエツゴ様の存在故でしょう」




