ヒリュウ家の秘伝書
「ふふ・・良い見世物であった。さて、クラムには魔薬は効かぬ。キキ族には魔薬が効かなかったであろう?ウラ。何故ならそこに成る木の実は毒消しであると共に、その魔薬は無効になるのだ。つまり、我らにはその魔薬は効かぬ。クラムは魔薬が効いて無かったと同時に、もう生まれ変わったのだ。そして我らの戦士となった」
「な・・なんだとおっつ!」
その時、カブトの傍に偽カブト即ちクラムは立った。そして言う。
「我は主君を間違えていた。今ぞそう思う。上原国のエツゴ様に従うべきと」
はっきり言えば、クラムと言うベラ族にはそんな高い知能等は無かった。ただ、勇猛で剛力な者が多く、戦闘力が高い故に最大の兵力を誇るマラ族とも領土を守り戦って来られたのだ。それが、どうだ。これだけはっきりと言葉を出し、且つ意思表示が出来る等考えられもしなかった事なのだ。
現在で言うマインドコントロールと言うか、ユウゴはクラムに多くの事を教え込んだ。そして、上原国民の姿になる事は同時に知能も上昇するのだと言う事と、これ程丁寧に現状を教えて貰う事も無かったのだ。
「む・・むむむ・・貴様らとんでもない魔法を使いおる」
ビゼンは笑った。
「ははは・・それの専売特許がお前の父、ウレイであり、その血統では無いか。良いか、今はここを全て破壊はせぬ。しかし、分かったであろう。ここは既にお前達が安穏として生活できる場所ではなくなったと言う事を」
ビゼンはさっと手を挙げると、上原軍は引いて行った。そして、グエンも役目を終えたのか、クラムと共に自砦に戻って行った。これよりグエンの右腕とクラムはなるのである。良将得難し、グエンにとって心強い腹心が出来た事になった。
「何故あの時攻撃をしなかった?」
ムランが少し怒り気味で後日エツゴに聞いた。
「ウラの手法に少し興味があってな、それで今回はあそこで引き挙げた」
「ビゼンにもそう指示していたのか?」
「軍師の判断で進むも引くも任せると俺は言っていた」
「むう・・そこまで考えていたのなら言うまいが、兵軍は突撃態勢をとっていたからな、つまり、戦闘意欲が高まっている所に梯子を外された格好となった」




