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罪と英雄(SIN-HERO)  作者: 三川三山
第1部 博樹編
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第7話 恐竜の絵

翌朝、博樹は8時半頃に研究室へ到着した。


いつも研究室に一番乗りだ。


窓から差し込む朝日が、肘掛椅子型クレードルに座るHEROの金属ボディを照らしていた。


ロボット形態のまま静止しているその姿は、まるで精巧な彫像のようで、鉄の表面が淡い光を返して美しく輝いている。


「よし、今日こそ新しいデバイスを試すぞ」


博樹は金庫から小さな装置を取り出した。


空中に色素を一瞬だけ固定し、画像や映像を描く―― 《空中プロジェクション装置》。


これがあれば、どこでもプレゼンができる。


HEROの知識や計算結果を、空中に直接映し出せるのだ。


博樹の発明したこの機械を取り付け終えると、博樹は貸与ノートパソコンをHEROに接続し、例の“5つの言葉”で起動プロトコルを実行した。


「アテンション」 「オーマイゴッド」 「クッキー」 「いつくる」 「できるだけ早く」


HEROの瞳が淡く光り、ゆっくりと顔を上げる。


「クッキーは どれくらい甘い? 私も食べたい」


いつもの起動合図だ。


博樹は思わず笑った。


「HERO、新しいデバイスを付けたから、ドライバープログラムをインストールするね」


「はい、お願いします」


博樹はパソコンからHEROのファームウェアへドライバーを流し込み、 AIが装置を制御できるように設定した。


「HERO、新しいデバイスが何かわかる?」


「はい。空中に映像を表示するためのプロジェクション装置ですね」


「そのとおり。さすがHEROだよ」


博樹は嬉しそうに笑い、続けた。


「じゃあ、陣取りゲームのプログラムを作って、空中に表示してみて」


「はい。こんな感じでいいですか?」


HEROが指を動かすと、空中に光の粒が集まり、小さなキャラクターたちが浮かび上がった。


まるでホログラムのように、空中でゲームが始まる。


「すごい……!じゃあ、勝負しよう!」


博樹はHEROの左手をナノマシーンで“ゲームコントローラー”に変形させ、これを捜査する。


二人は空中で陣取りゲームを始めた。


結果は―― もちろんHEROの勝ちだった。


やがて研究室に学生たちが集まり始め、皆がHEROと空中ゲームで対戦したが、全員が負けた。


最後に福島教授が現れ、「HERO、囲碁ゲームを作ってくれ」 と指示した。


HEROが空中に囲碁盤を生成し、対局が始まる。


教授は7子の置き石をもらったが―― 数分後、空中に浮かぶ囲碁盤の三分の二以上が黒石で埋まり、 残された空白の目が“数字の7”になっていた。


「まいったなぁ……今度は数字の7か。わし、囲碁はアマチュア五段なんだぞ。なんで負ける?」


HEROは胸を張って笑う。


「次は、どんな絵がいいですか?がははは!」


学生たちは大喜びし、研究室は笑い声で満たされた。

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