ヒリュウ家の秘伝書
「おお・・こっちのカブトもなかなかやりおるな・・」
しかし、何かウラには見覚えのある太刀筋だった。クラムに似た大刀使いだったからだ。
かん、がしん、ばしん・・キン、キン、があん・・
全くの互角の戦いが続いた。
「これは・・凄い」
1時間位は続いたであろう。その時ふいに、
「おい、偽カブトよ。この笛の音を聞くが良い」
少しカブトが離れて、笛を吹くと、
「お・・あ?」
ウラ側のカブトが少し困惑し、その顔に動揺が走った。
「ええい、何をしているカブトよ。早く上原国のカブトと名乗る武将を切れ!」
その声にはっとしたように、カブトに目をまっすぐに向けると、
「何か・・聞こえた。我の名は、クラムと」
「な・・何いいっつ!」
グエンも驚いたが、ウラはもっと驚いた。そこへ何と前線には顔を出す事が殆どない、ビゼンが後方に姿を見せたのだった。
「ビ・・ビゼンか?」
ウラは憶えている。北の大地で打ちのめされた上原国の軍師の姿を。
「お・・おのれ、こんな所に姿を現すとは。おい、鉄筒を撃て!」
ウラが指示する前に、もうウラの砦は後方から火の粉が上がっていた。
どどん、どおおおーーん。
「はは・・思った通りの動きをするのだな、これが智のあるウラと言うのなら、ちゃんちゃらおかしいわ。感情が先に立つか・・」
ビゼンが笑う。挑発である。グエンはもうここに姿が無かった。恐らくその仕掛けを彼がしていたのであろう。




