王都からの招聘と、国家再建のタクト
街を一日で復興させたクロノたちの噂は、ついに最高権力者の耳へと届く。
「天災を退け、瞬時に堅牢なる要塞都市を築いた若者がいる」と。
数日後、クロノたちのもとへ、黄金の獅子が刻まれた大紋章を持つ王宮騎士団がやってきた。
「クロノ殿、およびその仲間たちよ。国王陛下がお呼びである。至急、王都へ同行願いたい」
国王の拝謁と、傾国の危機
王都の玉座の間。
重厚な王冠を戴く国王「オーグスト17世」は、威厳に満ちた佇まいでありながらも、その表情には深い疲弊の影が刻まれていた。
「よくぞ参った、若き英雄たちよ。……単刀直入に言おう。我が国は今、先日の天災による被害、そしてそれに乗じた隣国の軍事的圧力により、国家存亡の危機にある。財政は底を突き、民の心は荒れ、官僚の不正も横行している。これを立て直せる『真の智者』を求めていたのだ」
国王は立ち上がり、クロノの目を真っ直ぐに見つめた。
「クロノよ。お前の『完全看破』の力、この国の行く末を阻む『病巣』をも見抜けるか?」
クロノは一礼し、静かにその瞳を青く輝かせた。
「――はい、陛下。すべて見えています」
クロノの脳内に、王国の膨大な国家予算の帳簿、流通経路の目詰まり、さらには今この玉座の間にいる貴族たちの「忠誠度」と「懐に入れている裏金」のデータまでが、滝のような情報となって流れ込んでいた。
「左列の財務大臣。あなたが先ほどから冷や汗を流している理由――過去5年分の国家備蓄金の横領ルート、すべて看破しました」
「な、なな、何を根拠にそのような妄言をッ!」
「ジードさん、彼の懐にある隠しポシェットの中に、裏帳簿と隣国への密書があります。回収を」
「あいよ!」
ジードが風のごとき速さで財務大臣の横をすり抜けると、その手にはすでに証拠の書類が握られていた。言い逃れのできない不正の露見に、兵士たちが即座に裏切り者の貴族を連行していく。
「王の器」をも看破する
「素晴らしい。一瞬で宮廷の膿を洗い流すとは……」
感嘆する国王に、クロノはさらに言葉を続けた。
「陛下。この国の財政を立て直す『正解のルート』も分かっています。ルナの魔法で枯渇した鉱山を再活性化させ、ガイルさんの知名度を活かして国防の義勇軍を組織し、僕の設計で王都の物流拠点を再構築します。一ヶ月で、国庫の赤字は相殺できます」
具体的な、そしてあまりにも完璧な国家運営のグランドデザインを語るクロノ。
その姿は、一介の冒険者ではなく、国を統べる「稀代の賢王」そのものだった。
国王は深く息を吐き、自らの王冠に手をかけた。
「……いっそ、お前がこの国の王になるか? お前ほどの器なら、喜んで王位を譲ろう」
玉座の間が騒然とする中、クロノは苦笑して首を振った。
「滅相もない。僕はあくまで冒険者です。それに、陛下が民を想うその『純粋な心』は、何よりもこの国に必要なものですから。僕はその『正解』をサポートする、臨時の【国家最高顧問】で十分ですよ」
その言葉に、国王は固く閉ざしていた心をほどき、豪快に笑声をあげた。
「ハハハ! 振られたか! 良い、ならばお前を我が国の最高顧問に任命する。クロノ、そしてその仲間たちよ。我が国を、民を、共にお救いしよう!」
剣、魔法、建築、そしてついに国家の舵取りまでをも「正解」へと導き始めたクロノ。
仲間たちの信頼と、国王からの絶対的な全権委任を受け、彼の万能無双はついに一国を動かす規模へと突入していく。




