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罪と英雄(SIN-HERO)  作者: 三川三山
第1部 博樹編
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18/51

第18話 探偵誕生

ライブ会場からの帰り道。


博樹は、ヴィランズがロボットから人間へ変化した瞬間を想像していた。


――あれはHEROと同じナノマシンなのか?――それとも、まったく別の技術なのか?――能力なのか? 


それとも……異質な存在なのか?


考えれば考えるほど、答えは霧の中へ消えていく。


だが一つだけ確かなことがあった。


ヴィランズはテレビ出演で観客を洗脳し、都内のライブステージでも同じことをしていた。


「これは……事件だよな」


HEROも頷いた。


「危険だと思う。人の意識を操作することは、許されない」


二人は研究室に戻ると、すぐに福島教授へ報告した。


教授は深刻な表情で言った。


「相手の能力が不明である以上、警察でもない君たちが関わるのは危険だ。吸血鬼事件の時にお世話になった多胡刑事に相談しなさい」


◆ 警視庁へ


翌日、二人は霞が関にある警視庁を訪れた。


上空から見るとアルファベットの“A”の形をしている巨大な建物だ。


受付で多胡刑事を呼んでもらうと、刑事はすぐに迎えに来てくれた。


狭い部屋に通されると、窓には鉄格子のような枠がはまっていた。


博樹は思わず心の中でつぶやいた。


(かつ丼はいつ出るんだろう)


そんな冗談を考えていると、多胡刑事が言った。


「HERO君が何かやらかしたのかい?」


「そうじゃありません。むしろ、事件性のあることを発見し、通報しに来ました」


博樹はヴィランズの洗脳計画、 黒ずくめの男たちの変身能力、 群馬県の地下資源を狙っていることなどを説明した。


多胡刑事は真剣に聞き、静かに言った。


「HERO君が人に擬態できるなら、同じような者がいても不思議じゃない。ただし、ヴィランズはロボットから人間に擬態した……正体は不明だ。サブリミナル効果は法律では禁止されてはいないが、テレビ局は自主規制している。それを出演者が勝手にやっているなら、視聴者に害を与える行為だ」


多胡刑事は深く頷いた。


「さっそく警視庁が捜査に入る。君たちはこれ以上首を突っ込まないように」


二人は約束し、警視庁を後にした。


◆ 探偵HERO、誕生


研究室に戻ると、博樹はすぐに新しいデバイスの設計に取りかかった。


「超聴覚と超視覚を追加する。壁の向こうの会話や、遠くで起きている犯罪をもっと鮮明に録音・録画できるようにするんだ」


設計は以前からやってきたので1時間で終わり、部品も研究室に揃っていたため、デバイスはすぐに完成した。


家に帰り、食堂の手伝いと風呂の準備を終えると、博樹はデバイスドライバを作成し、ベータ式ビデオテープにバックアップした。


その間に母も帰宅し、風呂に入っていた。


HEROにデバイスドライバプログラムをインストールすると、HEROは遠くの音を聞き取り、テレスコープのように遠方を見通せるようになった。


「これで……探偵HEROの誕生だな」


HEROは髪色・瞳・服装をナノマシンで変えられる。


自我を持ち、考えて行動ができる。


まさに、優秀な探偵そのものだった。


博樹は次の研究テーマを決めた。


「犯罪捜査へのロボットの活用について」


多胡刑事は、二人がもう関わらないと思っていたが――その予想は大きく外れることになる。

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