ヒリュウ家の秘伝書
「ああ、そうだ。俺達はウラの兄弟、ウレ、ウラを倒した。またいかに俺達が梟雄と言ってはいるが、その親ウレイ、又黒魔人洞の党首でもあったキリスも倒した。その事に実長男であるウラが憎しみを持っていたとしても当然だ」
「あ・・いや。それは戦いにおいての結果であり、それに敗れた・死は当然では?」
「そこからだ。俺の兄弟であるゴラーは知っているだろう。次男になる」
「はい、豪勇として名高いエツゴ様の血統で御座いますからね」
「そのゴラーは、両手両足をキリスに斬られ、幽閉状態で20年も黒魔人洞に居た」
「ええっつ!で・・でも、両手両足もありますけど?」
「ふ・・その辺の説明になるとは、ちいとややこしい話になるんだが」
「あ・・いいえ。無理に聞こうとは思いません。今の「変身の湯」とて同じ事。それにウラは、魔人を生み出す秘薬も持っておりました」
「はは・・魔人を生み出す秘薬は、バツエツ師も持っていた。所謂旧上原国においての薬師とは様々な役目を追う者達だった。ウラはその血統の子だからな」
「と・・言う事は「再生・復活の湯」なるものもあるのでしょうね、きっと」
「まあ、似たようなもので、非なるものかも知れないがな、俺には原理は分からん。しかし、俺達初代ビドウ王の血統がまた異質なのかと言われれば、そう言う事にしておこうか」
「分かりました。私は、それは追及致しません。で?どんな御用だったのでしょうか」
「今からな、カブトを出陣させようと思う。グエン、お前が軍師として指揮を執れ」
「ええっつ!」
カブトは逐電してウラの砦に居るでは無いか、そのカブトを出陣させるから指揮を執れ?とは奇想天外な指示が来た。流石に驚くグエンであった。
「驚いているな?」
「カブト殿は逐電したのでは?」
「したぞ・・確かにな」
「そのカブト殿をどうして出陣させるおつもりでしょうか?」
「グエン・・それが機智と言うものだとしたら、どうする?」
「あ・・つまり影武者を仕向けていたと言う事になりますか」
「はっはっは。流石に飲み込みが早いな、正真正銘のカブトを今からここへ連れて来る。
会った事も無かろう。俺達は今広大な場所を保持している。カブトはその北の守護隊長なんだからな」
こうしてグエンは初めてカブトに面した。面構えと言い、その通常ならぬ膂力のある体に、上原国軍の層の厚さを感じざるを得なかった。




