表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/37

2(来栖の受難)

❖同刻/ひと気のない公園/来栖(くるす)


 その言葉を聴いたとき、来栖は気が狂いそうになった。


「マ……リ……ア……」


 コクリに促され、マリアが去っていく。

 彼女の背中に、コクリの手が添えられた。

 来栖はありったけの感情を込めて、その手を睨む。

 マリアが、ふらついた。


「まだ、魔力が十分ではなかったかな?」


 コクリが、あろうことかマリアにキスをした。

 マリアの喉が鳴るのが、見える。

 音まで聴こえてくるような気がした。

 見たくない光景、聴きたくない音。


「さらばだ、元婚約者くん」


 コクリが微笑んだ。

 来栖はマリアの後ろ姿をじっと見つめる。

 マリアとは、最後まで目が合わなかった。

 マリアの姿が、見えなくなった。


「ねぇ、もう食べていい?」


 悪魔が嗤った。


「……は?」


 来栖は理解できない。


「助けて……くれるんじゃ……?」

「そんな口約束なんて守るわけないじゃん。人間って馬鹿だね」

「そんな……話が……違う!」


 来栖は最後の力を振り絞って、立ち上がった。

 腹部が痛い。

 全身が痛い。

 気が狂いそうだ。


「きゃははっ」


 ルーシャが標識や街灯を引っこ抜いて、こちらへ投げつけてくる。

 来栖は必死に逃げる。

 ルーシャが電柱を抜いて、フルスイングしてきた。


「うげっ」


 脇腹を思いっきり打たれ、来栖は崩れ落ちた。

 吐血する。

 痛い。痛い。痛い。全身が痛い。


「じゃ、頂きます」


 ルーシャが来栖の首をつかみ、来栖を宙吊りにした。

 かすむ視界の中、ルーシャの口ががばっと開くのが見えた。

 口がどんどん、どんどん大きくなっていく。

 来栖の頭が、ルーシャに飲むこまれる――。





「【御身の手のうちに・御国と力と栄えあり・永遠に尽きることなく――AMEN】!」





 光の槍が、ルーシャに突き刺さった。


「いったぁ!? 僕様ちゃんのお食事タイムを邪魔するのは誰? ――げっ」


 ルーシャが来栖を投げ捨てた。


「第七旅団は、さすがに相手が悪い。じゃあね、美味しそうな子羊ちゃん」


(第七旅団……?)


 デビル討伐を専門にする、日本最強の武装集団だ。

 メギドヶ丘学園の卒業生たちの就職先でもある。


「そこの少年、大丈夫ですか!?」


 見れば、フロックコートに山高帽という出で立ちの青年が、駆け寄ってくるところだった。

 その後ろには、何人もの第七旅団員の姿も見えた。


 来栖は気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ