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『鐘哭(しょうこく) ― 山奥に響く死の音 ―』  作者: こうた
第四章 「残響起動(ざんきょうきどう)」

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第一話「終わったはずの都市」

— 完 —


と表示されたはずの画面は、どこにも“終わり”を持っていなかった。


むしろそこからが、始まりだった。



---


ゴォォン……



---


その音は、もう物語の外ではない。


読む者の視線の奥で鳴っている。



---


ある編集者は原稿を閉じた瞬間に気づく。


「……まだ続いてる?」


印刷された紙の余白に、うっすらと円が浮かんでいる。



---


別の読者はスマートフォンを見ている。


ページの最後までスクロールしたはずなのに、画面が勝手に戻る。


そして同じ一文が表示される。



---


「まだ鳴っている」



---


ゴォォン……



---


都市。


駅。


山。


神社。


それらはもう区別されない。


ただ“同じ層の違う呼吸”として存在している。



---


そして、そのどこか。


ひとりの人物が目を開ける。



---


名前はまだない。


だが、音には気づいている。



---


「……またか」



---


声は乾いている。


恐怖ではない。


疲労でもない。



---


それは、何度も繰り返した者の声だった。



---


周囲には誰もいない。


しかし彼は知っている。


これは“単独”ではない。



---


ゴォォン……



---


音が鳴るたびに、空間の奥から何かが浮かび上がる。


山の神社の記憶


鐘の内側の構造


都市の重なり


選ばれた青年たちの断片




---


それらは、すでに過去ではない。



---


彼は立ち上がる。


足元に円はない。


しかし確かに“反応”はある。



---


「今回は、どこまで崩れた?」



---


誰に問うわけでもない。



---


その瞬間、空間の奥から声が返る。



---


『まだ浅い』



---


ゴォォン……



---


彼は目を細める。


「浅いなら、まだ戻せるな」



---


だがその言葉の直後。


空間がわずかに“ずれる”。



---


違和感ではない。


再配置。



---


都市の位置が、ほんの少しだけ変わる。


山の高さが変わる。


駅の構造が変わる。



---


そして彼は理解する。



---


「また始め直す気か」



---


ゴォォン……



---


音が答える。



---


第四章・第二話


「再起層」へ続く。

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