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罪と英雄(SIN-HERO)  作者: 三川三山
第1部 博樹編
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19/51

第19話 家族

ヴィランズの狙いが群馬県だと知った時、博樹の胸にひとつの思いが浮かんだ。


――父さんの行方も、群馬県を追えば何か掴めるかもしれない。


博樹の父・山田真(やまだ まこと)


行方不明になって十数年。


その影は、いつも博樹の心の奥に残っていた。


伯父・井出彬は、今でこそ横浜の食堂の店主だが、かつては携帯電話製造会社の社長だった。


その会社で父と母は出会い、父は社長にまで上り詰めた。


その時に伯父は会長になった。


会社は急成長し、携帯キャリア事業に参入し、さらにAIやロボット開発にも手を伸ばした。


その会社の名は――イデア社。


博樹が今、共同研究している企業だ。


社名の由来は、起業者であった伯父の井出彬(いで あきら)から3文字を取った。


しかし、順風満帆だった当時のイデア社に突如として暗雲が立ち込めた。


父が会社の資金に手を付け、10億円の使途不明金を出してしまったのだ。


警察沙汰にはならなかったが、「退職金として10億円を受け取った」という形で会社を去った。


その日を境に、父は母・愛(めぐみ)と幼い博樹を残して、姿を消した。


伯父も義弟のやらかしたことの責任を感じて会社を辞め、退職金で横浜のビルを購入し、その1階で食堂を始めたのだった。


そして―― 20階の部屋を、博樹と母に無償で貸してくれた。


「父さんは……なにに10億円を遣ったんだろう」


博樹は、吸血鬼事件のドローン制作費を思い出した。


1台20万円。 5千台で10億円。


――もし、あの費用が父の金だったとしたら?


タイニー・エヴォルブが言っていた 「何等かの意図を持つ人間」の存在。


その人間こそ、父・山田真ではないのか。


胸の奥がざわつく。


「……父さんは、どこで何をしているんだ」


博樹は、糸口になりそうなことがあれば、自分で探りたくなってしまう。


今はHEROという頼れるバディがいる。


首を突っ込むなと言われても、それはもう無理だった。


HEROは目的のために手段を選ばない可能性もある。


だが――その頭脳も、変身能力も、超視覚も超聴覚も、今の博樹には必要だった。


「父さんの謎を解くためにも…… ヴィランズを追うしかない」


博樹は静かに決意した。

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